ロードバイクのクランク。FSAって駄目なの?

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
ロードバイクでFSAのクランクが嫌だっていう人が、たまにいます。

FSAかっこよくて良いじゃないですか、なんて僕は思うんですけどね。
カーボンクランクとかカッコいいですよ。
フルスピードアヘッド!

そんなわけで、今回はFSAのクランクのお話です。

FSAのクランク、ロードバイク部品って安物なの?

FSAはフル・スピード・アヘッドの略だそうです。
「FSAって何者?!」
と、思う人も多いでしょう。

そんなわけで、FSAのお話をしましょう。

メーカーとしての歴史は浅いです。
まだ10年ちょっとです。
しかし、現在の流通量を考えると、FSAのすごさは分かるでしょう。

新興メーカーのFSAが、現在までの短期間で伸びた理由は、いくつかあります。

まず、多くの人がよく言う、完成車用の安い部品を作るのが得意だということです。
安い値段で、まあまあ、それなりに使える程度のものを作るというのも上手いです。

ただ、ときどき、イマイチな製品もありました。
昔は、一部のエントリー向きの安いクランクで、変速がいまいちになってしまうなど。

最近ではあまり聞きませんが、少し前までFSAは、まだ未知の新興メーカーで、ときどきイマイチなものを出すメーカーと言われることもありました。
ただ、現在は、そういう面は改善されつつあります。

FSAのロードバイク用カーボンクランクはすごい

また、安い商品とは対極に、カーボンクランクが得意です。
こちらは、非常に値段は高いですが軽いですし、カッコいいです。

世界の超大手コンポーネントメーカーのシマノ・カンパニョーロでさえ、FSAに出し抜かれました。

当時、クランクにカーボンを使うというのは盲点でした。
軽くなるとは言えど、需要があるか分かりませんでした。
カーボンクランクに関しては、FSAはパイオニアと言っても良いでしょう。

2016年現在も、シマノはカーボンクランクは作っていません。
シマノの最高グレード・デュラエースのクランクは約 620g。

FSAのトップグレードであるK-Forceライト BB386 EVO カーボンクランクは約 560g。
1つ下のSL-Kライトでも約 620gと、重量面に関しては、FSAのカーボンクランクは非常に優秀です。

カンパニョーロのカーボンクランク、スーパーレコードでも約 585g。

軽量で有名なスラムのREDですが、クランクは約 610gと意外と重量があります。
(なおグラム数についてはカタログ値なので、目安です)

もちろん、クランクは重量も非常に大事な部品です。
しかしながら、剛性もとても大事です。

クランクは、全ての力を受け止める部品ですので、軽さだけではいけません。
剛性を重視するという人は、ハンドルなどのパーツでもそうですが、カーボンよりアルミの製品を好む人が多いですね。

それでも、圧倒的軽さ、FSAのカーボンクランクはすごいです。

FSAはクランク以外もロードバイクのパーツを

FSAを語る上で、もう1つ大事なのが、コンパクトハンドルを流行らせたのもFSAでした。

コンパクトハンドルと言うと、今のロードバイクの大半が使っている、普通のハンドルのイメージで良いでしょう。
以前はもっと大きいもの、下側のドロップポジションを握ると、前傾がぐっとキツくなるというものが主流でした。

ただ、そこまで深い前傾はツラいという人もいましたし、スムーズに上ハンと下ハンを持ち変えたいという人もいました。
これを解決したのが、コンパクトハンドルだったのです。

いざ使ってみると、コンパクトが使いやすいという人が多いのですが、それまでの固定観念として、小さいハンドルを作るメーカーはありませんでした。
そんな中、颯爽とFSAはコンパクトハンドルを出したのですね。

それ以外にもFSAと言えば、ヘッドパーツやステムも人気がありますよね。
最高グレードの車完成車にも、FSAのパーツが使われていることも少なくありません。

20年も経たないうちに、ここまで成長するメーカーは、本当になかなかありません。

そう、実は、FSAはすごいんですね。

でも、最初に付いてたFSAのクランクを変えたい!

「FSAが凄いのは分かったよ!それでも、オレはクランクをシマノに変えたいんだ!!」
そうですね、その辺りは好みです。

ただ、BB30系の車体については、安易にオススメはしません。
BB30系の車体は、BB30用のクランクを前提に作っています。

BB30系とは、クランクの軸が30mm、シマノのクランクは24mmです。

変換アダプターを使えばシマノのクランクも使えます。
ですが、フレームの設計段階では、BB30を使うことを前提にしているので、24mmのクランク軸を使うということは、いくらか本来の性能を失う可能性があります。

「それでも、FSAの文字が嫌なんだ!」
そういう場合は仕方ありません。

ただ、BB30の車体なら、スラム・カンパニョーロを使うということを考えても良いかもしれません。
ただし、クランクのみの交換は基本的に互換がないので、出来ればコンポごと交換がベストです。

そうは言っても、FSAのチェーンリングはシマノ・スラム・カンパ全てに対応と謳っているくらいなので、推奨はしないものの、問題なく動くという可能性もあります。
しかし、基本的にはメーカー推奨外のことは、やらない方が安全です。

ただ、それを言ってしまうと、BB30のフレームにシマノの24mmクランクを付けるのも駄目という事になります。
しかし、現実問題として多くの人が付けています。

非常に判断の難しいところですので、行きつけの自転車屋さんで相談してみると良いでしょう。

FSAと他メーカーのロードバイクパーツの互換性①

そうなんです。
FSAの話題で一番問題になるのは、この互換性の話なんです。

ハンドルやステム、ヘッドパーツは問題ないのです。
この辺の部品は規格さえ合っていれば、どこのメーカーのものでも問題なく使えます。
カーボンハンドルについては、同じメーカー同士でも、たまにズルッと回ってしまいますが。

クランクというのは、チェーン、フロントディレーラーと深い関係を持つ部品ですよね。
FSAはチェーン、ディレーラーは作っていません。

FSA自身は、シマノ・スラム・カンパのチェーンに対応しますと言っています。
しかし、シマノもカンパも自社パーツにしか、チェーンとクランクの互換性はないと言っています。

FSAが主張するように、シマノ-FSA-カンパという互換が完全に成立するなら、シマノ-カンパの互換も成立すると考えても良い気がします。
しかし、シマノ、カンパは駄目だよ、と言います。

どちらかが、嘘をついているのでしょうか?

FSAと他メーカーのロードバイクパーツの互換性②

嘘だけれど嘘じゃない、嘘じゃないけれど嘘、というグレーゾーンですね。
シマノ・カンパの言う「互換性がある」というのは、自分たちの想定した範囲内での、動作・性能が間違いなく保証できるということでしょう。

FSAのいう「互換がある」というのは、実際に試したところきちんと動きましたよ。
ということでしょう。

基本的にチェーンのピッチは、何段変速でもどこのメーカーでも12.7mmですが、外幅・内幅がほんの少し違います。
一番ベストな動きをするのは、やはりコンポーネントメーカーを揃えた状態です。

FSAに限らず、サードパーティのパーツには、この問題が発生します。
それでも、フレームメーカーがシマノ組の完成車にFSAを付けて出すということを考えると、シマノ-FSAについては、フレームメーカー公認の組み合わせと考えても良いのかもしれません。

同様にKMCのチェーンなどについても、サードパーティのものは、互換性の問題がよく話題に上がります。
気になる人は、同じメーカーで使うのが一番無難です。

まとめ「FSAだってすごいんです!」

互換問題の話になってしまうと、サードパーティであるFSAは少し不利ですが。
基本的には、特別ダメということはありません。

ただ、すべてのパーツを自分で作っているコンポーネントメーカーと比較すると、どうしても不利ということは否めません。

そうは言っても、現在使っていて特別不満を感じなければ、急いで変えなくても良いパーツかもしれませんね。
チェーンリングの摩耗などと、時期を合わせて交換するなどでも良いでしょう。