今回は、ママチャリのクランクを交換するお話をしようと思います。
ママチャリのクランクの長さは165mmに統一されているようですが、これを5mm程度変えただけでも、走りに大きな影響があるのです。
一体どういう変化があるのか、検証していきます。
ママチャリのクランクの長さに興味がありますか?
クランクはペダルが付いているクランクアーム単独のことを指す場合もありますし、前用の変速機の歯車であるチェーンリングを合わせて、クランクセットとして表すこともあります。
クランクはペダルを踏む力を車輪に伝える部分ですから、非常に重要な役割を持っています。
クランクはフレームのサイズに合わせ、アームの長さが決まっています。
一般的には、身長の1/10が最適サイズという発想で取り付けられており、スポーツ自転車が170mm、ママチャリなどは165mmが多いです。
ただ、身長を物差しにして考えるなら、160cmの人なら160mm(16cm)、180cmの人なら180mmとなりますから、合わない長さで乗っている人も多いと言う理屈になります。
しかし、クランクに長さの違いがあることを、一体どれだけの人が認識しているでしょうか。
少々大げさかもしれませんが、特にママチャリにしか乗ったことが無い人は、皆無に近いのではないかと思います。
そのため、165mmと170mmの違いが分かるはずもありませんので、カスタマイズしようと思う人も、まずいません。
今回はそんな人のために、クランクの長さの違いがどんな変化をもたらすのかを知っていただき、興味を持ってもらうためのお話をしていきます。
ママチャリのクランクの長さの意味
まず、クランクは円運動になるので、長くなればそれだけ大きな円を描くことになりますし、短ければ小さな円になります。
したがって、大きな円を描くということは、1回転でより強い力が加わるようになるので、パワーが上がります。
逆に小さい円を描くということは、1回転ごとのパワーは落ちますが、クルクルとペダルを回しやすくなります。
例えば、ロードバイクは平地の長い直線を一定のスピ―ドで走れるような仕様になっています。
イメージとすれば、信号も無いひたすら長い直線道路を走るのに向いた自転車ということです。
そのため、長めのクランクで1回転の出力を上げて、高速巡航しやすいように工夫されています。
ところが、これが街中となると、信号待ちから漕ぎ出したり、自転車を押して歩く場合もあります。
自転車で一番力を込めてペダルを回さなければいけないのは、時速0kmからの加速、いわゆる止まった状態からの漕ぎ出しのときになります。
ですので、長いクランクでは漕ぎ出しにパワーを擁しすぎるので、ママチャリのように街中で乗る自転車では効率が、かえって悪くなるのです。
大まかに、このような違いから、おおよそのクランクの長さは決められています。
ママチャリのクランクの長さを変えると乗車姿勢も変わる
また、クランクの長さを変えると今までのポジションだと違和感があるはずなので、サドルの高低や前後位置を変える必要があります。
クランクを短くすると、漕いだときに膝が窮屈な感じになるので、サドルを少し上げなければいけません。
そうなると、サドルの位置が後ろにずれて、ハンドルとの距離が遠くなるので、乗車姿勢が今までよりも少し前傾します。
前傾姿勢になると空気抵抗が減るので、スピードはアップします。
スポーツ自転車の中でも特にロードバイクは、どうにかして前傾姿勢を深くできないかと試行錯誤するものですが、ママチャリの場合、それが必ずしもメリットとは限りません。
まず、今よりもスピードを速くする必要がないと考えている人には無意味ですし、前傾姿勢になると視界が悪くなるので、街中ではむしろデメリットです。
そもそも、ママチャリには前傾姿勢という概念はほぼありませんので、クランクを交換したときに前傾姿勢になったなと感じたら、サドルを上げたぶん、ハンドルも上げて水平にするのが良いでしょう。
クランク長は股下の長さを基準に
ここまでクランクの長さについてお話してきましたが、では、具体的にどのくらいの長さが適正なんでしょうか。
今の自転車のクランクの長さは身長の1/10という話をしましたが、これはちょっと強引かなという気がします。
同じ身長でも、足の長さが違えば、クランクの適正長が違うはずですよね。
そう考えられていることもあり、現在は股下の長さを測って、適性の長さを出すやり方もあります。
その結果では、165mmのクランクは股下79~81cmの人に適正とされ、170mmのクランクは83cm~86cmとなっています。
日本人男性の股下平均が78cmだそうなので、ママチャリに標準装備されている165mmのクランクは、平均すれば少し長めなのかもしれませんが、適正の長さであると言えるでしょう。
乗り手の身長などにもよりますが、生活の足として使うママチャリの場合、クランクの長さを短くすることは推奨できますが、長くすることは推奨できないとなります。
ママチャリをスポーツ自転車のように、スピード型にしていくなら、長くすることを考えましょう。
ママチャリのクランクの長さは変えなくて良い
ここまでお話してきて、本末転倒になってしまうかもしれませんが、ママチャリはスピードを出すことや、100km以上の長距離を走るようなことは想定されていないので、クランクアームの長さを議論すること自体が少ないです。
しかも、私の経験や他の人の体験談を参考にすると、165mmのクランク長はママチャリの機能を発揮するには、最適の長さと思えます。
先ほども触れましたが、これ以上長くすると本当に漕ぎ出しが重くなりますし(背の高い人は別です)、膝を痛める可能性があります。
だからと言って、短くすると確かに回転数は増えますが、今度はパワーが落ちるので、坂道などは確実に登りにくくなります。
しかも、漕いでも漕いでもスピードに乗らないので、遠出などしたら、かなり疲れるでしょう。
こういったことを考えて、ママチャリは165mmが最適のクランク長として標準装備されているのでしょう。
ママチャリのギア比を変えてみる
ママチャリ本来の乗り方をする人であれば、クランクの長さは短くすることはしても、長くすることはおすすめできないとお伝えしました。
ただ、ママチャリのスピード化を図りたい人はその限りではなく、長くすることは悪い選択ではありません。
しかし、スピード化ならギア比を変える方が、手っ取り早いかもしれません。
ギア比というのは、クランクを1回転させたときに、後輪が何回転するかを数値化したものです。
クランクに付いているチェーンリングの歯数を、後輪に付いているスプロケットの歯数で割ることで計算されます。
ママチャリの場合はチェーンリング32丁、スプロケット14丁が一般的なので、32÷14=2.28がギア比となります。
後輪をこれより重いギアにすると、スポーツ自転車並みになってしまうので、チェーンリングをもう少し歯数の多い、重いギアに変更すると高速巡航向きのギア比になってきます。
仮に、42丁のチェーンリングにするとギア比は3.0になるので、ロードバイクとまでは言いませんが、安価なクロスバイク並みのスピードは実現できるでしょう。
クランクアームと同時に交換しても良いですし、チェーンリングだけ交換することもできますので、お試しください。
ママチャリだってカスタマイズできる!
今回は、ママチャリのクランクの長さについてお話しました。
結局は一般的に採用されている165mmが適正と判断させてもらいましたが、ママチャリの乗り方のバリエーションを考える良いきっかけになったとは思います。
クランクは脚の力がダイレクトに伝わる重要な部分ですから、ママチャリだってもっと議論されても良いと思いますね。