自転車の空気はほっといてもなくなる??

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
「自転車の空気ってほっといてもなくなるんですか?」
「ええ、なくなりますよ」
「なんでですか?」
なんでと言われても困るのですが。
今回は自転車のタイヤの空気のおはなしです。

自転車の空気がなくなると何が良くない?

自転車に乗っているとタイヤの空気が減ってきます。
でも、空気がなくなると何が悪いのでしょう。

分かりやすいのは、パンクですね。
自転車のパンクにはいくつかの種類があります。
何か異物を踏んでパンクする場合とタイヤやチューブの経年劣化による場合。
しかし、一番多い原因は空気が少なくなっていてパンクするという場合ですね。

タイヤの空気が少ない状態で段差などに乗り上げると、チューブがにょろんとタイヤからはみ出してしまい、パンクしてしまいます。
これをリム打ちパンクと言います。
リム打ちパンクしたチューブには蛇が噛み付いたような二つの穴が開いていますので、スネークバイトなどと呼ぶ場合もあります。

また、ママチャリで多いのですが、空気が少ない状態で走っているとチューブがタイヤの中で動いて擦れてしまいます。何度もゴシゴシこすられることを繰り返し、チューブが削れて穴が開いてしまうのです。

自転車の空気は何もしなくてもなくなるんです

「久々に自転車に乗ったら空気がなくなってたんですけど、これってもうチューブが駄目になってるんですかね?」
そういうことを聞かれることもあるのですが。
自転車のタイヤは何をしなくても空気がなくなっていくものです。駄目になってないことの方が多いですが、時々、駄目になっていることもあります。ケースバイケースです。
そう、健全な状態でも空気は1ヶ月もすると減るのです。
「そんなの困ります!」
困ると言われても空気は抜けて行きます。

自転車のチューブには英式(イングリッシュバルブ、ダンロップバルブ)、米式(アメリカンバルブ)、仏式(フレンチバルブ)の3種類があります。
・ママチャリ=イングリッシュバルブ
・スポーツバイク=フレンチバルブ
時々、例外もありますが、イメージ的にはそういう感じで大丈夫です。
それぞれ空気のフタをする構造が微妙に違います。イングリッシュバルブはどうしても構造上、高圧の空気を封じることは難しく、空気が抜けやすいという性質があります。
フレンチ、アメリカンは空気の抜けにくい構造になっていますが、どうしてもいくらかは空気は抜けていってしまいます。

空気抜けの解決法は、きちんと定期的に空気を入れてあげることです。
ロードバイクの場合、週に一度、クロスバイクの場合、月に2回程度。ママチャリの場合、月に1~2回ほど。タイヤの方で指定されている空気圧を入れてあげましょう。
もちろん、毎日空気入れしても良いです。

特にロードバイクの人はロングライドや峠などに行く前には必ずチェックするクセを付けておくと良いですね。

ロードバイクの方が空気がなくなるのは早い?

「ロードバイクの方が空気がなくなるのは早いんですか?」
そうですね、ロードバイクの方が元々入れている空気圧が高いので抜けるのも早いです。
例えばロードバイクで100psi→80psiになるのとクロスバイクで70psi→50psiになるのは、同じ20psiでもロードのほうが早いですね。
空気圧が高いほうが、外に出ていこうとする力も大きいですからね。

空気圧の単位はPSIとBARの表記があります。
100PSI=6.9BARです。
ほとんどの空気圧計にPSIとBARの表記があると思います。どちらの数字で読んでも大丈夫です。
余談ですが空気圧のSI単位はPaですね。
100kPa=1BARですね。
世の中には工学単位とSI単位(国際単位系)があります。あとは、畑なんかの広さを言う時の1町、1反などの単位もありますね。

自転車の空気圧はタイヤの横に書いてある

「僕の自転車は空気圧はいくつまで入れれば良いの?」
そういう疑問を持つ人もいますよね。
自転車の空気圧はタイヤによって決まります。
タイヤの横に書いてあると思います。少し分かりにくいかもしれませんが、一周よく探してみて下さい。
『Inflate to 2.5-4.5 BAR / 35-65 PSI』みたいな感じで書いてあると思います。
「この場合、2.5まで入れるの? 4.5まで入れるの?」
という疑問もあるでしょうが、真ん中くらいで入れとくのが無難です。この場合、3.5ですね。
でも、自分の好みで調整するのが一番です。

タイヤに書かれている空気圧は、
「この空気圧の範囲内だったら、走行中にタイヤが外れたりする危険はありませんよ」
というタイヤメーカーの方から安全に乗るために指定された空気圧です。
「パンクしませんよ」
「乗り味が良いですよ」
とはまた違う問題です。
基本的にこの範囲の中で調整していきます。

簡単な目安として、
・ロードバイク=7BAR
・クロスバイク=5BAR
・マウンテンバイク=3BAR
という風に覚えてしまう人もいますが、例外もありますので、必ず一度はタイヤに書かれている空気圧指定を確認して下さい。

自転車の空気圧がなくなると走りも悪くなる

空気が少なくなると走り味も悪くなります。路面にタイヤがベタベタっとするような感じがします。逆に、多過ぎてもやはり走り味が悪くなりますね。

基本的に自転車の乗り味なども含めると、
・空気圧高い→よく転がるけれど、路面からの衝撃がガンガン伝わる
・空気圧低い→コーナーの安心感、グリップ感が上がり、衝撃もマイルド。でも、少しベタベタっとした走り味。リム打ちパンクする確率はあがる。
という感じです。
これは重要です。
良いホイールを買うよりも、きちんとした空気圧管理が出来ている方が速いです。

乗る人の体重によっても空気圧は変えた方が良いです。
体重90kgの男性と50kgの女性の場合、女性なら空気圧を落とした方が路面からの衝撃、振動がマイルドになって楽でしょう。90kgの人は空気圧を落とすとパンクのリスクが上がります。

チューブによっても空気が抜ける早さが違う

同じロードバイクでもラテックスチューブは空気の抜ける速度が違うので、注意しましょう。
ラテックスチューブは非常に軽く、また天然ゴムですのでよく伸び、しなやかです。耐パンク性も強いとされています。
しかし、欠点として空気が抜けるのが早いということです。

ラテックスじゃない普通のチューブはブチルゴムというものが使われることが多いです。
ブチルは炭化水素から出来た合成ゴムです。
ラテックスはゴムの木の樹液から作る天然ゴムです。
ラテックスの方がどうしても分子間構造が大きいので、空気の抜けは早いです。
ラテックスチューブの空気の抜け方はブチルチューブと比べると本当にものすごく早いです。
タイヤメーカーVittoriaのホームページによると、10時間の内に10BARから8.6BARまで落ちてしまいます。24時間後には7.1BARと、たった一日でも空気入れが必要になってしまうほどに落ちます。(なお、数字は一例だそうです。ラテックスチューブでも個体差があるので、数字にはズレが生じます)

それでも、ラテックスチューブの走り味はファンが多いです。レースではラテックスを使いたいという人は多いです。
かく言う僕もレースの時はラテックスチューブを使います。
正直、半分くらいゲン担ぎ程度ですが、特にヒルクライムレースでは1gでも軽くして走りたいですからね。

また、パンク修理の際にCO2ボンベで空気を充填した場合は、CO2はそのまま乗っていると空気が抜けやすいので気を付けたいところです。
CO2の方が普通の空気に多く含まれている窒素ガスより分子の大きさが小さいそうで、ゴムの隙間を抜けて出てしまうそうです。
CO2で空気を入れた場合は、帰宅後、フロアポンプのあるところで改めてCO2を抜いて、空気を入れなおすようにしましょう。

まとめ「自転車の空気圧管理は大事なのです」

ロードバイクの話が多くなりましたが、空気圧管理の大事さはママチャリでもクロスバイクでも共通しています。
より速く、より遠くに行くために。あるいは、より快適に。あるいは、パンクしないようにするために。
空気は振動吸収材として非常に優れています。トラックなんかでもエアサスでしょう。空気は優秀なんです。空気圧管理を適正にすることで衝撃吸収材としての効果も最大限に発揮されます。
自転車の空気入れはとても大事なんですね。