自転車の盗難、警察への届け出とその対策は?

スポーツバイクビギナーのためのお役立ち情報を、あれこれサクッと調査隊。
今回は自転車の盗難の際、警察への届け出とその対応についてちょっと調べてみました。
相変わらず減らない自転車の盗難。その数は被害届があったものだけでも莫大な数です。
被害の現状や対策なども併せてまとめましたので、大切な愛車を守る参考にしてみてください。

自転車の盗難、被害の現状

自転車の盗難は、警察庁が発表した「平成26年の犯罪」と題された統計データによると、全国で約30万件近く。(検察庁 平成27年3月25日報道発表資料より)
しかし、その数は警察へ届け出のあったものだけで、実際の被害はその倍以上とも言われています。1日当たりに換算すると統計上でも約800台、実際は1000台を遥かに超える自転車が毎日盗難の被害に遭っていることになります。
読者の皆さんの中にも大事な愛車が盗難に遭ったという人が少なからずいるのでは。しかも、スポーツバイクなど高価なものは、自宅敷地内のガレージや自転車置き場にしっかりと施錠して置いておいたにも関わらず盗まれたという例も少なくありません。多くはプロの犯行で、狙いをつけた自転車をワイヤーカッターといった道具を使い施錠の鎖やワイヤーを断ち切り持ち去って行ってしまいます。

自転車の盗難、警察に届ければ戻ってくるのか?

まさに愚問に等しい問いかけですが、自転車の盗難を警察に届けても、ちゃんと戻ってくることは殆どないというのが常識。なぜなら、自転車の数があまりにも多いから。平成25年の総務省の調べで、国内の自転車保有台数は7000万台を突破しています。
自転車には防犯登録が義務化されていて、そのデータを照会することで持ち主を特定することが可能です。
しかし、街を行く自転車をすべてチェックし、盗難車を特定するというようなことは、いかにITの技術が進歩した現代でも非現実的だと言わざるを得ません。
それでもたまに、「盗難に遭った自転車が戻ってきた」なんてという話を聞きますよね。
ですが、その多くは駅周辺や繁華街などでちょい乗り用に盗まれ、のちに放置自転車として置き去りにされていたものが殆ど。その大半はママチャリで、撤去の際に防犯登録の確認から偶然に見つかるといった場合です。
また、戻ってきても、「新品だったのに、戻ってきた時にはサビサビになっていた。トホホ…(;´д`)」なんてことも、よくあるようです。
これに対してスポーツバイクの窃盗では、大半が転売を目的としたプロの仕業。そのような形で戻ってくることは滅多にありません。

自転車の防犯登録と盗難の届け出は無意味?

では、自転車を購入する際に防犯登録をしたり、盗難に遭った時に警察に届け出を出すことは意味がないのでしょうか?
そんなことはありません。防犯登録も盗難の届け出も、ちゃんと意味があります。
「でも、警察が積極的に捜査したり、見つかって戻ってくることも滅多にないなら意味がないんじゃないの?」
つい、そんなふうに思ってしまいますよね。
では、その意味を説明しましょう。まず、なぜ防犯登録をするのか。それは、抑止力と盗難車の特定のためです。
例えば、防犯登録によって他人のものと特定できる自転車に乗っていてお巡りさんに見つかれば、窃盗犯で現行犯逮捕されてしまいます。だから多くの人はちょっと疲れたからといって、そういうリスクを冒してまで自転車を盗もうとしません。
ということで、盗難届を出す意味も判りましたよね。そうです。警察に届けを出すことで、「この自転車は持ち主の意に反して今は他人の手に渡っていますよ」ということを知らせるためです。また盗難届を出せば、警察は頻発するエリアの巡回や不審者の取り締まりを強化します。
もし、防犯登録も警察への盗難の届け出も、どちらもしなければ今以上に自転車の盗難は増えるでしょう。

自転車の防犯登録、期限があるの知ってた?

ところで、自転車の防犯登録には有効期限があることを皆さんは知っているでしょうか。 1度登録したら永久に有効ではありません。有効期限は管轄する各都道府県の警察などによって異なりますが凡そ5年~10年。その期間を過ぎると登録データは抹消されます。
永久に残しておいたら、データベースがパンクしてしまいますよね。それに、自転車が古くなって廃棄などしても抹消手続きをする人が殆どいないためです。
あまり知られていませんが、防犯登録は抹消手続きや変更・再登録ができます。それは引っ越しなどで住所が変わったり、譲渡などで持ち主が変わることがあるためです。
もし、友人や知人から中古の自転車を譲ってもらったりした場合は防犯登録の変更をしましょう。そうしないと、窃盗犯に間違えられて厄介なことになったりしますよ。

警察へ自転車の盗難を届ける際、防犯登録の控えを

多くの場合、自転車の購入時にもらう防犯登録の控え。あなたは大切に保管していますか?
「どこへ行ってしまったか…」という人が結構いるのではないでしょうか。
防犯登録の控えは自転車が盗難に遭った時、警察への届け出にも必要です。きちんと分かる場所に保管しておきましょう。警察に行って、どこで、どんな自転車を盗まれたと言っても防犯登録の控えが無ければ、その自転車を特定することが困難になることがあります。
例えば、お巡りさんが不審者を見つけて乗っている自転車が本人のものか調べる時は、防犯登録のデータを基に照会しすることになります。その際に、防犯登録による被害届が出ていないと持ち主が誰なのか調べるのに時間がかかることはもちろん。もし、友人などからもらったものなら、その友人のところに警察から問い合わせが行くなど、迷惑がかかったりすることもあります。

自転車の盗難は自分で防ぐのが鉄則

自転車の盗難、特にスポーツバイクに関しては大半がプロの仕業で、施錠をした程度では安心はできないと書きました。また、警察や防犯登録を当てにしても、膨大な盗難件数の前では盗まれた自転車を取り戻すことは殆ど期待ができません。
では、窃盗団などからあなたの愛車を守るにはどうしたら良いのでしょうか。
乗らない時は室内に保管するというのは常識ですが、自転車はインテリアではありません。出かけた時にはどうやって守るのか。そこが大事です。
一つの例として、ワイヤーロックやU字ロックで施錠をする時に、あなたはどうやって施錠しますか。
1.タイヤを動かないように固定する。
2.ガードレールや電柱、駐輪施設などにタイヤを括りつける。
3. ガードレールや電柱、駐輪施設などにフレームを括りつける。
4.施錠を2つフレームとタイヤにする。
防犯の効果は、後に行くほどアップします。
一見、タイヤを建造物などに固定するとカンタンに盗まれないよう思われます。しかし、スポーツバイクのタイヤはクイックリリースになっていることが大半。タイヤだけが残されて高価なフレームが盗まれることがザラにあります。施錠をするにしても工夫しましう。

まとめ、それでも盗難は防げない。最後の手段は保険だ

悲しい結末ですが、実際の話として自転車の盗難を防ぐ手立てはありません。
いかに持ち主が注意し、警察が防犯を呼び掛けても、24時間目を離さずにいることはできないのが現実。スキを見て盗むドロボーさんの方が圧倒的に有利なんですね。
ある意味、盗まれることを前提に損害保険をかける方が実質的な損害が少ないといえます。
最近、自転車による人身事故で高額な賠償金請求など、社会問題になっていることもあり自転車に関する損害保険が非常に充実してきています。高額なスポーツバイクの盗難に対応したプランもあり、利用する人も増えています。
盗まれたら、保険で新しいのを買えば良い。そういうわけではありませんが、自転車ドロボーを防げないなら、その対応としてちょっとお金がかかっても保険に入る。検討する余地は十分にありますよね。