自転車のチェーンのメンテナンス、きちんと出来ていますか?ペダルを踏むたびに異音がする、なんとなく重いな、と感じているのにうっかり放置してしまう、そんなことはありませんか。チェーンをメンテナンスせず悪い状態のまま放っておくと、肝心な時に自転車を動かせない状態になったり、事故を引き起こす原因となってしまいます。適正な時期を見極め、きちんとした調整・交換を行いましょう。
自転車のチェーン調整をしないとどうなるの?①
自転車を整備するにあたり、チェーンが伸びてますね。ということをよく耳にしますが、チェーンの延びって実際にはどのような現象なんでしょうか?イメージしやすいのは、チェーンの金属部分が引っ張られて延びるイメージだと思います。しかし、自転車のチェーンの素材は、人間の力で引き延ばせるほど柔らかい金属でできているわけではないんです。それでは、なんで延びるのかというと、それはチェーンのプレートとプレート繋いでる丸いリンクの周りが削れていくことで伸びていくのです。チェーンが延びると、チェーンのリンクに小さな隙間ができ、チェーンの長さが延びてしまい、さらには横方向の剛性が柔らかくなります。漕ぐ力をしっかりと伝えて、変速性能の維持の為には、チェーンのメンテナンスと適度な交換が必要になってくるのです。
自転車のチェーン調整をしないとどうなるの?②
チェーンが伸びると、上記の通り、変速性能に悪い影響が出てきます。スポーツバイクなどについている外装変速と言われるものは、横のギアにチェーンを動かす為に、変速器が脱線させてギアのチェンジをしているんですね。その際に、チェーンは大きく引っ張られて変速機能が働いているのです。この時、チェーンが延びていると横の動きが柔らかくなって、隣のチェーンを横にギアに移らせるのに、いつも以上に引っ張らなければいけなくなってしまいます。そうすると、動きが悪くなったりしてしまうんですね。ちなみにディレイラーとは、英語のディレイルメントが由来で、意味は脱線です。横方向の固さを元通りの固さに復活させるには、チェーンを新調するしか方法がありません。
自転車のチェーン調整をしないとどうなるの?③
チェーンの構造はプレートとリンク部分で構成されています。チェーンはこの構成が何と100個以上もついているんですね(長さにも寄るのでおおよその数ですが)。力が加わると、チェーン全体の3分の1ほどのチェーンに力が加わります。つまり30~40個のリンクに力が伝わるます。という事は、ペダルに力を入れた瞬間にチェーンのリンクのアソビが大きければ大きいほど力が伝達するまでの時間のロスが出てしまい、さらにこのアソビが大きいほど、余分な動きをしなければいけないので力のロスも大きくなりってしまいます。この状態も、長さを短くしたからといって解決する問題ではないのです。
自転車のチェーン調整をしないとどうなるの?④
前述のした様にチェーンが伸びると横方向に柔らかくなってしまいます。新品のチェーンと伸びきったチェーンの2種類を用意して、比べてみると新品の方は1~2cmほどアソビとして伸びるのですが、伸びきったチェーンの方は5cmほど余分に伸びてしまっています。これではアソビとは言えませんね。延びきって柔らかくなったチェーンだと変速しようとしてもこれではうまく作動しませんね。チェーンは、切れる前に寿命が来ることがほとんどですが、前に進んでいるからといっても、その変化で自転車の性能にみえないところで大きく影響を及ぼしているのです。
当然ながら錆びたり、切れたりしたら交換しなければなりませんが、見た目上で問題がなくても、伸びをチェックし速やかに交換するのをオススメします。
自転車のチェーン調整をしないとどうなるの?⑤
さらに、チェーンが伸びた状態で乗り続けると、チェーンの一コマ一コマの間隔と歯の山と山との間隔にズレが生じてしまい、ギアの歯の磨耗が促進されてしまうという悪影響があります。特にカセットスプロケットは歯数が少ないためチェーンと接触する回数も多く、正常な状態でもその摩耗の進行が早いのですが、伸びたチェーンを使いづづける事によって尚更にその摩耗を加速させてしまうという事になります。そしれカセットスプロケットの摩耗が進むと、チェーンが滑るような「歯飛び」と呼ばれる症状が出ますし、フロントのチェーンリングに関しても悪影響があり、変速時に歯からチェーンが離れずに、そのままフレームに噛み込んじゃうことまで起こります。定期的な点検と早めの交換をしましょう。
自転車のチェーンを長持ちさせるには?
ではチェーンが延びるのをできるだけ先延ばしにする為の対策をお話します。それはズバリ、チェーンの掃除と注油をこまめに行うことです。汚れたチェーンは、小さな金属や砂利などを含んでいて、それがチェーンの摩耗の促進につながっているのです。さらにチェーンの油が無い状態での走行というのは、相当な負荷がチェーンにかかります。油があれば油膜と言われる薄い膜がチェーンをしっかりと保護してくれるのですが、それがなくなった状態だと金属同士が直接接触し、どんどんとギアもチェーンも削っていきます。
汚れや油切れによって発生する抵抗はあなどれません。定期的にチェーンの掃除と注油をするだけでも見違えるほどペダルが軽く回るようになりますよ。
自転車のチェーンの調整方法
ではチェーンの調整方法を見ていきます。
ここでは変速機のついてない自転車で紹介します。
・チェーンの調整(シティサイクル変速無し)
シティサイクルの場合はチェーンが見えていますので、前後ギアの中心位でチェーンをつまんで上下に揺らしてください。これで上下で2センチ以上動くようなときは調整が必要な目安です。用意する工具は15ミリのスパナ、10ミリのスパナ、プラスドライバーあたりです。まず15ミリスパナで後輪の左右のナットを緩め、タイヤが左右に揺れるくらい(車軸が前後に移動できる程度)に調整します。次にブレーキを固定しているバンドのボルトをプラスドライバーで緩めてください。後ろから見て右側にあるチェーン引きのナットを時計まわりに廻して締めます。その際、チェーンの張り具合を確認しながら締めていき、上下の揺れ幅が1センチくらいになったら反対側も動かしてタイヤとフレームの隙間を左右均等にしてセンターをだします。さらにペダルを後ろにまわしてチェーンのバランスを確認しましょう。全体的に均一になっていたら全てのネジを締め終了です。
・チェーンの調整(ママチャリ変速無し)
ママチャリはチェーンケースがあるのでそこからチェーンの具合をチェックします。確認の仕方は、スタンドをあげてキャリアを持ち、10センチほど持ち上げて放してください。その時にチェーンケースからガチャガチャとチェーンが接触する音がしたら調整が必要な状態です。この音は、チェーンの伸びにより、チェーンケースの内側に接触することにより発生する音なのです。
用意する工具は先ほどのシティサイクルの場合と変わりませんが、チェーンの張り具合の確認はチェーンケース裏側の隙間からしかできません。調整の方法は、シティサイクルと同じく、まずブレーキを固定しているバンドのボルトをプラスドライバーで緩め、続いて15ミリスパナで後輪の左右のナットも緩めて、タイヤが左右に揺れる程度(車軸が前後に移動できる程度)まで調整します。慣れが必要ですが、チェーン引きを時計回りに締め、その隙間に指をいれてチェーンを下に押さえた時、5ミリ位になったら反対側のチェーン引きも時計周りに締めていき、センターをだし、15ミリの左右のナットを締めます。
ここまで来たらまたスタンドをあげて10センチほど持ち上げて放します。このときチェーンケースから音がなくなれば調整成功です。あとはペダルを後ろにまわしてスムーズにまわれば、全てのネジを締めて完了です。
また変速機がある自転車は難しいのでショップで作業してもらうのがいいでしょう。