自転車のサドルは、体重を支える重要な部分であり、長時間自転車に乗る場合には、お尻が痛くなる、なんてこともあります。今回は、サドルの構造から自分に合ったサドルの選び方、そして交換方法まで、基本的な知識を確認してみましょう。これで、お尻の痛いサドルとはおさらばですね。
自転車サドル交換のための構造を知る
自転車のサドルを交換するには、まずどのように造られているのかを知るところから始めましょう。
まず基本のサドル座ですが、
これはプラスチックやカーボンなどで出来た「サドルベース」
衝撃を緩和するための「ジェル」や「発泡ウレタン」
ビニールや合成皮革などの「表皮」の3つで成り立っています。
滑り落ちることを防ぐためのノーズは、種類によっては付いていません。
レールは、サドルをシートポストに設置するためのものですが、衝撃を抑えるだけではなく、前と後ろの位置を調節することも可能です。
素材はチタンやキウムなど様々で、ものによっては中が空洞になっているタイプも存在します。
また、ママチャリなどには螺旋のような形をしたバネが付いていることがあります。
似たような部分に「サドルクランプ」があります。これはサドルとシートポストを繋げている部分を表します。
シートポストと組み合わさっているものと、独立しているものの2種類があります。
前者はスポーツタイプ、後者はママチャリなどに多く見られます。サドルの前後以外に、上下の傾きも変えられます。
最後は、先程から名前が出ている「シートポスト」ですが、これはサドルを支えている柱です。
鋼やアルミで出来ており、高さの調節に使います。外径は自転車によるので買う時は気を付けて下さいね。
自転車サドル交換のための選び方を知る
サドルを交換したいけれど、どれを選べばいいのか。そんな時は、まずどうして交換したくなったのかを考えてみましょう。
目的次第ですが、基本的には自分の好みとお財布の中身で判断すれば大丈夫です。ママチャリなどでは1,000円辺りから買えます。
理由のほとんどは「身体のどこかが痛むから」が多いので、今回はそんな時の選び方をお教えします。
・種類
クロスバイクなら幅の広いコンフォート系、ロードバイクなら幅の細いレーシング系にしましょう。
・乗る時の姿勢
サドルにバランス良く腰掛けていたら「谷型」、位置をちょくちょく変えていたら「フラット型」ですね。
・痛みによる
お尻や太ももの裏が痛ければ幅が狭いものを、お尻の横なら広いものを、股やその中心なら座面が平たいもの、股の端なら丸みを帯びているものがぴったりです。
また痛む原因が圧迫によるものなら、穴や溝が空いていたり、中にゲルが入っているタイプがおすすめです。スレてしまった場合は、ノーズが細いタイプを選びましょう。
もちろん何が合うかは人それぞれです。初心者は慣れるまでは、柔らかいサドルが良いでしょう。女性は骨盤が広い分、座面も広いといいですね。
それと「慣れ」というものがありますから、取り替えた後は、多少痛くても乗り続けましょう。
とはいえ無理はせず、どうしても乗っていられなければ、再び交換することも念頭に置くといいですよ。諦めずに、自分に合うサドルを見つけて下さいね。
自転車サドル交換のための理由を知る
自転車のサドルを交換する機会はそんなにありませんが、どうしても取り替えたいと思う時は、必ず何かしらの理由が存在します。
最も多いのは恐らく「不満がある」でしょう。
乗っているとお尻や足腰が痛くなったり、座った時の位置が決めにくかったり、デザインが好みではなかったりなど、不満点になりそうな要素は色々挙げられます。
中には、最初から気に入らなかったという理不尽な理由もありますね。
また特に不満はないけれど、別の問題が発生して取り替えざるを得なくなったということもあります。
壊れてしまったり、盗まれてしまったりといった不慮の事故ですね。たまに、何かに取り憑かれたという不気味な理由もあるようです。
意外と多いのが、他のサドルへの欲が出ることです。
これ以外には単純に飽きてしまった、重いので軽いものに変えたい、格好良いデザインにしたい、漕ぎやすいものが良いなどでしょうか。
実は、サドルのコレクションが趣味だという可能性も稀にありそうです。
冗談半分のものも混ざっていそうですが、以上がよく見られる交換理由です。
言い換えれば、サドルを取り替えることでこれらの悩みが解消されます。
サドルの交換を考えているのなら、まず「どうして取り替えたいのか」を考えると、選ぶ時のポイントになりますよ。
自転車サドル交換方法を知る
自転車のサドルを交換したいけれど、自分でやるのは難しいのではないか? そう不安に思っている人も多そうですが、大丈夫です。
想像しているよりもずっと簡単なので、試しに挑戦してみましょう。
やり方は、サドルクランプがどんな造りをしているかによって変わってきます。でも難易度はそう高くありません。
ママチャリなどに多い「やぐら式」と呼ばれるタイプなら、サドルクランプを留めているボルトとナットを緩めましょう。
取り付ける時は外す時と反対の動きをすればいいだけです。
ロードバイクやマウンテンバイクなどに見られる「一体型」というタイプなら、ボルトを六角レンチで1、2カ所ほど緩めれば取り外せます。
付ける時は、やはり反対に締めればオーケーです。
どちらのタイプも取り替えた後は、きちんと付いているか、ぐらついていないかなどを調べて下さい。
これを怠ると、怪我や事故に繋がりかねません。
またサドルの高さなども自分に合うように調節しましょう。
自転車サドルの調整方法を知る
自転車を乗るために重要なのはサドルの調整です。
これひとつでお尻の痛みや疲れ具合が劇的に変わります。
痛いので交換しようと考えている人は、その前にサドルを調整してみて下さい。ひょっとしたら痛くなくなる可能性があります。
今回は、なるべく簡単に、正しい姿勢を取れるやり方をお教えしますね。
まずは、錆を防ぐため、シートチューブの内側にグリスを塗ります(素材がカーボンならやめておきましょう)。
それからサドルを地面に対して水平になるようにします。サドルの上に板などを置いて、そこに水準器を載せるといいですよ。
続いて高さの調節をします。
シートポストのレバーを緩めるのですが、最適な高さはつま先がぎりぎり地面につき、ペダルを一番下にした状態で足を載せた時、膝が少しだけ曲がるくらいがベストです。
シートポストの限界をオーバーしているかどうかも確かめましょう。オーバーしていたら、フレームが身体と比べて小さいかもしれません。
また、骨盤が安定しない場合はサドルが高いという意味です。
これは実際に乗ってみて、少しずつ調節していきましょう。その際、自転車に乗る時の靴を履いて下さいね。
次は、前と後ろの位置を整えます。サドルクランクを水平になるようにしたら、前のペダルに足を載せた時、軸の中心から膝までが地面と垂直になっていたらオーケーです。
最後は向きです。股ずれなどにならないように、左右にぶれないかを確認すれば出来上がりです。
自転車サドルの価格を知る
自転車のサドルを交換するにはお金がどれだけ掛かるのでしょうか?
サドルの値段はそれこそ1,000円を切るものから、6~7万円するものまでと見事にピンキリです。
一般的にはママチャリ用が1,000~2,000円、ロードバイクなどは1~2万円くらいでしょうか。それでも10倍は差があります。
ママチャリは、日頃の生活で使うので、盗まれたり壊れたりすることも多いため、なるべく安いものの方が買いやすいようです。
一方で、ロードバイクやマウンテンバイクのようなタイプは、痛みの緩和や漕ぎやすさなどの機能面にこだわることが多く、自分に最適なものを求めているので、値段を優先順位のトップに挙げることはあまりありません。
同じサドルなのにこんなにも価格差がつくのは、サドルの重さによると言われています。
大体は、軽ければ軽いほど高くなる傾向があります。それは軽くするための素材が高価なので、完成品も相応の金額で売らなければ赤字になってしまうのです。
ですが「高い材料を使っている=良いもの」とは限りません。
どんなに優れていても、自分と相性が悪ければ使えません。
軽さを重視しないのなら、そんなに高くなくて、品質も良いサドルが手に入りますよ。
体重を支えるサドルの重要さ
自分にあったサドルに出会えたら、長く使えるようにメンテナンスを行いましょう。
固く絞ったタオルなどで拭き落せば、きれいになります。
日々のメンテナンスを怠らず、身体を支えるサドルに愛着も持ちましょう。
より自分好みの自転車へカスタムするための第一歩になるかもしれませんね。