ロードバイクに限ったことではありませんが、車輪で走る乗りもので、消耗が激しいのは、何と言ってもタイヤです。
自転車はチェーンも激しく消耗しますが、地面と接しているタイヤは、負荷の掛かり方が尋常ではありません。
それだけに、交換時期は気になるところですが、一般的に言われていることが、全てに当てはまるのでしょうか?
今回は、そんなロードバイクのタイヤの交換時期について、考えてみましょう。
ロードバイクのタイヤに示されている交換時期はあくまで目安
ロードバイクのタイヤは、走行中の摩耗はもちろんですが、外的要因による経年劣化も避けられません。
ゴムは紫外線や水分に弱いので、屋外で保管していると、自然に劣化していくと考えられます。
そのため、走行距離に関わらず、2~3年が交換時期と言われています。
しかし、ロードバイクはギア比が高く、車輪が高回転になるので、小さな異物が当たっただけでも傷や亀裂が入ります。
タイヤはゴムの塊ではなく、ナイロンやレーヨンなどの繊維を織り込んだものを、ゴムで覆っているという構造です。
表面がひび割れたり、小さな穴であれば即交換とまでは言えませんが、中にある繊維層に届いてしまうと危険信号です。
また、タイヤの地面との接地面は、走行中の摩耗により、平たく潰れてきます。
そうなると、転がり抵抗が増えて回転が悪くなりますし、本来のグリップ力が低下します。
そのため、以前よりスピードの乗りが悪い、滑りやすくなったなどと感じた場合は、交換時期が迫ってきていると考えられます。
ロードバイクのタイヤの交換時期を決める要素
ロードバイクのタイヤは、前項でお話したように、目安の交換時期は示されていますが、見た目や使用感で決めるのが最善です。
傷やひび割れがあるのに、「まだ2年経っていないから」と考えるのは危険です。
傷やひび割れは小さくても、そこから新たに異物が混入して、日々の加重によって、中まで貫通してしまうこともあります。
また、内部の繊維層である「カーカス」は、空気の高圧には耐えられますが、外的要因には極度に弱いです。
そのため、カーカスが表に出て地面と接触でもすると、そこから一気に破断して、バーストする可能性があります。
逆に、2年ほど使用しても、傷ひとつないとなれば、交換はまだ先と考えるでしょう。
ただし、見た目に傷がない場合でも、接地面は確実に摩耗が進んでいますし、ゴムの劣化も進んでいます。
ですから、見た目と共に、自分が乗って感じている使用感も、大切にしなければいけません。
コーナーを曲がるときに後輪が滑る感じや、ブレーキが効きにくくなったなども、タイヤの劣化が原因のことがあります。
ロードバイクのタイヤは後輪の方が消耗しやすい
ロードバイクのタイヤは、前後で摩耗の仕方が違います。
自転車は、後輪にしかチェーンが掛かっていないことでも分かるのように、後輪駆動です。
そのため、後輪の方に大きな負荷が掛かるので、タイヤの消耗も激しくなります。
さらに、ロードバイクのサドルは中心よりも後方に付いているので、どうしても重心が後ろに掛かってしまいます。
これもあくまで目安ですが、前輪のタイヤを1回交換する間に、後輪は2回交換するようなイメージです。
余談ですが、私の知人の90kgの巨漢は、前輪1回交換の間に後輪3回と嘆いていました。
それだけに、前後輪のタイヤの交換時期は、必ずしも一致するとは限りません。
現在は、交換時期を極力合わせるための方策として、自動車では当たり前のタイヤローテーションを行う人もいます。
自動車は前輪駆動が多いですが、タイヤの摩耗する箇所が前後輪で違うので、ローテーションをして摩耗を均等にするという目的があります。
それを自転車でもやってみようということですが、これには、ひとつ大きな注意事項がありますので、次項で詳しくお話します。
ロードバイクのタイヤでローテーションは?
ロードバイクのタイヤで前後輪のローテションはどうかというお話ですが、前輪がフレッシュな状態を保てれば問題ありません。
先述通り、後輪の方が早く摩耗するので、単なるローテーションだと、摩耗の激しい後輪が前輪に取り付けられます。
しかし、後輪よりも前輪の方が、車体を制御をしています。
そのため、走行中にバーストなどのトラブルが前輪にあった場合は、大惨事に繋がる可能性が高くなります。
また、接地面が摩耗しているタイヤは、ハンドリングが安定しなくなるので、ますます前輪には厳しいことになります。
そのため、その場合は、1本タイヤを新調し前輪に装着して、今までの前輪のタイヤを後輪に履かせる手があります。
1回行うと繰り返しになりますので、交換時期は永遠に交わらないかもしれませんが、安全度は、こちらのほうが高くなります。
ただし、ロードバイクのタイヤは自動車ほど高価ではありませんので、単純に前後どちらでも減ったら交換すると考えても、間違いではありません。
タイヤ交換時期の結論
さて、ここまでの話をまとめ、改めてロードバイクのタイヤの交換時期について、結論を出しておきましょう。
タイヤは摩耗と共に、経年劣化を伴いますので、目安の交換時期は2~3年です。
しかし、それ以前に傷やひび割れが目立ってきたら、黄色信号です。
表面上のことなら、簡易的な修復でも少し寿命は伸ばせますが、安心はできません。
特に表面のゴムが切れ、中のカーカスが見えているようなら、即時交換が必要です。
また、タイヤ中央の地面との接地面が摩耗して平らになり、タイヤ全体が台形状になってきたら交換を考えましょう。
すぐにバーストなどのトラブルは考えにくいですが、性能の低下が著しい状態ですので、交換時期が来ていると言えます。
タイヤの前後のローテーションも否定はしませんが、前輪をフレッシュにしておくことが重要です。
ロードバイクは、自動車が行き交う公道を走るものですから、タイヤにトラブルが起こり制御不能になれば、どうなるかは言わずもがなです。
そのため、タイヤは早めの交換を心掛けるのに越したことはありません。
ロードバイクのタイヤを選ぶ基準
ロードバイクのタイヤには、実に様々な種類があります。
そのため、交換時期が来ると、色々と調べながら迷う人も多いと思います。
大きさや太さは、規格によってある程度決まってしまいますが、考慮すべきは個々のタイヤの性質です。
その性質を、自分が走る用途と照らし合わせながら考えると、自分向きのタイヤが見えてきます。
例えば、これから本格的にレースへの参戦を考えている人は、軽量かつ転がり抵抗の少ないレースタイヤが良いでしょう。
しかし、耐久性や耐パンク性では少し劣るので、普段使いには不安が残ります。
そのため、普段使いや自宅から離れた場所でトラブルを避けたい人は、耐久性や耐パンク性に優れたものを選ぶべきです。
ただし、少し重くなりますし、そういったタイヤは太くてグリップも強いので、スピード面が犠牲にはなります。
このバランスが取れたタイヤが、オールラウンドに使えて万人受けするわけですが、価格は高めになります。
高めとは言っても、5,000円も出せば、各メーカーの上位モデルに手が届きます。
安全・快適に走行するためにも、タイヤにはある程度、お金をかけたほうが良いでしょう。
交換時期を決めるのはあなた自身
今回は、ロードバイクのタイヤの交換時期を考えてみました。
目安はあくまでも目安で、判断には見た目や使用感が大切です。
後輪の方が消耗は早いですが、カギを握っているのは前輪の方です。
状態を常に注視して、早めの交換を心掛けていただきたいと思います。