ロードバイクに乗っていて、意外にも盲点なのがチェーンです。
最初は、誰もがペダルの方やタイヤ、外観に意識がいくので、チェーンは見逃しがちです。
それでもロードバイクにおいて、チェーンは非常に大事なパーツの一つですので、その種類や役割について話していきます。
ロードバイクのチェーンの種類
ここでは、ロードバイクのチェーンの選び方についてご説明します。
その種類は大きく2つに分けることができます。
単段用と多段用です。
まずは単段について説明します。
これはシングルギアに用いられるもので、トラックレーサーやピストなどに使われるほか、内装変速車にも使われます。
次に、多段について説明します。
これは、外装変速機採用モデル全般に用いられ、外装変速のスポーツ車がこれに当てはまります。
さらに、外装変速の軽快車やピストバイクにも使用されることもあります。
続いて「ローラーチェーン」と「ブッシュレスチェーン」の構造の違いについてお話します。
ブッシュレーンチェーンは内プレートの形状変更によりブッシュ部分を簡略化しており、ブッシュレスチェーンの方が横方向の柔軟性があります。
「1/2」とは、チェーンの前後の長さ「ピッチ」(インチ)を表しており、これは単段・多段ともに共通のサイズです。
「1/8」や「3/32」とはチェーンの内幅(ローラー幅)を表し、「1/8」は単段用で、「3/32」は多段用です。
最後に、「内幅」と「外幅」について説明します。
スポーツ車では多段化が進み、チェーンの幅は段数が増える毎に細くなっています。
「内幅」はギア板の厚みに、「外幅」はスプロケットのスペーサー幅に関連します。
結論として、チェーンの種類は、基本的にはリヤ変速段数によって分けることができます。
ロードバイクのチェーンの種類②
ロードバイクのチェーンの種類の説明を続けます。
シングルギアや軽快車の場合、半コマ(ハーフリンク)チェーンの長さは「1/2」で同一ですが、重量が増えます。
しかし、強度があるためチェーンの場の調節が、通常のものよりも簡単に行えます。
厚歯ギアと薄歯ギアの2つの場合について説明します。
まず厚歯ギアの場合、「1/8」の厚歯用チェーンを使用します。
ここで注意して頂きたいのは、「3/32」の薄歯用チェーンを使うことはできないということです。
次に薄歯ギアの場合です。薄歯ギアでは、「3/32」の薄歯用チェーンの他にも、「1/8」の厚歯用チェーンも使用できます。
さらに、多段変速についても説明します。
多段変速では、使用できるチェーンがスプロケットの段数によって異なります。
それらは大きく4つ(6/7/8段・9段・10段・11段)に分けられます。
各段数のチェーンのピッチは同じですが、「幅(厚み)」が異なってきます。
また、段数が同一の場合、各コンポメーカーのギア板の厚みの差はほとんどありません。
そのため、純正チェーン以外のメーカーが販売するチェーンの中には「シマノ/カンパ対応」や「シマノ/スラム対応」と表記されたものもあります。
ロードバイクのチェーンの種類③
ロードバイクのチェーンの種類の説明を続けます。
シマノチェーンは大きく3つに分類できます。
1つ目はHGチェーンです。現在シマノの各段数で採用されているものです。
2つ目はIGチェーンです。現行モデルでの採用はなく、HGチェーンとの互換性はありません。
3つ目はUGチェーンです。現在は生産されていませんが、HGチェーンで代用できます。
HGチェーンを選ぶとき重要になってくるのは段数です。
ロード/MTBに用いられる8段用チェーンは6・7段にも使うことができます。
CN-7800は、10速初期の7800DuraAce用に使われます。
1本ライン付の幅5.5㎜のコネクトピンを使用します。
CN-7801/6600/5600については、現行の10速ピンを使用します。
ロード用10段やMTB用10段(HG-X)は、両者の互換性がないものの、コネクトピンは共通のもの(ロード10速用)を用います。
11段用(HG-X)はロード/MTBの共通化されたものです。
カンパニョーロチェーンは大きく3つに分けられます。ウルトラナローチェーン(10段)と
それ以前のチェーン、そして11段専用チェーンです。
スラムチェーンは4つに分類されます。
パワーチェーン(7/8段)とパワーチェーン(9段)とパワーチェーン(10段)と11段専用チェーンです。
スラムとシマノとの互換性は概ねあります。その他、細かな違いがあるものもあります。
チェーンのマスターリンク
チェーンを連結する方式は3つに分類できます。
1つ目は保持クリップを用いる方式です。
保持クリップをピンの溝に差し込むことで、マスターリンクを保持させます。マスターリンクとは、ロードバイクのチェーンの端同士を連結させるリンクのことです。
2つ目は連結ピンを用いる方式です。連結ピンで連結する方式で、マスターリンクは用いません。
3つ目はクイックリリースを用いる方式です。
クイックリリースとは、工具を使わずにチェーンの内リンク同士を容易に連結及び取外しができるようにしたマスターリンクのことです。
同じ種類ですが、各メーカーによって商品名は異なります。
シマノではクイックリンクという名称です。
ウイッパーマン社製のクイックリリースの外リンクは、コネックスリンクという名前です。
台湾のKMC社のチェーンの連結リンク(外リンク)は、ミッシングリンクという名称です。また、KMC社製のミッシングリンクプライヤーという工具があります。
SRAM社製チェーンのクイックリリースの外リンクは、パワーリンクという商品名です。SRAM社が買収したSachs社の名称です。
SRAM社製チェーンのクイックリリースの外リンクは、パワーロックと呼ばれています。
BBBバイクパーツ社製チェーンのクイックリリースの外リンクは、スマートリンクという名称です。10段チェーン用はスマートロックとメーカーは名づけています。
チェーンの噛み込みと柔軟性
ロードバイクにおけるチェーン噛み込みには2種類あります。
まず、チェーン噛み込み(チェーンサック)とは、クランクスプロケット下方のチェーンがスプロケットから離れず持ち上げられて、スプロケットとチェーンステイの間にチェーンが噛み込まれる現象のことを言います。
1つ目は、小スプロケットで駆動しているときに起こるものです。
2つ目は、中間スプロケットから小スプロケットへチェーンを移動している時に起こるものです。
噛み込みを起こしにくくするために、プレートの形状を工夫したチェーンやマウンテンバイク用のチェーン噛み込み防止板などがあります。
次にチェーンの柔軟性についてお話します。チェーンの横方向の柔軟性は、次の方法で調べられます。
まず、汚れ防止用の新聞紙などの上にチェーンの軸が水平になるように置きます。
次に、チェーン全体を水平面内で、手で軽く曲げられるだけ曲げます。この時、剛性の大きいものほど直径が大きくなり、柔軟性のあるものほど直径が小さくなります。
目安として柔軟性の少ないチェーンでは800㎜、柔軟性の大きいチェーンでは300㎜です。
前ディレイラーでは、柔軟性の大きいチェーンが良いが、後ディレイラーではある程度の剛性が必要です。
横方向の柔軟性の違いにより、スプロケット間のチェーンの移行(変速)特性が変わることがあります。
そのため、チェーンを交換したときは、ディレイラーの調整が必要なことが稀にあります。
チェーン案内とは
ロードバイクのチェーン案内の種類についてご説明します。
チェーン案内とは、前ディレイラーの変速において、チェーンが脱落しないように案内する部品のことです。
各メーカーで独自の商品名を付けています。以下で具体例を挙げます。
Aceco Sport Group社の商品名は、チェーンキャッチャーです。
Paris-Roubaixなどの悪路のあるロード競技で、チェーンが振動して変速時に外れるのを防止します。直付け式およびクランプに直付けの座が付いた形式のディレイラーに取付できます。質量は10gです。
N-Gear社の商品名はジャンプストップです。
フレームの立管に付属のクランプで固定します。適用できる立管の外径は、28.6~34.9㎜で、質量は30gです。
Third Eye社の商品名はチェーンウオッチャーです。
オフロードを走るマウンテンバイクに使用されることが多いです。樹脂製のブラケットを、付属のステンレス鋼製のホースクランプでフレームの立管に固定します。適用できる立管の外径は28.6~34.9㎜で、質量は15gです。
このように、ロードバイクのチェーンの案内は様々なものがあります。
ロードバイクのチェーンは知る事がたくさん!
ロードバイクのチェーンを語る上でこれらの他にもたくさん知るべき知識があります。それらを完全にマスターしようというのは厳しいので、少しずつ覚えていき、ロードバイク乗りのマスターになりましょう。沢山の種類があるので、どれが適切なのかその人の好みにもよるところもありますので、自分ならではのチェーンを知っていきましょう。