シマノのデュラエースハブを手組で使う人は、結構多いと思います。
また、シマノの完組ホイールを使えば、知らずに使っている可能性もあります。
今回は、デュラエースハブについて解説していきます。
シマノ・デュラエースハブとは
シマノがデュラエースを発表したのは、1973年のことです。
そのころは、まだホイールというものは、手組で組むのが当たり前でした。
当然、デュラエースのホイールというのは存在せず、デュラエースのハブだけが発売されていました。
ユーザーはハブ・スポーク・リム・ニップルを選び、自分で組み立てるか、お店に依頼するかして、ホイールを完成させていたわけです。
しかしシマノも、1999年にWH-7700という完組ホイールを発売します。
1990年台後半から、完組ホイールが発売されるようになっていきましたが、その波にシマノものっかったわけです。
WH-7700に使われていたハブを、デュラエースハブと呼称するわけではありませんが、デュラエースグレードのハブが、新たに完組ホイール用のものが加わったと理解するべきでしょう。
次世代のWH-7800には、デュラエースの呼称が採用され、それに使われているハブも完組用のデュラエースハブということになります。
その後、デュラエースのホイールは進化していき、それに伴ってハブも進化していきました。
一方で、手組用のハブは堅牢なつくりを変えずに、着実に進歩していきました。
完組用のハブはストレートプルですが、手組用のハブは首折れスポーク用となっています。
手組におけるシマノ・デュラエースハブの位置づけ
デュラエースのハブは、他のハブに比べて、どのような位置づけで認識されているのでしょうか?
ハブを製造しているメーカーとして私が思いつくのは、DT Swiss・Novatec・TNI・Powerway・Chosen・Cris King・GOKISO・シマノ・Extraliteなどです。
軽量なホイールをつくりたい方で、お金に糸目をつけないならExtralite、コスパも考えるならNovatecかTNIでしょうか。
私自身は、EnveのリムにTNIのハブ、Sapim CX RAYのスポークを使ったホイールを所有しています。
回転性能を重視するなら、断然GOKISOを選ぶべきでしょう。
アマチュアのレースで多くの実績を出しており、特にヒルクライムとダウンヒルでは、その性能を存分に発揮するそうです。
ただ重量はかさむので、重量を気にされる方は使えないかもしれません。
その中でシマノは、チタン製のハブボディを持ち、ある程度の軽量化は達成しながらも、堅牢なつくりになっています。
通勤用やブルぺなどで、耐久性の高いホイールが欲しい方には、一番選ばれるハブになります。
DT Swissは、ジャイアントやボントレガー、レイノルズの完組ホイールなどに使われているハブです。
手組で首折れスポークを使う際には、テンションを上げづらいなどの問題があるようです。
DT Swissを使うならば、断然ストレートプルスポーク用のハブを使った方がよいでしょう。
デュラエースハブのもう一つの大きな特徴として、カップアンドコーンでベアリングを固定していることがあげられます。
現在は、ほとんどカップアンドコーンのハブは発売されなくなってしまいました。
主な理由は、重量がかさむからということです。
しかし、カップアンドコーン構造のお蔭で、横方向への変形に強くなり、コーナーやダンシングでバイクを振った時に、ハブの歪みが少なくなります。
重量を犠牲にしてでも、コーナリング性能やダンシング性能を上げたい方にも、やはりデュラエースハブは優れていると言えます。
シマノ・デュラエースハブ:完組ホイールのハブ
シマノの9000デュラエース、そして今年発売された9100デュラエースには、ハブは手組用のものしか単独で売られていません。
しかし、WH-9000やWH-9100のハブは、完組用に作られたストレートプル専用のハブです。
完組ホイールのハブと手組用のハブは、どう違うのかみてみましょう。
まずは、使用できるスポークの数が違います。
手組の後輪ハブの場合だと、24・28・32・36ホールが選べます。
しかし、完組ホイールのホール数はフロント16、リア20となっています。
なぜこのようにホール数を減らしても、ホイールが出来上がるのでしょうか?
完組ホイールは、スポーク・リム・ハブが総合的に考えられて設計されており、それぞれが専用品となっている場合も少なくないです。
もし、完組ホイールについているデュラエースハブを手組で組みなおそうとすると、どうなるでしょうか。
まず16・20ホール数の前後リムを探さなければいけません。
一応ラインナップに入れているリムメーカーもあるのですが、体重制限が気になります。
しかもスポークも、専用品を使わなければいけない様です。
細いストレートプルスポークなら入りますが、それでちゃんとしたホイールになるかは別問題です。
形が出来上がったとしても、リムのオフセットなどはハブとスポークに適合していないでしょう。
また、ゆがみやすく、コーナリングが怖くなる、とんでもないホイールになっていまいます。
完組ホイールが、修正不可能なほど、ゆがんでしまった場合は、ハブを再利用しようとしても難しいようです。
そういう意味では、完組デュラエースハブは、使い捨てのハブといっても、いいかもしれません。
シマノ・デュラエースハブの悪い所
デュラエースハブの問題点としては、フリーの分解が難しく、再び組み上げるのも少し大変ということがあげられます。
カンパニョーロや、私の使っているTNIのハブだと一瞬で分解し、グリスアップがすぐに出来るような構造になっています。
しかし、デュラエースハブは、グリスアップが億劫になってしまうことでしょう。
分解しやさと耐久性は表裏一体、TNIは頻繁にグリスアップすることが必要です。
一方で、デュラエースハブは、メンテナンスフリーとまではいきませんが、グリスアップや調整の回数が少なくて済みます。
シマノの設計思想としては、ハブだけではないですが、非常に耐久性を重視していることがあげられます。
メーカーによっては、ステージレースでの200㎞か300㎞性能が持てばいい、というような思想を貫いているところもありますから。
デュラエースハブの問題だけではないのですが、11速になり、フリーが延長されたことにより、手組では丈夫なホイールを組むのが難しくなりました。
フリー側と反フリー側のテンションの差を、吸収するのが難しくなってしまったのです。
オフセットリムなどを使えば、解決できないことはないですが、非常に選択肢が少なくなってしまいます。
手組で組みたいなら、スポーク本数多めで、10速以下の構成で考えないと辛い時代になりました。
11速だと、どうしても完組ホイールに重量面や剛性面で勝るホイールを作るのが難しく、値段も完組ホイールより、高くなってしまう可能性があります。
シマノ完組ホイールの中のデュラエースハブ
シマノのRS81というホイールがあります。
噂の真偽はわからないのですが、RS81は、デュラエースのクリンチャーホイールとハブだけが違い、リムは一緒だと言われています。
ここでその噂を検証する気はありませんが、ハブが違うのは確かです。
同じように、FulcrumのRacing Zero1とRacing 1、CampagnoloのBora One とBora Ultraなども、リムは同一のもので、ハブだけ仕様が違うホイールです。
ハブが違うと、何が違うのでしょうか?
シマノの1世代前のホイールの、RS80とWH-7900 C24を乗り比べたことがありますが、結論からいうと、何も変わりません。
ハブというのは、漕ぎだしの軽さには、ほとんど貢献しません。
またコーナーでも、シマノのハブはRS80に使われているものも、軽量ではなくとも丈夫なので、たわみを感じずにスムーズにコーナーリングをこなせます。
RS80やRS81を選ばずに、デュラエースホイールを選ぶというのは、100gの軽量化とデュラエースという名前を買っている、ということです。
まとめ:シマノのデュラエースハブは買いか??
デュラエースハブは、チタンのハブボディ―とカップアンドコーン構造という意味では、唯一無二のハブです。
しかし、チタンというところに魅力を感じなければ、手組でシマノハブを選ぶなら1グレード下のアルテグラハブや105ハブでもいいでしょう。
完組ホイールでもRS81を選ぶ方が、お財布には優しいし、走りにも不満が出ないのではないでしょうか。