トライアルというものをご存知ですか?
障害物を自転車に乗ったまま越えていく自転車競技です。
「そんなの無理!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし練習を積み重ねれば、あなたもできるようになるかもしれませんよ。
今回は、そんなトライアルの練習法をご紹介します。
トライアルってどんな自転車競技?
トライアルとは自転車競技の一種ですが、順位を競い合うのではなく、決められたコースを回る中で、停止や転倒の回数がどれくらいだったのかを比較します。
1970年代のスペインで、子供がバイクのトライアルの真似をして遊んでいたことから火が付き、徐々に本格的な競技として世界中に知られるようになりました。
身体能力も必要ですが、どちらかといえば、自転車を上手くコントロールする技術やバランス感覚が重視されます。
なので、背の低い日本人でも練習を積めば、外国の人と同等の腕前を披露することが出来るのです。
世界各国で開催されたトライアルで、上位陣に引けを取らない成績を残している日本人も数多く存在します。
トライアルの良いところは、誰でも気軽に始めることが出来るという点でしょう。
幼少期から腕を磨いてきたという人もいれば、老後の新しい趣味のつもりで手を出したという人もいます。
また、乗り手の体格や筋力に合わせたコースが作れるので、難易度調整が行いやすいというメリットもあります。
ただコースを走るのではなく、あらゆる技を駆使したパフォーマンスのような競技でもあるので、見ているだけでも楽しくなるのがトライアルです。
実際に市街地を舞台として大会が開かれることもあり、これにはショーとして楽しんでもらうだけではなく、多くの観客を集めることで、トライアルという競技をさらに広めようという狙いも含まれています。
トライアルの基本、「スタンディング」の練習
トライアルの基本的な動きが「スタンディング」です。
例え初級クラスだったとしても、大会に参加を希望するなら、最低でもこの技は身に付けておきましょう。
スタンディングの練習をする際には、よく自転車のハンドルを左右に動かすことでバランスを取ろうとする人がいます。
これはハンドルの位置が戻らなくなったり、地面が抉れて上手く走れなくなる可能性があるので、なるべくやらないで下さい。
左右の足の位置とハンドルを曲げる方向は、どちらが正しいというのはなく、自分がやりやすい方を選びます。
今回は右足を前に出して、左に向かってハンドルを切るものとして説明していきます。
まず前進していくときに転びそうになったら、ブレーキは掛けないで、少しだけペダルを漕ぎましょう。
最初のうちは勢いが付いてしまい、進みすぎてしまうかもしれません。
慣れてくれば、10cm程度しか進まなくなります。
進んでしまったら、今度はブレーキを掛けます。
そして腰を後ろへ引いて、すぐにブレーキを解除しましょう。
あとは慣性に任せて、元の位置まで下がっていくだけです。
利き足には力を入れる必要はありません。
そのままバックして下さい。
ブレーキで微調整を行うことが大きなポイントとなっています。
もちろん、一番はその場できちんと停止出来ることなので、何度か繰り返してコツを掴んで下さい。
スタンディングの次はホッピングの練習
トライアルの基礎であるスタンディングをマスターしたら、今度はホッピングの練習を行います。
平地ではスタンディングだけでも十分ですが、障害物の多いコースでは、ホッピングを駆使してバランスを取ったり、方向転換をすることが多くなります。
何度も練習をして、腰を使って重心を移動させていくコツを掴みましょう。
まずは自転車を停止させて、ハンドルを真っ直ぐ伸ばします。
そして前輪を押し潰すようなイメージで、腰を深く落とします。
そのまま腰を後ろへ、ハンドルを手前に引くと前輪を浮かすことが出来ます。
このとき、両腕を縮めてはいけません。
後は左に傾けつつ、前輪の位置が真っ直ぐになるように調整して、地面へと落としていきます。
すると真横を向いていた自転車の向きが変わります。
動きを大きくすると、角度はさらに変化します。
前輪が着地した瞬間の衝撃は、腰で受け止めましょう。
この一連の流れをつっかえることなくスムーズに出来るようになれば、初級クラスに挑戦するだけの技術は身に付けたことになります。
これで満足するのはもったいないので、さらなる高みを目指してこれからも腕を磨いて下さい。
トライアルならジャックナイフの練習もしよう
トライアルが気になっている人は、ウィリーかジャックナイフから練習してみると良いでしょう。
今回はジャックナイフについてお伝えしたいと思います。
まずは助走を付けていきますが、速度を上げすぎると前のめりに転倒する可能性があります。
いつでも止まれるくらいの遅いスピードを維持して下さい。
そして前側のブレーキを掛けながら、重心を前へとずらしていきます。
足の力を抜いて、突っ張ってしまわないように気を付けて下さい。
肩とハンドル、前輪の軸が一直線に並ぶくらいまで後輪が浮き上がったら、ハンドルを押し込むような形で両腕を伸ばし、浮いてくる後輪とぶつからないように両足を軽く折り曲げます。
後輪がお尻に当たったら限界という合図です。
それ以上浮き上がらせると、そのまま自転車ごとひっくり返ってしまうため、曲げていた足を再び伸ばして下さい。
後輪が無事に地面に付いたら、ジャックナイフは成功となります。
コツは体重を移動させすぎないという点でしょうか。
前方に負荷を掛けすぎると、乗り手も地面に投げ出されて大怪我を負うかもしれません。
それはとても危険なので、上手く調節して下さい。
自転車で階段登り:カニ登り
トライアルを始めたばかりのころは、自転車に乗ったまま階段を上がっていくことを練習してみましょう。
シーソーやホッピングなど、登り方は色々ありますが、今回は「カニ登り」をお伝えしたいと思います。
まずは利き足を階段の方へ向けた状態で、自転車を真横にセットします。
登るときは反発力を得るために、一瞬だけ身体をハンドルに被せましょう。
すると前輪が浮いてくるので、1段目の真上に重心をずらし、身体の真下へ自転車を移動させます。
前輪が段の上に着地したときは、必ず身体に対して真っ直ぐになるようにして下さい。
捻れたままで登り続けると、どんどんバランスが崩れていきます。
着地と同時に重心を前方へとずらしていき、ジャックナイフを行うように後輪を浮き上がらせます。
そして、浮いた後輪を蹴って回転させるイメージで横に移動させて、1段目に乗せましょう。
ジャックナイフをした後は前輪に負荷が掛かっているため、身体を起こして前輪を浮かせます。
軽くハンドルを手前に引くことがコツです。
この動きを繰り返していき、階段のてっぺんまで登ります。
自転車で階段下り:カニ降り
トライアルで練習すべきことのひとつに「階段の上り下り」があります。
基礎的な技術なので、早めに身に付けましょう。
自転車をそのまま真っ直ぐ下に向けて下りても構いませんが、ここではカニのように横向きで進む方法をお伝えします。
まずは、階段と平行になるようにスタンディングします。
そうしたら腰を引いて、下っていく方向に軽く自転車を傾かせ、フロント部分を引き上げます。
そのまま腰を元の位置に戻し、前輪を下の段に落としましょう。
前輪に付いていくようなイメージで、重心を前方に移動させながら、後輪を浮き上がらせます。
利き足の方へ振るならカカトで蹴って、反対側へ振る場合は、足の裏で引っ掻くようにして動かしましょう。
後輪が落ちたら、すぐに重心を後ろへずらして下さい。
この反動を利用しながら、再び前輪を持ち上げます。
シーソーを思い浮かべれば、分かりやすいかと思われます。
この繰り返しで、下まで進んでいきます。
コツは、ゆっくりと下りていくことです。
焦ると滑り落ちてしまう可能性があります。
全身の力を抜いて、自分のペースで移動しましょう。
最初はできなくても大丈夫
トライアルの練習をしてみて、上手くいかないことがあるかもしれません。
もちろん、最初から上手にできる器用な人もいると思いますが、皆が皆そうではありません。
最初はできなくても落ち込まず、焦らず何度も練習を重ねてください。
そうすればきっと、色々なテクニックを身に着けられると思います。