ロードバイクのクランクですが、最初は、完成車に付属しているものを使用している方がほとんどかと思います。
しかし、走行性能を大きく左右するパーツですので、どこかでは交換を考えたいところです。
クランクはコンポに属するので交換には条件がありますし、クランクアームの長さや、チェーンリングの歯数などにも数種類あり、仕様も様々です。
また、交換にオススメのメーカーもありますので、クランクの交換に際しての注意事項なども含めてお伝えしていきます。
ロードバイクの「クランク」の構造を正しく理解しよう
ロードバイクの「クランク」は広い意味でとらえられてしまっていることがありますので、まずクランク周りの構造からご紹介します。
スポーツバイクのクランクは「クランクセット」と呼ばれることが多く、冒頭でも触れましたが、コンポの構成パーツの一つです。
実際に回す棒が「クランクアーム」で、先端に付属するフロントギアの歯車が「チェーンリング」、これを合わせてクランクセットといいます。
そして、チェーンリングの反対側にペダルが付きますが、ロードバイクは一部を除きほとんどが別売りで、完成車に付属していることは少ないです。
このように広義にとらえられているクランクとは、クランクアーム、チェーンリング、ペダルの組み合わせによって成り立っています。
そして、クランクセットと切り離して考えることができないのが、フレームとの橋渡し役であるBB(ボトムブラケット)であり、交換の際は互換性が重要になります。
また、コンポの構成パーツであることから、単体での交換が条件付きとなるため、クランクの交換だけにとどまらず、コンポ全体の交換がオススメされることもあります。
今回は、そのあたりの条件なども確認していきましょう。
ロードバイクのクランクセットは単体で交換できない場合もある
ロードバイクのコンポには連動性があり、基本的には、リアの変速段数に合わせる必要があります。
これは、全体がチェーンでつながっているからであり、チェーンの歯はリアギアの歯車であるスプロケットの厚さや間隔に合わせられています。
つながっているクランクセットのチェーンリングも、チェーンの幅に合わせられていますので、コンポはリアの変速段数に合わせる必要があるのです。
世界を代表するコンポメーカーの一つである「シマノ」のロードバイク用コンポには、リアの変速段数が異なる複数のセットが用意されています。
中でもリア11速のコンポは3種類ありますので、この3種類間であればクランクセットのみの交換も可能ですし、後ほど詳しくお話ししますが、むしろオススメしたいくらいです。
しかし、その他のリア8速、9速、10速コンポからの交換となりますと、上記の理由で単独の交換はできませんので、コンポ一式の交換になってしまいます。
完成車のクランクセットのオススメはシマノ製!
クランクセットはコンポの中でも高価な部類になるため、最初に選ぶ完成車では、他のパーツよりも下のグレードのものが採用されることもあります。
さらには、完成車向けに安価に製造されている、別のメーカーのクランクセットが採用されていることも少なくありません。
これは厳密に調査したわけではなく筆者の感覚ですが、ロードバイクの完成車の約80%以上がシマノのコンポをメインとしていると思われますので、やはり今回のお話もシマノを中心にさせていただきます。
シマノには「105」というリア11速のコンポがありますが、初心者向けのエントリーモデルから、カーボンフレームのミドルグレードまで、実に幅広く装備されています。
この105をメインコンポとした完成車では、クランクセットが別メーカーや、シマノでもノングレード品になることが多いです。
そのため、まずはここを105グレード、ないしはもっと上位のグレードに交換することをオススメさせていただきます。
ロードバイクで11速コンポを使用?シマノ・105以上がオススメ!
クランクセットを製造しているメーカーは多いので一概には言えませんが、シマノ・105やそれよりも上のグレードが他社よりも優れているのは、変速性能です。
ロードバイクのフロントギアは基本的に2速ですので、ギアチェンジ、特にチェーンを持ち上げる必要があるシフトアップの際は、非常に大きな力が歯車に掛かります。
そのため、歯車に強度がなく振動してしまったり、剛性が足りないとたわんでしまいますので、変速時に大きな音がしたり、スムーズさを欠いてタイムラグが発生したりします。
これが、シマノでは105以上になると強度が上がりますし、さらに上位グレードの「アルテグラ」と「デュラエース」のチェーンリングは群を抜いて剛性が高くなります。
ほぼ一発で、しかも無音でギアチェンジが行われると言っても過言ではありません。
なお、シマノのチェーンリングは11速コンポ同士であれば単体での交換ができますので、クランクセットの交換よりも、かなりリーズナブルに行うことができます。
しかし、他メーカーのクランクアームにシマノのチェーンリングを組み合わせるのは、PCD(ギア取り付けピッチ径)やチェーンラインの問題があり、簡単にオススメはできません。
ロードバイクショップに相談されるのが賢明でしょう。
他メーカー製からシマノクランクに交換する際にオススメする組み合わせ
前項ではクランクセットでもチェーンリングのお話をしましたが、クランクセットごとの交換を考える場合も、もちろんあろうかと思います。
その場合に注意をしていただきたいのは、以下の3点です。
・フレーム、BBとの互換性
・クランクアームの長さ
・チェーンリングの歯数構成
まずはフレーム、BBとの互換性ですが、シマノ同士の交換であれば問題はありません。
しかし、他メーカーのクランクセットからの交換ですと、ほとんどがシマノとは違う規格ですので、対処する必要があります。
その場合、当然ながらフレームをいじることは不可能ですので、BBで対処していきます。
シマノのロードバイク用のクランクアームはシャフト(回転軸)の太さ(径)が24mmですので、これに合わせた変換BBを使用するか、フレームにアダプターを挿入して、シマノのBBを使用可能にするかの選択になります。
シマノはBBにもこだわりがあり、剛性や安定した回転力にも定評がありますので、オススメはアダプター+シマノBBということになります。
アダプターは人気製品でもあり複数のメーカーから発売されていますので、選択肢が多く、やはりこちらがオススメになります。
ロードバイクのクランクセットの交換時に改めて見直したい要素
ロードバイクのクランクセットの交換を考えていますが、クランクアームの長さを見直してみる手もあります。
一般的には165mm、170mm、172.5mm、175mmとなり、完成車ではおおむね最初に長さが選べるようになっています。
しかし、最初はあまりよく分からず、店舗にすすめられるままに決めている可能性が高いですし、慣れて脚力も付いてくれば、適正値が変わってきてもおかしくはありません。
以前は、身長の1/10という決め方が一般的だったのですが、プロ選手の中には極端なサイズで好結果を残している選手も多いため、「参考にできるかどうか微妙」という意見もあります。
股下を参考にして導き出す計算式などもありますが、オススメしたいのは、自分の感覚にしたがうことです。
アームが短くなりますと足の可動域が減る分、ひざの関節に負担が掛からなくなりますので、軽いギアを高回転で踏むことができるようになります。
そのため、ひざ付近に痛みが出るような方や、クランクの回転数を上げるような乗り方が合っていると考えれば、今よりも短いアームがオススメになります。
また、アームの長いクランクは遠心力によってクランクに体重を乗せやすくなります。
スピードを維持する際に重いギアをゆっくりと回すような乗り方、また、平坦な舗装路がメインであれば効果は大きいです。
そして、こういった自分の乗り方や用途に合わせていくと、フロントギアであるチェーンリングの歯数構成もおのずと見直すことになるでしょう。
軽いギアを高回転で回すのであれば歯数の少ないギア、反対に重いギアをゆっくりと回していくのであれば歯数の多いギアを選ぶとよいでしょう。
クランクセットはロードバイクの駆動の要である!
ロードバイクにおいてクランクセットはコンポの顔と言われることもあるように、駆動の要の部分です。
そのため、自分の脚力やレベルに合わせてグレードアップをしたいところですが、互換性もありますので、交換する際はよく検討する必要があります。
その互換性の点をクリアできるのであれば、オススメしたいのはシマノの11速用コンポです。
特に、変速性能においては優秀ですので、ロードバイクのこの上ないグレードアップになることでしょう。