自転車は購入当初はきれいに塗装がされていることもありピカピカできれいなものですが、気がつくとサビが発生してしまうものでもあります。
自転車のサビは見た目を悪くするだけでなく、性能を落とすことにもなってしまいますので、そのまま放置しておいてはいけません。
そこで今回は自転車のサビに付いて、原因やサビ取りの方法、サビ付きの防止方法などについてお話しします。
自転車でサビ取りが重要な理由
自転車は本体を始め、多くの金属製パーツが使用されており、雨風にさらすのが避けられないため、どうしてもサビは付きます。
塗装がサビ付き防止の意味合いもあるため、本体がサビだらけになってしまうのは相当なことですが、チェーンやギア、サドルのレール、シートポスト、そしてネジ類などはむき出しですからサビ付きやすいです。
サビは赤茶色く決して美しいものではないため、せっかくきれいに塗装してある自転車の見た目を著しく悪くしますし、チェーンなどがサビ付くと衣服を汚してしまう可能性もあります。
また、チェーンがサビると動きが悪くなりぺダルを漕いだ力がしっかり伝わらなくなりますし、ギアとの噛み合わせが悪くなり変速がスムーズにいかなくなったリ、異音がするようにもなります。
さらにブレーキやシフトのワイヤーもサビが出やすいのですが、ワイヤーはサビがひどくなると切れてしまうこともあるので大惨事になりかねません。
そしてネジ類もサビると山が潰れてしまい、パーツの取り外しの際に外れなくなってしまうこともあります。
パーツが寿命を迎え交換が必要な際にネジが外れなければ、高額な修理代を払うことになるか、最悪は自転車ごと買い替えることになってもおかしくありません。
このように自転車のサビは見た目の問題だけでは済まないため、なるべくサビ付かないようにしなくてはなりませんし、付いたサビは早急にサビ取りをする必要があります。
自転車の軽度なサビ取りなら潤滑剤が効果的
ここからは自転車のサビ取りについてお伝えしていきますが、軽度な状態の場合は市販の潤滑剤を使用する方法があります。
有名なのは呉工業の「クレ5-56」シリーズで、サビに浸透して浮き上がらせてくれますので効果は高いです。
スプレータイプのものであればサビた箇所に直接吹きかけ数分置いておき、サビが浮き上がってきたところで布でサッと拭き取れば、浸透力が強いので軽度なサビはこれだけで落とすことができます。
ただし、こういった潤滑剤はオイルまで取り去ってしまうため、潤滑がしてあるチェーンやギアに使用する場合は、サビ取りを行った後にオイルを塗り直さないとまたすぐにサビることになります。
また、自転車には「グリス」という固形の潤滑油が使用されている部分があり、そこに潤滑剤が浸透してしまうとグリスを流してしまいます。
ハンドルをフレームに装着しているの付け根の周辺、クランク、ペダル周り、車輪中央のハブなどにグリスが塗り込まれていますので、潤滑剤をスプレーする場合はそこに掛からないようにマスキングなどをして行ってください。
進行してしまったときのサビ取り方法
前項でお伝えした潤滑剤でも残ってしまうような自転車のサビには、真鍮製のブラシを使ってこする必要が出てきます。
真鍮製のブラシであれば鉄の地肌を痛めませんし、ねじやボルトの山をなめないで済みますのでおすすめですが、あまりガシガシこすると傷が付いてもおかしくないので、なるべく力を入れずにこすります。
また真鍮も金属に変わりはありませんので、塗装面をこすってしまうと塗装を剥してしまう危険性もあるので、ハンドルやシートポストなど塗装面に近い箇所をこする際は十分に注意して行ってください。
そして、ブラシでこすった箇所は表面に浅い傷やこすりムラができますので、研磨剤入りのサビ取りクリームや200番台の目の細かい紙やすりで均してあげると良いでしょう。
ただし、チェーンやギアは歯が薄く研磨をすると金属がやせてしまうので行わないほうが賢明ですし、特にチェーンはブラシでこすらなければならないまでにサビが進行していると摩耗も気になりますので、交換も視野に入れたほうがよいでしょう。
自転車のチェーンは特にサビ取り、潤滑が重要になる
前項でも触れましたが、自転車のサビで特に注意が必要なのはチェーンです。
サビ取りはここまでお伝えしてきた方法でよいのですが、サビが進行しているということは劣化が進んでいるということになり、「伸び」という現象も出ているはずです。
チェーンは小さなコマ同士が繋がって1本になっていますが、コマを繋ぐピンの周りに負荷が掛かることでピン周りが削れていき、コマ間にすき間ができます。
そのすき間がコマ全体にできるとチェーンが長くなってしまいますが、その現象のことをチェーンでは伸びと呼びます。
伸びはサビて動きが悪くなれば余計に負荷が掛かって進行しますし、コマ間に入り込んだ小石やギアとの削れカスなどの異物がチェーンを削って進行することもあります。
そのためサビ取りはもちろんのこと、日々のメンテナンスでの洗浄とオイルでの潤滑が不可欠になります。
オイルには防サビ効果もありますので、パーツクリーナーなど脱脂効果のある溶剤で洗浄をしてから、オイルを塗れば潤滑と共にサビ付きも抑えることができます。
自転車のワイヤーがサビ付くと大惨事になる可能性もある!
自転車のサビですが、各種ワイヤー類もサビ付きに要注意な部分です。
自転車には変速機が付いていて、ワイヤーが変速機を動かしますので、前後にギアのある自転車はシフトワイヤーが2本あります。
またブレーキもディスクブレーキなどの一部を除きワイヤーがアームを動かす仕組みのため、これも前後用で2本付いています。
ワイヤーは金属製のインナーを樹脂製のアウターで覆っていますが、インナーがむき出しの部分や、アウターが劣化して切れそのすき間から水や泥が内部に侵入して、インナーをサビ付かせてしまいます。
シフトワイヤーがサビてしまうと変速がスムーズにいかなくなりますし、ブレーキワイヤーはレバーの引きが重くなったリ戻りが悪くなったりもします。
また先ほども触れましたが、サビたワイヤーはほつれて切れやすくなりますので、もし走行中にブレーキワイヤーが切れて制動が不可能になってしまえば大惨事になる可能性もあります。
そのため定期的にサビ取りを行い、サビがひどくなってきたら交換するのが賢明です。
なお、同じサビ防止でもシフトワイヤーは「オイル」、ブレーキワイヤーは「グリス」を使用しますので、間違えないようにしてください。
自転車をサビ付かせないようにするには
自転車に発生してしまったサビは早急にサビ取りを行う必要がありますが、やはりサビ付かせないようにすることも大切です。
サビの主な原因は雨や水たまりの上を走ることで付着する水ですから、外を走り屋外に保管することが多い自転車ではある程度避けられないとも言えます。
雨の日には乗らないと決めていても突然の夕立ちなどがありますし、路面が濡れていれば泥はねくらいはありますので、完全にガードすることはほぼ不可能に近いです。
そのため雨や泥はねに遭遇したら水分を拭きとり、梅雨時期などで連続して遭遇した場合はサビ防止のために各所にオイルを塗っておきましょう。
また保管場所もなるべく雨風にさらされないところが良いのでベストは室内ですが、そうもいかない場合にはビニール製のカバーを掛けておきましょう。
軒下やガレージなどで雨にさらされないとしても、特に海の近くなどでは潮風もサビの原因になりますのでカバーを掛けておいたほうがよいでしょう。
自転車のサビを放置してはいけない!
自転車のサビは見た目が悪くなるだけでなく、性能を落としパーツの寿命を短くしますので、定期的にサビ取りを行う必要があります。
チェーンやギア、ハンドルに車輪の外周部分、ワイヤーの付け根など塗装がされておらず金属がむき出しになっている部分は特にサビ付きやすいので注意してください。
また保管場所やカバーを掛けるなどして、サビ付かないようにすることも大切です。