自転車のペダルは費用面からも作業面からも、他のパーツに比べ比較的簡単に交換することができます。
常に足の裏と接触している部分のため、ペダル1つで自転車の乗り心地も変わってくるものであり、自分に合うペダルを選択することで走りの質を向上させられるかもしれません。
今回はそんな自転車のペダルの交換方法などをお伝えします。
自転車のペダル交換に必要な工具
自転車のペダルですが、そもそもペダルだけを交換できるのかという疑問があるかと思います。
ペダルはクランクの先に付属していますが、特にロードバイクなどのスポーツサイクルは溶接などでは無くねじで固定されているため取り外すことができます。
実際に多くのスポーツサイクルのペダルは標準装備ではなく後付け扱いになりますので、ペダルはれっきとした1つのパーツであり、もちろん交換することができます。
ペダルの交換には工具が必要ですが、ペダルの固定具によって使用する工具が違ってきます。
多くのペダルは15mmのスパナで対応できますが、ロードバイクやMTBですと六角レンチを使用するものもあります。
六角レンチは5mm、6mmサイズのものがペダルに対応していますが、自転車を趣味として乗るサイクリストには必須のアイテムですので複数のサイズがセットになったものを一式持っておきたいところです。
また、スパナに関しては15mmというサイズはややマイナーですからモンキースパナでも対応したいところですが、ペダルとクランクの間のすき間が狭いため、口先が厚いモンキーでは入りにくく、ペダルレンチなどの薄めのスパナが推奨されます。
1,000円~2,000円くらいのもので十分に事足りますので、1本持っておいて損はありません。
自転車のペダルを交換する際に特に注意すべきポイント
ここからは自転車のペダルの交換方法をご紹介します。
ペダルはもちろん左右両側に付いているわけですが、左側と右側ではクランクに固定しているねじが違うため、脱着の際に注意が必要です。
ねじは基本的に右(時計回り)に回すと締まり、左(反時計回り)に回すと緩みます。
工業製品もそうですし、自転車も大方は基本的な原理のねじが使われていますがペダルは違います。
進行方向に向かって右側に付いているペダルは「右ねじ」や「正ねじ」と呼ばれる一般的なねじが使われていますので、ペダルを外す際は左に回してねじを緩めます。
一方左側は「左ねじ」、「逆ねじ」と呼ばれるもので、ペダルを外す際は右に回すとねじが緩みます。
なぜこのような構造になっているかと言えば、ペダルには回転をスムーズにするための「ベアリング」というものが内蔵されおり、そのベアリングの回転によって左ペダルの固定軸には左回りの力が掛かります。
左回りは正ねじでは緩んでしまう方向のため、左ペダルに正ネジを使用すると走行中にペダルが緩んでしまい、最悪は外れてしまうことにもなり兼ねません。
そのため左ペダルは逆ねじで固定をし、ペダルを漕いで左回りの力が掛かったときにねじが締まるようにできているのです。
自転車のペダルが外せない場合は
前項でお伝えした正ねじ、逆ねじがあるために、ペダルを取り外す際は若干混乱もあるかと思いますので、とにかく外す際は右足で漕ぐ進行方向右側のペダルは左回り、左足で漕ぐ左側のペダルは右回りでねじを緩めると覚えてしまってください。
ペダルは前項でもお伝えしたように走行中にねじが締まるようになっていますし、サビなどが原因で固着してしまっていることもありますので、長いこと交換していないとかなりがっちりと固定されてしまい簡単には外れません。
まして、そこで逆ねじのことを知らずに左ペダルを外そうとして逆に締め込んでしまい、ねじ山をなめてしまうことは結構よく聞く話です。
もしペダルが固着して外れないときは、潤滑剤を吹き付けて30分ほど置き固着を解いてあげる必要があります。
潤滑剤は家庭用のもので構いませんが、サビ取り、防サビ効果のあるものならチェーンやギアの掃除や、塗装が剥がれてしまった部分のサビ取りなどにも使用できますので、自転車用としても何かと重宝します。
また、ねじを軽くプラスチックハンマーでたたくと潤滑剤が浸透して固着が解けやすくなりますので、おすすめです。
ペダルが外れない場合は、とにかく強引にならず上記のように固着を解くことを考えてあげてください。
ペダル交換時の外し方のコツ
自転車のペダルの交換ですが、外し方にもコツがあります。
ペダルを外す際には力が入らない位置で外そうとすると空回りしてしまうことがありますので、外す方のペダルを進行方向に向かって前に出します。
この状態はペダルを踏み込むときに一番力が入る位置ですので、そこでレンチを掛けてください。
そしてレンチをねじに掛ける際はレンチとクランクを一緒に握り込み、てこの原理のようにレンチを下に押し込むようにすると固着も解けやすくなります。
ねじがグッと緩んで固着が解ければ、あとはクランクをがっちり握って、反対の手でペダルを外す方向に回していけば取り外すことができます。
その際ですが、ねじはあるところを境にして一気に緩みますので、急激に軽くなってペダルが回転してしまい、手がチェーンやギアに激しくぶつかってしまうことがあります。
そのため作業には軍手を使用したほうがよいですし、タオルなどを緩衝材として鋭利な部分があるチェーンやギアにかけておくことをおすすめします。
自転車ペダル交換時の取り付け方
さて古いペダルが無事取り外せましたら、交換作業は新しいペダルの取り付けです。
ペダルは左右セットで交換しますが、正ねじ、逆ねじの関係で左用、右用が決まっており、ねじの根元付近にL(左)とR(右)が記載されていますので、間違えないようにしてください。
ペダルのねじ山をクランクの穴にはめ込みますが、ねじ山に「グリス」を塗っておくとスムーズに取り付けられますし、潤滑剤のため固着やサビ付きを防ぐこともできます。
グリスは自転車の多くの箇所に使用されメンテナンスには欠かせないものですので、持っていない方はこれを機に用意してください。
ペダルをクランクの穴に差し込み、手で右ペダルは右に回し、左ペダルは左に回してねじを締め込んでいきます。
ある程度固定出来たらペダルレンチや六角レンチを掛けたまま、クランクを進行方向とは逆の後ろ方向に回すとスムーズに入っていきます。
あとはがたつきがないようにしっかりとレンチで固定して、完了です。
自転車のペダルが外れない場合は自転車店に任せる!
ここまでお伝えしてきた自転車のペダルの交換ですが、ハイライトは古いペダルを外すところであり、いかにして固着を解くかにあります。
もし潤滑剤を使っても固着が解けずねじが回らないようであれば、ねじがどうしようもない末期症状になってしまっているということですから、あきらめて自転車店にお願いするのが賢明です。
無理に行ってねじをなめてしまうと想定以上の工賃が掛かる場合もありますし、ケガをしてしまえば元も子もないため、ペダルの固着の場合は早めにあきらめることも肝心です。
また自転車店なら外してくれるだけでなく、新しいペダルについてアドバイスをくれるかもしれませんし、交換工賃で取り外し、取り付けの両方を行ってくれますので何かとメリットも多いです。
そして、ペダル交換の際に必要な工具はペダル以外にも使用できるのので持っておくことを推奨しますが、持っていない場合の駆け込み寺的な存在として自転車店を活用する方法もあります。
固定ねじの回転方法にくれぐれも注意する!
自転車のペダルはねじで固定されているため、比較的簡単に交換することができます。
ただし右側は正ねじ、左側は逆ねじになっているため、取り外し、取り付けの際の回転方向に十分注意しましょう。
また、ペダルは走行中にねじが締まる構造になっていますし、サビなどで固着してしまうこともあるため、潤滑剤などを使っても外れない場合は早めに自転車店に交換をお願いしてください。