スポーツ系自転車では各所のメンテナンスが不可欠ですが、その際に自転車をどう固定するかが問題になります。
足元がフラフラしていては当然作業がしにくいですし、ホイールを空転させる必要がある作業ではスタンドなどでの固定が必須です。
そこで今回は自転車のメンテナンスに欠かせないスタンドについて、選び方やおすすめの製品をご紹介します。
自転車のメンテナンススタンドとは
自転車は二輪のためスタンドが無ければ自立できませんのでママチャリなどのシティサイクルには最初からスタンドが据え付けられています。
そのため、タイヤに空気を入れるのも車体を拭くのも、チェーンへの注油もスタンドを立てれば問題なく行うことができます。
対してスポーツ系は最初からスタンドがほとんど装備されていませんので、メンテナンスを行うには車体を固定する必要があり、その際に使うスタンドを「メンテナンススタンド」と言います。
ほとんどのメンテナンススタンドは後輪を浮かせて空転できるようになりますので、チェーンの掃除や注油、シフト、ブレーキの調整など、後輪を回転させる必要がある際にスムーズに作業が行えるようになります。
メンテナンススタンドと一口に言ってもいくつか種類があるため後ほど詳しくお伝えしますが、大まかに分けると自宅で簡易的なメンテナンスを行う際に使用するものと、プロのメカニックや自転車店が使用するような本格的なものの2つです。
どちらが必要かは個人の乗り方次第ですので、その辺りを含めてお話を進めていきます。
自転車のメンテナンススタンドと言えばこれ!
それではここから具体的な製品を上げていきながら、メンテナンススタンドの特徴をお伝えします。
【MINOURA(ミノウラ):ディスプレイスタンド DS-30BLT】
【AZ(エーゼット):自転車用ワークスタンド 折りたたみ式Ⅱ】
両製品ともに後輪ハブに左右から挟み込み、クイックリリースで固定をするタイプです。
イメージとしてはママチャリの両立スタンドで、ディスプレイスタンドという名前が付いているように、お店がロードバイクを陳列する際に使用するのもこのタイプです。
後輪を左右からがっちり挟み込みますので固定力が強く、自宅や出先でも一般的に考えられる日々のメンテナンスであればほぼこのタイプで対応できます。
折りたたみ式のものも多いので保管にスペースを取りませんし、1,000円~2,000円前後で購入できますので、自宅と出先用に1つずつ持っているという方も少なくありません。
ただし、ホイールによってはクイックリリースが使用できなかったりしますので、対応メーカーに十分注意してください。
自転車の固定がとても簡単なメンテナンススタンド
続いてご紹介するメンテナンススタンドも前項でご紹介したものと同様、日々の自宅でのメンテナンス向きのものです。
【MINOURA(ミノウラ):ディスプレイスタンド DS-520】
【AZ(エーゼット):自転車用ワークスタンド フック掛け式 KF201】
高さ60cmほどの自立するポールにフックが2本付いていて、フレームのシートステイとチェーンステイに引っ掛けて固定をするタイプのスタンドです。
クイックリリースを開く必要もありませんしレバーなども使用しないため、最も簡単に自転車を固定できるのが大きなメリットであり、こちらも1,000円~2,000円で購入できます。
また固定する部分がフレームですので、タイヤ交換やギア、ディレイラーの掃除、調整などで後輪を外す際も固定しておくことができます。
そして、フックの高さを変えられる製品が多いので、多くの車種に対応でいる点も安心です。
ただし、がっちり固定するというわけにはいかずふらつきはあるので、ホイールをあまり速く回転させるようですと使いにくさを感じるかもしれません。
メンテナンススタンドは自転車の保管用にも使える
前項までは自宅や外出先で軽微なメンテナンスを行う際に使用するスタンドをご紹介しましたが、軽微とはいえ自力で行うことが必要とされるメンテナンスであればほぼ事足りるでしょう。
しかも折りたためるものが多いので収納スペースも取りませんし、持ち運びもできます。
また1台が安価ですので複数台持っていても苦になりませんし、クイックリリースと引っ掛けタイプの併用も考えられます。
そして、先ほどご紹介したミノウラの製品はディスプレイスタンドという名前が付いていたように、本来はスタンドの付いていない自転車を「飾る」ためのものですので、室内保管をする際のスタンドとしても使用できます。
そのため、次項でお伝えするプロが使用するような本格的なメンテナンススタンドを導入するとしても、簡易的なスタンドをディスプレイ用として1台持っておいても損はないはずです。
プロ仕様の自転車用メンテナンススタンド
ここでご紹介するスタンドは、プロレースのワークスや本格的な整備を行う自転車屋で使用するものです。
【ROCES :自転車 メンテナンススタンド】
【サンワダイレクト :自転車メンテナンススタンド 800-BYWST1】
シートポストやトップチューブを固定して、スタンドに自転車を上から吊り下げるタイプのスタンドです。
細かく複数箇所を行うような時間の掛かるメンテナンスでは、立ったままで作業をしなければ体に大きな負担が掛かります。
その点でこのタイプは自転車が胸の高さまできますので、立ったままで作業が可能です。
また、高さや自転車を取り付ける角度を変えることができますので、自分の使い勝手に合わせて調整が可能です。
こういったプロ仕様のメンテナンススタンドはそれなりに高額になるのですが、上記2製品はオープン価格ではありますが、通販サイトでは8,000円前後で販売されており、レビューの評価も良好なものが多いためおすすめします。
市販されているスタンド以外の自転車の固定方法
今回の記事を書くに当たり色々と調べていますと、メンテナンススタンドを自作している方も多く見られました。
風呂場などで使うすのこを2枚使いL字型に組み立て車輪を固定するようなものや、余った木を組み合わせ簡易的なスタンドを作り、そこにクイックリリースレバーを通して車輪を固定するなど、感心させられるアイデアを見つけることができました。
特に一般的なホイールハブにクイックリリースで固定するタイプは、後輪を外した状態では取り付けられません。
そのため、自転車を2台持ちで状況に応じてホイールを使い回しをしている場合などで、車輪を外した状態で保管、メンテナンスをする際は自作のスタンドを作る方も多いようです。
また、外出先などで緊急にメンテナンスが必要になり、その際にスタンドが無い場合というのも十分に想定できます。
その場合は車体をひっくり返し、サドルとハンドルを地面に付けて自立をさせれば、後輪を空転させられるのでメンテンスを行えるようになります。
輪行でも袋に収納する際に天地をひっくり返すことがあるように、緊急時には効果的の方法かもしれません。
しかし、直に置けばサドルやシフトレバーが傷つく可能性もありますし、言うまでも無く不安定なので風にあおられて倒れてしまうこともあるため、十分に注意して行ってください。
自転車のメンテナンスは自転車の固定から始まる
メンテナンススタンドには色々な種類がありますが、基本的には後輪を浮かせてある程度の固定力があればほぼ事足りますので、まずは安価なものからで十分です。
その上で自分の乗り方次第で、立ったままで作業できるものや、角度、高さが自由に変えられるようなものが必要と感じれば投資をすれば良いでしょう。
また、室内保管が基本のスポーツ系自転車はディスプレイという側面もありますで、インテリアとしてどう自転車を飾るかを考えてスタンドを選ぶのも面白いです。