ピナレロの歴史を彩った名車プリンス!最高峰のfxをご紹介

イタリアを代表する自転車メーカーである「ピナレロ」は、近年レースの世界では並ぶものが無いとまで称される常勝メーカーとなっています。

また、インテグラルヘッドや左右非対称のフレーム形状にカーボンバックなど、革新的な技術を次々と開発することでも有名なメーカーであり、ロードバイク市場のトレンドをリードしてきた側面もあります。

今回はそんなピナレロの中でも時代時代で極めて重要な役割を果たしてきた名車「PRINCE(プリンス)」について、2019シーズンからラインナップに加わった「プリンスfx」を中心にお話ししていきます。

ピナレロのロードバイク「プリンス」とは

ピナレロは近年とにかくツール・ド・フランスを勝つメーカーであり、機材を提供する「チーム・イネオス(前チーム・スカイ)」は2019年まで5年連続個人総合優勝(マイヨジョーヌ)を果たし、2012年からの8年間で実に7回マイヨジョーヌを獲得しています。

その輝かしい成績は、ピナレロが「プレミアムモデル」とまで評するロードバイクのフラッグシップモデルである「DOGMA(ドグマ)」が支えています。

そして、今回ご紹介するプリンスfxは、現在(2020モデル)そのドグマに次ぐセカンドグレードとしての位置づけになります。

しかしドグマをプレミアムモデルとするため、セカンドグレードとはいえ他のメーカーであればフラッグシップの位置づけになるのがプリンスであり、その最高峰であるFXはプロレーサーが乗るレベルです。

また、現在セカンドグレードに収まっているのが不思議なくらいに、プリンスは節目節目でキーとなるモデルになっていた歴史があります。

ピナレロ・プリンスの歴史

現在のプリンスfxを語るにはプリンスシリーズの歴史が欠かせませんので、まずそこからお伝えします。

ドグマの登場からさらに6年さかのぼった1997年に登場した初代プリンスは、世界初のシートステイがカーボン製のアルミフレーム「カーボンバック」として登場します。

試作版のプロトタイプでツール・ド・フランスに出場した選手がマイヨジョーヌを獲得したことで世界的に爆発的なヒットとなります。

そして、ピナレロの代名詞である流線形のフロントフォーク「ONDA」のデビューと共に「プリンスSL」にモデルチェンジをします。

その後しばらく市場からは姿を消すのですが、2008年にピナレロのフラッグシップモデルとして初のフルーカーボンバイク「PRINCE CARBON」として復活をします。

ドグマがまだ金属フレームだった時代にビッグレースで数々のタイトルをもたらし、またもその名を世界にとどろかせます。

4世代目はドグマ65.1の金型を使用したこともあり、セカンドグレードに収まった感が強くなりましたが、現行モデルの5世代目はドグマの技術を継承していますが、プリンス専用の金型で製造されており独自の技術も投入されています。

プリンスfxがピナレロのセカンドグレードに返り咲いた経緯

実は現世代のプリンスは、セカンドグレードに返り咲いたという経緯があります。

ピナレロは「ドグマF8」以降のモデルが新世代のデザインをまとっていると言われていますが、そのドグマF8時代のセカンドグレードはエアロ形状の「GAN(ガン)」でした。

ガンはピナレロらしい斬新さの中にエアロロードのオーソドックスな面も十分残っており、面白いバランスのバイクとして人気がありましたが、ドグマがF10にモデルチェンジするタイミングで「プリンスfx」と「プリンス」がガンに取って替わる形になりました。

ラインナップを確認しますと、上位モデルのプリンスfxがドグマに採用されているカーボンに次ぐ強さを持った素材が使用されており、ミドルグレードとなるプリンスは標準からやや硬めの素材が使用されています。

前項でも触れましたが、プリンスシリーズはドグマの多くの技術を継承しながら独自の金型を用いて製造されています。

そのため次項で詳しくお伝えしますが、ダウンチューブの形状やフォーククラウンとヘッドチューブのインテグレーテッド化など、プリンスにしか投入されていない技術も多数盛り込まれています。

ピナレロ・プリンスfxの特徴

それでは、ピナレロ・プリンスシリーズの上位グレードモデルプリンスfxの特徴をご紹介します。

ドグマF10からはダウンチューブのボルト取り付け部分を凹まし、フレームと一体化させることで空気抵抗を減らす「コンケイブ・ダウンチューブ」やフロントフォークの先端にフィンを付けて空気の流れを整える「フォークフラップ」などが継承されています。

これだけでも空力性能に長けたバイクであることは想像できるのですが、プリンスはさらに空気抵抗を減らす独自の工夫が凝らされています。

ドグマとの違いはフレームの前三角の部分に顕著に表れており、プリンスは前輪に沿ってダウンチューブに切り欠きをして前輪とのすき間を狭くし、ここに乱気流が生まれないようにしています。

また、フォーククラウンをたる型に膨らませることで空力性を向上させ、よりヘッドチューブとの密着度を高め一体化させようとする工夫も見られます。

そして、リムブレーキモデルではチューブをカットし前後のブレーキ本体がフレームに隠れるようにデザインされた「ヒドゥン」も盛り込まれており、かなり空力性能を意識したバイクであることがうかがえます。

プリンスfxにはドグマとの素材の違いをカバーする工夫もされている

プリンスfxは先ほどもお伝えしましたが、ドグマとは少し違いのあるカーボン素材を使用していますが、フレームの造形によってその差を極力感じさせない仕様になっています。

ピナレロの真骨頂でもある左右非対称のアシンメトリックデザインにより、シートチューブやダウンチューブのドライブ側はボリュームを増大させて剛性を高めています。

そして、BB(ボトムブラケット)周辺もわずかではありますが重厚感を増しており、プロ並みの脚力にも負けないマッシブさがあります。

また、ディスクブレーキモデルの「プリンスfx DISK」はブレーキキャリパーがフォーク先端に移動したことで、段差がなくなり滑らかな曲線美が演出されており、見栄えの良さと空力性能のバランスが高評価されています。

なお、プリンスfx DISKは2020モデルから新たにラインナップに加わっており、ピナレロはディスクロードの普及が急速に広まっている時代背景も考え、ドグマの新型となる「F12と」同じくらいの重要性があるとしています。

ピナレロ・プリンスシリーズのラインナップ

それでは最後にピナレロのプリンスシリーズのラインナップをご紹介します。

(価格は全て税込)

【PRINCE fx】

・フレームセット:¥500,500
・シマノ・アルテグラ完成車:¥580,800

【PRINCE fx DISK】

・フレームセット:¥522,500
・シマノ・アルテグラ完成車:¥690,800

【PRINCE】

・フレームセット:¥302,500
・シマノ・アルテグラ完成車:¥478,500
・カンパニョーロ・ポテンザ完成車:¥478,500
・シマノ・105完成車:¥423,500
・シマノ・105・ EZ(イージーフィット)完成車:¥423,500

※EZ(イージーフィット)とは小柄な女性向けに開発されたスモールサイズです。

【PRINCE DISK】

・フレームセット:¥324,500
・シマノ・アルテグラ完成車:¥525,800
・シマノ・105完成車:¥473,000

プリンスfxはセカンドグレードの域を遥かに超えている!

ピナレロの歴史と共に歩んできた名車プリンスは5世代目となり、新世代のピナレロデザインを継承し、独自の技術も多くまとってセカンドグレードに復帰を果たしました。

特に上位モデルのfxは、普通であればメーカーのハイエンドモデルに採用されてもおかしくない素材で製造されており、レースにも十分に使える仕上がりになっています。

また、新しく加わったディスクブレーキモデルは、ピナレロが2019年のツール・ド・フランスの優勝に貢献したドグマF12に匹敵するほどの重要さと位置づけている注目の1台です。