今更ですが、徒歩と自転車の時速を真面目に比べてみました。

ロードバイクのレースやトライアスロンに参加する、などの場面ではよく気にする時速。その時速を「徒歩」と比較することはなかなかないですよね。明らかに速いですし。気になる時と言えば、通勤や通学に使う時、どっちの方が。。。と考えるくらいでしょうか。タイトル通り今更ですが、徒歩と自転車の時速を比較してみましょう。

徒歩・自転車の平均速度

一般的に徒歩の速度は時速5km程度として扱われるとされています。例えばGoogle MAPでも徒歩によるルート確認をしてみると、5.0kmの距離でちょうど1時間と表示されます。それに対して自転車の平均速度はどうでしょうか。まずは最も身近なママチャリで考えてみましょう。のんびりと漕いで概ね巡航速度は18km程度といったところです。しかし、徒歩よりも自転車は道路交通事情や信号の影響を大きく受けます。18kmで漕ぎ続けることが出来たとしても、実際には信号で停まっている時間、一時停止、ストップアンドゴーを加味していくと、おそらく驚くほど平均の移動速度は低いものになるかもしれません。個人的な記録を引用してみると、変速機の無いスポーツバイクをのんびりと16kmほど漕いで、平均時速は9.4kmとなりました。うっすらと汗もかかない程度ですから、運動負荷としては徒歩と何ら変わらない程度と考えて良いでしょう。思うほど平均時速は出ないのかな、と思われるかもしれませんが、ストップアンドゴーだらけの都内での成績ですから、これ以上遅くなりようが無い程度の成績でも徒歩に比べて倍の速度で移動できると考えて頂いて差し支えありません。

よくある表記「徒歩で○○分」に見る速度の測り方

色々なところで見かける地図や資料には「◯◯駅より徒歩◯◯分」などという記載がありますよね。徒歩所要時間と呼ばれるもので、不動産業界では表示に関する決まりごとで実際に定められています。それによれば、徒歩の平均的な速度は分速80m(時速にすると4.8km)とされており、不動産広告に見られる「◯◯駅より徒歩◯◯分」などという表記はそれに基づいているんですね。
しかしこの分速80mは一体どんな根拠があって決められたものなのでしょうか。探してみると、はっきりとした記録を探し当てることは出来ないものの、至るところにハイヒールのサンダルの女性が歩いたときの速度を参考値にした、というエピソードが見つかります。実際に歩いてみた系の記事も散見され、概ね実際にその通りになった、という結果が見られることから、この分速80mは妥当だと思って良いでしょう。Google MAP以外でも、MapFanやいつもNaviなどで5kmの徒歩ルートを検索した場合、やはり概ね1時間前後と表示されることからもそれは裏付けられています。

徒歩で行くところを自転車で行くと

自転車に乗ったことが無い方はそんなに多くないでしょうから、徒歩での行動範囲と自転車での行動範囲の違いについては、ある程度イメージが湧くのではないでしょうか。ここでは実際の速度と距離の数字を交えて改めて考えてみたいと思います。
冒頭でご紹介した実際の自転車の移動速度記録は、ママチャリに当てはめて考えてもそれほど大きな差は出ないでしょう。のんびりサイクリングをすると概ね時速10km程度になるとすれば、徒歩に比べて同じ時間で倍の距離を移動できることになります。
通勤や通学などの時間に縛られたケースから考えてみると、徒歩で移動している部分を自転車で移動することが出来れば、そこに要する時間は半分で済むことになります。毎日の通勤・通学に徒歩の時間が1時間あるとしたら、そこに自転車をあてがうだけで30分節約することが出来ます。時間で考えれば半分以上を節約することが出来、距離で考えれば倍以上稼ぐことが出来ると言えます。加えて直接的な費用は殆ど掛かりません。改めて考えてみても極めて魅力的な移動手段です。

徒歩と自転車の速度の違い、具体的な速度と感覚

汗をうっすらともかかない程度でスポーツバイクをのんびり漕いでも、徒歩に比べて倍の速度で移動できることを説明しました。人は自身単体では徒歩からジョギングまで速度をあげたとしても、普段の習慣として歩く以上の運動をしない人であれば、せいぜい時速7kmほどで30分も走れるか定かではありません。速度に大きな差が無くても、歩くより走ることが体に与える衝撃はかなり大きいからです。速度に限らずゆっくりであったとしても1時間以上も走ることが出来る人は、普段からそれなりに運動をする習慣がある人と言ってよく、少数派でしょう。つまり人間自身単体による移動は、一般的に負荷を上げても体感する辛さに比べて得られる速度は期待ほど高くならないと言えます。ところが自転車は違います。一旦エネルギーを入力すれば、上り坂でも無い限り慣性が働いて、人間は休んでいても自転車はある程度移動し続けます。ですから自転車は徒歩に比べると、圧倒的に少ない負荷で高い移動効率を得られる事になります。具体的に思い浮かべやすいシチュエーションを挙げるとすれば、少し汗ばむ程度にペダルを漕いで、少しでも下り傾斜があれば休む、という程度でも、自転車の平均移動速度は10kmを軽く超えてくるでしょう。汗だくになって精根尽き果てるほど頑張っても、時速にして2kmも上がらず30分も続かない人の足による移動と違って、自転車は少し頑張るだけで時速を数キロ程度上げることが出来、尚且つかなり長い間その運動を続けることが出来ます。

徒歩と自転車の時速比較①

少し頑張るだけでも自転車では平均の移動速度を数キロ上げられると説明しましたが、実際にはどの程度まで現実として速度が出るのでしょうか。ママチャリであったとしても、汗だくになるのを厭わずペダルを漕いだとすれば、郊外なら平均時速で15km以上は軽く達成することが出来るでしょう。更にクロスバイク程度のスポーツバイクで同様に頑張ったとすると、平均時速20kmもかなり現実的な数値です。ロードバイクではどうでしょうか。郊外であれば時速25km以上も十分に達成し得る速度です。
少々息が上がる程度の早歩きでも徒歩なら時速6kmが関の山といったところですが、自転車はその4倍、5倍も達成し得る能力を備えています。現実的に、1日の間でどれだけ移動し続けられるかはかなりの部分を個人の能力に負うところが大きいものの、それはさておき仮に5時間ほど移動し続けられると仮定して比べてみるとどうでしょうか。徒歩ではせいぜい30kmですが、自転車ならママチャリでも75km以上ですし、ロードバイクなら125kmです。実に圧倒的な差ですよね。

徒歩と自転車の時速比較②

具体的な速度と時間を引き合いに出して比べて見るだけでも、徒歩と自転車の移動能力の違いは実感出来たことでしょう。
徒歩が基本的な移動手段となるのは、運転免許を取得できる年齢に達する前の学生や、自動車を使ったほうが非効率な過密地域に住んでいる人です。もしそこに該当しているのに自転車を使っていないのなら、是非一度考えてみるのもひとつの手です。徒歩よりも遥かに遠くにいくことが出来るのはもちろん、疲れにくさから移動に対するモチベーションを失いにくいメリットもあります。何よりも移動に対する楽しみを感じやすいのも自転車の特徴のひとつです。自転車を使えば、全く考慮に無かった遠くの場所が現実的な通勤・通学場所になることだって十分に有り得ます。
ロードバイクのように最も効率的に速度を得られる自転車であれば、徒歩に比べて普段の行動範囲は4〜5倍にも広がります。自転車がもたらす移動速度の向上は、周囲の人々の目を引くような派手さは無いものの、確実に自分の生活様式を一変させるものとなり得るんですね。

自転車に乗って普段より一歩踏み出そう!

普段は徒歩でしか移動しない人はどんな自転車でも、ママチャリでしか移動したことがない人はスポーツバイクに乗ってみませんか。今まではそれ以上行くことが出来なかったその先まで踏み出すことが出来るようになります。それは生活圏内の新たなお店までかもしれませんし、乗り継ぎや公共交通機関が乏しく、訪れる機会を得られなかったちょっと変わった場所までかもしれません。どんな場所であっても、到達できなかった場所へ自分の足で辿り着ける事は、ささやかであってもきっと何物にも代え難い幸福感をもたらしてくれるはずです。