フロントにしろリアにしろディレイラーの調整がちゃんとできていない自転車って、乗っていていい気分がしませんよね。とりわけロードバイクにおいては、どのスプロケットにおいても、シフトがカチッと一発で決まらないと、ストレスは溜まる一方です。ここでは、シマノ製とステム製のリアディレイラー調整方法について紹介します。
シマノ製リアディレイラー調整①
リアディレイラーは実は思っていたより楽に調整できるものなんです。
ちょっとした調整時のコツや裏ワザを紹介しますので、ぜひこの機会にスキルを身につけてみましょう。
『基本はストローク調整』
調整の基本は、リアディレイラーのストローク幅(可動できる幅)を、完璧に合わせてやることです。ストローク幅とは、カセットスプロケットの幅のことですね。リアディレイラーが動ける範囲(ストローク)だけを正確に調整すれば、あとはシフト側のインデックスが、自動的にリアディレイラーを正しい位置にシフトしてくれるんですね。リアディレイラーの調整とは、いかにしてストローク幅を正しく規制するか?これに尽きるわけです。次の章では、具体的にこのストローク調整を行う方法について紹介します。
まず最初に、必要となる工具です。5mmのアーレンキー・#2のプラスドライバーだけです。下準備として、ケーブル固定ボルトを緩めて、シフトケーブル(ワイヤー)をフリー状態にします。このボルトを、アーレンキーで緩めます。ケーブルを、ケーブル固定プレートから完全に抜き取る必要はなく、少し緩めてケーブルが動けば大丈夫です。これでリアディレイラーは、パンタグラフ内のバネの力でトップ側(外側)に行くようになります。
シマノ製リアディレイラー調整②
では次に、ちょっとしたコツの紹介です。それは、『チェーンをスプロケットに掛けずに調整すること』です。チェーンはいくらナローサイズになったと言っても、ある程度の幅があります。なのでこれがあるとスプロケットとプーリーとの、微妙な位置関係がわかりにくくなってしまうです。シフトケーブルを外したことによって、トップ側にリアディレイラーが行っているわけですが、チェーンがかかっていると、本当にこの位置がリアディレイラー本来の位置なのかどうなのかが、わかりにくくなります。ここで、一旦リアホイールを外し、さらにチェーンをフロントのチェーンリングからも外してしまいます。ここから、スプロケットにチェーンを掛けないまま、リアホイールを取り付けておくと、スプロケットと、プーリーとのシビアな位置関係が、ひと目で分かるようになります。この状態で、次はリアディレイラーを指で押し込んで、ロー側に移動させます。チェーンやワイヤーの干渉がないのでディレーラーは簡単に動かせ、ロー側でもストロークのリミット位置がよく分かるようになります。チェーンがロー側に落ちてしまうと、車輪がロックして事故につながったり、ホイールの破損などの深刻な機材ダメージを引き起こしたりします。
シマノ製リアディレイラー調整③
では、これらを調整していきましょう。調整リアディレイラーのリミット位置の調整は、2本のボルトで簡単にできます。トップ側調整ボルトロー側調整ボルトという名前のの2本のボルトです。トップ側には「H」、ロー側には「L」の刻印があるので、すぐに分かりますね。まず最初は、トップ側です。一旦、トップ側調整ボルトを締め込んで(時計回り)リアディレイラーを内側(写真左側)に寄せ、それからボルトを緩めながら(反時計回り)、リミット位置に合わせます。リミット位置とは、トップギヤの外側線真下にプーリーが来る位置です。スプロケットの真下より、若干外側になるんです。この微妙な位置決めを確実に行うためにも、チェーンを外しておくことが重要になってくるのです。続いて、ロー側も同様に調整ボルトで調整していきます。ロー側は、締め込むとリアディレイラーは外側に、緩めると内側に移動します。(トップ側と動きは反対になります)このようにして、ロー側、トップ側のリミット位置を正しく調整することにより、リアディレイラーのストローク幅も、自然と正しいものとなります。チェーンを本来の場所に戻して、確認作業を行います。この時点では、リアディレイラーのケーブルはまだ外れているので、手動でリアディレイラーを動かして確認していきます。ポイントは、ロー側に力一杯押し込んでみることです。もしその時、カタカタと異音がするようであれば、再調整となります。トップ側は、いかなる状況で手をはなしても、スコンとチェーンがトップギヤに戻って来ることを確認します。時々、クランクを逆回転させたりして様子を見て、異常や異音がなければ、トップ側・ロー側のリミット調整が確実にできていることになります。これでリアディレイラーの調整は、90%以上できました。
シマノ製リアディレイラー調整④
残る作業は、シフトケーブルの復帰です。シフトケーブルにもアジャスター機能が付いていますので、微調整はそこで行います。このアウターケーブルの調整ボルトを指で回すことによって、ケーブルを張ったり緩めたりすることができます。ダウンチューブにもアジャスターがついていれば、これも一番緩めた状態にしておきます。最終段階に入ります。指でケーブルを引っ張って、ピンと張っている状態にし、そこでケーブル固定ボルトを締め込みます。ボルトをしっかり締めたら、デュアルコントロールレバーを使って、変速テストを行います。ボルトを締める時にピンとケーブルが張れていれば、変速は一発で上手くいくはずです。もし反応が悪いようであれば、ケーブルアジャストボルトを左に回して、ケーブルを張っていって調整します。微調整の基本は、「張る」方向で調整するのが基本ですからね。以上で、リアディレイラーの調整は完了です。
スラム製リアディレイラー調整①
お次はスラム製ディレイラーのお話です。まずは10速(または11速)全部シフトアップorダウンできる状態にしてください。ここはシマノと同じです。シフトアップ・ダウンができないならハイリミットとローリミットのボルトを回してリアディレイラーの可動範囲を増やすように対処しましょう。この段階では変速がもたついても気にしないでください。ここからの作業の最大のコツは、テンションアジャスタボルトをなるべく抜くことです。テンションアジャスタボルトといえばディレイラーの角度やチェーンの張りを調整するためのものです。シマノ製ののリアディレイラーはパッケージから出したままの状態でうまく変速できますが、一方のスラム製は、テンションアジャスタボルトをいじらないとうまく変速しないのです。合わせ方のコツは、まず一番大きいギアにいれ、その状態からアジャスタボルトを可能な限り緩めることです。理想は最大ギアとプーリーとの間にはチェーンしか入る隙間がないという状態ですね。そこまでやろうとするとテンションアジャストボルトを抜ききっても厳しいので、抜ける手前ぐらいで止めておくのがいいでしょう。
スラム製リアディレイラー調整②
次にギアを1つずつシフトアップしていく工程です。この時ペダルはゆっくり回すことに注意してください。シフトアップしていくと最小ギア付近でプーリーとギアとの間に十分な隙間がない状態になり嫌な音がなる場合は、テンションアジャスタボルトを締めてプーリーとギアの間の隙間を広げるようにしてください。これを最小ギアまで行いましょう。最後にワイヤーアジャスターでワイヤーの張りの調整です。ここはシマノ製とほとんど同じで、コツは『小ギアへのシフトアップよりも大ギアへのシフトダウンに合わせること』です。シフトダウンでレバーを2クリック押したら、2回目のクリック音がしてすぐにシフトダウンするようにしてください。
スラム製リアディレイラー調整③
ここまで出来たら最後の確認です。実際に走ってちゃんとシフトアップするか確認しましょう。シフトダウンにワイヤー張りを合わせたらちゃんとシフトダウンはするはずです。でもシフトダウンに合わせすぎててシフトアップがもたつく場合があります。その場合はリアディレイラーまたはケーブルガイドのワイヤーアジャスターをシフトアップが素早く行われるまで少しずつ動かして対処してください。ちょっとした豆知識なのですが、スラムのリアディレイラーを調整する場合はスラムのグレードが高すぎないカセットを使っていると楽です。これは楽というかどこまで追い込むかのレベルの話になるのですが、シマノまたはスラムレッドのカセットだったりすると変速音があまりしないので実走中にもたついているのかわかりづらいときがあります。スラムの高すぎないグレードのカセットだと変速がもたついた時にガチャガチャとやかましい音が鳴るので、わかりやすいんですね。
まとめリアディレイラー調整について
シマノ・ステム両者のリアディレイラー調整のお話でしたがどうでしょうか?慣れないと難しいと感じるかもしれませんが、是非チャレンジしてみてください。ただ、どうしても変速がうまく調整できないことがあります。それは、ディレイラーハンガーが曲がっている場合。ディレイラーハンガーはディレイラーに少し衝撃があった程度で簡単に曲がってしまい、ちょっとした曲がりでも変速に影響がでてくる繊細な部分です。曲がっているかどうか自分で判断するのも難しいので、あまりにも調整できないときはロードバイクショップを尋ねてくださいね。