自転車で坂道を登るための筋肉!!

こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
みなさん、筋肉してますか?!キンニクキンニクッ!筋肉って良いですよね!筋トレしていれば、お金もかからないですし、暇も潰れますし、なんだか爽やかな気分にもなりますよね!!
今回は自転車で坂道を登るための筋肉について、筋肉トークをしていきましょう!

自転車で坂道のためには筋肉は…

やたらと筋肉と言ってオープニングを始めましたが。
実際には、筋肉は自転車を乗り始めて、かなり後になってから必要なものです。しかも、自転車で坂道を登る場合、筋肉と言っても筋トレしまくれば良いというわけではないです。
「えー?本当に?!筋肉さえあれば人生ハッピーじゃん!坂道も筋肉さえあれば何とかなるでしょー?」
そう思うでしょう?
僕もかつてそう思ったことがあったんです。

元ボクサーの友人に頼んで、一ヶ月だけすさまじい減量トレーニングを組んでもらったことがあるんです。坂道を登る場合、重いと不利ですからね。梅雨明けにヒルクライムレースがあったので、雨で乗れない間に筋肉を絞り上げて、ライバルに筋肉で差を付けて一位を取ってやろうと目論んだわけです。
「ふむ、一ヶ月か、キツイぞ。やれるか?」
「はい、先生、やります!」
このトレーニングが本当にキツかったです。
「元ボクサーにお願いしたのは失敗だった」
と心の底から何度も思いました。

ボクサー式筋肉トレーニング?①

具体的にどんなトレーニングだったのかと言うと。
基本的には、腕立て、腹筋、背筋、懸垂、スクワットです。
一週間目は、上がらなくなるまでをそれぞれ3セットです。通称、限界3セット。ご飯もてんこ盛りに食べます。毎日します。休みません。一日目は良いのですが、当然、2,3日目は筋肉痛で死にそうです。それでもします。超回復させるためには筋肉には休みが必要ですが、今回は減量ですので超回復させると筋肉が肥大化してしまうため、延々と毎日やります。絞り続けます。
ボクサー式なので、ボディビルのようなムキムキではなく、硬い絞った体を目指す、殴られてもびくともしない鉄のボディーを作るのです。心が折れそうになったら映画のロッキーを1から順に見させられます。時々、ベストキッドも見させられます。
4日目から、体中の痛みに慣れて来ます。もちろん痛いのですが、痛いのが普通になって来ます。6日目には限界3セットしても何とか問題ないくらいになります。7日目に2週間目のメニューの指示が来ます。

2週間目から食事制限も始まります。カロリー計算をします。限界3セットから、全て300回ずつという回数での指示になります。朝、出勤前、帰宅後、寝る前と最低でも1日に3回筋トレのための時間を作らないとこなせません。
2週目も最初の週と同じで3日間は死にそうで4日目は痛みになれます。1週目と違うのは、お腹が減って眠れなくなります。自分から進んでロッキーを見るようになります。ロッキーで精神を保ちます。それでも、2週目はまだ良いのです。

ボクサー式筋肉トレーニング?②

3週目は朝ごはん以外、炭水化物禁止になります。朝ごはんで食べられる米も、茶碗に少しだけです。炭水化物はインスリンが出るので減量ではご法度だそうです。代わりにほうれん草でビタミン、ワカメやノリでミネラル、高野豆腐で植物性蛋白質、もやしで炭水化物と空腹感をごまかすように指示されます。カロリーを落としながらも必要な栄養を取らないと筋肉がしぼみ続けてしまうんです。毎日ココアを一本飲んでも良いです。ココアやチョコレートは筋肉に良いらしいです。ココアは本当に天国でした。
筋トレ量は同じです。ただ、時間が合えば筋肉の先生が来て、直接指導してくれます。より質の高い筋トレを指導してくれます。お腹の上に乗ってくれて、その状態で腹筋をしたり、「社会人になってまで、オレは何をしてるんだ?」みたいな筋トレをします。

4週目は一日に飲める水の量を制限されます。500ミリリットルです。もちろん、毎日300回ずつ筋トレです。もうロッキーを見なくても強い精神を保てるちょっとした超人みたいな状態になります。当然やつれています。ただ、絶えず感覚が研ぎ澄まされたような状態になります。睡眠時間が極度に短くなります。水を制限すると爆発的に痩せます。危険です。

レース前の五日間は全てを開放してもらえます。イジメ抜いた筋肉たちに栄養を流し込んで、筋肉にグリコーゲンを蓄えるわけです。実際、ちょっと自分でも惚れ惚れする素晴らしい筋肉さんたちがみなぎっていました。ちなみに、そこまで減量して米を食べると甘くて気持ち悪く感じます。

そして、レースはあっさり負けました(笑)

自転車のためには自転車のトレーニング

もちろん、当時でも分かっていましたが、やはり自転車を速くなるには、自転車のためのトレーニングをしないといけないわけです。
分かってはいましたが、一度試してみたかったんですね。格闘技の筋肉ってすごいじゃないですか。意外とみんな試したことがないだけで、アマチュアの草レースなら筋肉ゴリ押しで勝てるんじゃないかって思ったわけです。
でも、そのトレーニングのおかげで今でも減量は得意です。一ヶ月で3kgは簡単に落とせます。調子が良ければ5kgいけます。必要な栄養を計算しながら食事制限するコツ、体重と一緒に筋肉を出来るだけ落とさないように筋トレをするっていうのを覚えました。あまり使う機会はないのですが。

なんにせよ、やはり自転車を速くするためには筋肉なら何でも良いっていうわけではありません。自転車のためのトレーニングが必要です。

自転車で坂道を登るための筋肉

しかし、それからしばらくした或る日。筋肉の先生から連絡が来ました。
「前回は申し訳ない。オレは反省して、あれから自転車について勉強してみた。そして、自転車のための筋トレを考えたんだ!」
「いや、もうあそこまでキツイのは出来ませんよ」
「違うんだ!聞いてくれ!」
という具合で再び筋肉談義が始まりました。

筋肉の先生こと、元ボクサーの彼は非常に筋肉が好きなのです。仕事は筋肉とは全く関係ないことをしているのですが、いつも筋肉の話ばかりします。実際、僕が減量していた時も、「オレも一緒にやるぜ!しかも、お前よりキツイメニューでな!」と謎の笑顔を浮かべていたくらいなので、本当に筋トレが好きなようです。
その彼が調べたところ、「自転車の筋トレは筋肉を大きくするよりも、毛細血管を増やすことにこそ意味があるのだ!」と何か難しそうなことを語り始めました。

坂道のためには筋肉より毛細血管を

プロの自転車選手で、EPOなどの血液増強剤を使ってドーピングをする事件というのは有名ですね。自転車レースというのは究極の有酸素運動です。心肺能力の高さも重要ですが、血液の酸素運搬能力というのも非常に重要になります。しかし、血液というのは先天的な要素が強いです。ですから、プロの選手はドーピング違反をしてでも血液中の特にヘモグロビンという酸素を運搬してくれる物質を増やそうとします。
当然ながら命の危険もあるので、ドーピングはしてはいけません。

しかし、筋肉の先生が言うには、血液をパワーアップさせるのは難しいにせよ、毛細血管を増やすのは時間さえかければトレーニングで出来ると言うのです。
低強度の運動を長時間するというのがコツなのだそうです。
高強度の運動の場合、筋肉によって毛細血管が圧迫されて血管が発達しにくくなるのだそうです。
トレーニングの内容は世に言うスロートレーニングの筋肉の先生アレンジバージョンみたいなものでした。ちょっと特殊な片足スクワットを、下ろす時にはゆっくり。そして、上げる時には速く一瞬で。スロートレーニングとファストトレーニングを組み合わせるというものでした。

筋肉を増やすテストステロン?!

詳しいトレーニング内容については、筋トレ専門のサイトなどに任せるとして。
スロートレーニングとはどんなものかということをさらりと書いておきましょう。
簡単にいえば、3倍の時間をかけて行う筋トレです。通常のTHE・筋トレっていうタイプの筋トレと違い、ゆっくり筋肉を動かすので血圧や脈拍などの上昇が少なく体への負荷が少ないのも特徴です。
また、大きい力を瞬時に発揮するトレーニングの場合、筋肉が急に収縮することで血管が圧迫されて隅々の毛細血管まで血がまわりませんが、スロートレーニングの場合、しっかりと血がまわります。もちろん、スロートレーニングでもいくらかは筋肉により血管が圧迫されます。血管はその圧迫に負けないよう頑張ります。結果として、血管が強くなり、毛細血管の隅々まで血が回りやすい筋肉になるというわけです。

筋肉の先生の加えたアレンジ、下げる時はスロー、上げる時はファスト、一気に飛び上がるように素早く上げることで筋肉が瞬時に膨らみます。太ももは第二の心臓とも呼ばれるように体の中でも最も巨大な筋肉のひとつで、ここが一気に収縮すると血液が一気にポンピングされることでさらなる血管発達を促すそうです。さらに、瞬発系の速筋も同時に鍛えられるというわけです。
字数が残り少ないので詳しい説明は省略しますが、自転車で最も重要とされる中間筋を狙うトレーニングにもなるのだそうです。

スロートレーニングの効果は、そういう毛細血管の強化と同時に筋肉ホルモンとも呼ばれるテストステロンというホルモンの上昇も促すのだそうです。
スロートレーニングはマフェトン理論などにも共通する部分が多いですね。
本当、筋肉というのも奥の深い世界です。

まとめ「でも、自転車に乗るのが基本だよ」

筋肉の先生の改良版トレーニングは実際、かなり効果を感じられました。そのトレーニングを取り入れるようになってから、坂が明確に速く登れるようになりました。平地も巡航速度が上がった気がします。とにかくバテなくなりました。
でも、筋肉の先生はそのトレーニングを教えてくれた時に一緒に教えてくれたことがあります。
「でも、これは君が自転車にすでにしっかり乗ってるっていう前提でのトレーニングだからね。自転車特有の心肺機能やペダリング効率なんかはやっぱり実際に自転車に乗るのが一番だよ」
何だか本末転倒だなと思いましたが、確かにそうだなと今は改めて思います。
自転車は筋肉より技術、体全体と自転車をシンクロさせる技術のスポーツです。
ただ、自転車に乗るときにもスロートレーニングや中間筋、毛細血管などのことを考えて乗ると効果が高いかもしれません。