気がついたら、ロードバイクのタイヤにひび割れができていた。
まだタイヤ交換をしてそんなに経っていないはずなのに、どうしてこんなことに?原因は何だろう?
このままでは、パンクやバーストの危険はないのだろうか?すごく不安になってきた。
修理?…、交換?…、なんだかとっても“?”がいっぱい。
さぁ、こんなときは、どうしたら良いのでしょう?
ロードバイクのタイヤ、寿命はどれくらい
一般的にロードバイクのタイヤとして、最も多く使用されているクリンチャータイヤの寿命は、3,000㎞前後といわれています。
ただし、乗り方や路面のコンディション、天気など様々な要因によりタイヤの寿命は大きく変わってきます。
さらに、乗る人の体重やタイヤの空気圧によっても、タイヤにかかる負荷は大きく変わってくるので、3,000㎞前後というのは単にひとつの目安であるに過ぎません。
また、ロードバイクの保管場所でも、タイヤ寿命は大きく変わります。
通常では経年劣化による交換の目安は、約2年といわれています。
しかし、屋外に置いてあるのと室内で保管しているのでは、紫外線や大気中に含まれるオゾン・温度・湿度の変化など様々な要因により、ひび割れなどの経年劣化の進行度合いが変わってきます。
なので、タイヤの寿命は3,000㎞前後で2年が目安といっても、交換時期に関してはトレッドやショルダー部分の摩耗状態や傷をはじめ、サイドウォールの傷み具合などを、よく見て判断することが望ましいといえます。
タイヤのひび割れは何故できる?その原因は
ロードバイクに限らず自転車のタイヤは、様々な原因により、ひび割れが生じることがあります。
その原因についてお話しする前に、まずタイヤの構造について説明しましょう。
一般的にタイヤというと、分厚い1枚のゴムでできているイメージを持たれている人が多いと思いますが、実際にはそうではありません。
通常使われているクリンチャータイヤは、ナイロンやポリエステル、また高品位なものではアラミド繊維などを重ねた合わせた繊維層を、ゴムでコーティングしたカーカスと呼ばれる芯材に、サイドウォール(外壁/側面部分)やトレッド(接地部分)と呼ばれるゴム層を、さらに貼り合わせた多重構造をしています。
タイヤのひび割れは、主にこの外側のゴム層の劣化が原因で生じます。
劣化の主な要因は、紫外線とオゾンによるゴムの酸化によるもので、自転車を使用してもしなくても、その保管状態によって劣化は進みます。
タイヤの寿命について話したように、紫外線の多い屋外に置いた場合、室内で保管しているのと比べ、劣化が早いのはそのためです。
また、ひび割れの生じる原因として、空気圧が適正でない場合も挙げられます。
例えば、空気圧が不足している場合、自転車に人が乗るとサイドウォールと呼ばれる側壁部分が必要以上に横に広がるため、ゴムの伸縮性を超える負荷がかかれば、切れてひび割れとなります。
また、逆に空気を入れ過ぎでも、内側から余分な負荷がかかり、ひび割れが生じます。
これと同様、体重の重い人が乗った場合もタイヤにかかる負荷が増し、軽い人が乗る場合よりも、ひび割れが発生しやすくなるといえます。
ロードバイクのタイヤにひび割れ、どの部分?
では、ロードバイクのタイヤのひび割れについて、そのままで大丈夫なのか、ここからが本題です。
まず、ひび割れは、どの部分にできたのでしょうか。
ひび割れの場所により、危険度は大きく異なります。
サイドウォール、タイヤの側面の部分であれば、細かなひび割れがあっても大きな問題はありません。
タイヤの強度は、カーカスの繊維層に傷や穴、もしくは繊維自体の劣化がなければ失われることはありません。
サイドウォールは、カーカスを守るための外壁としての緩衝材なので、多少ひび割れができても走行に支障が出ることはありません。
これに対し、ひび割れがトレッドの部分である場合は問題があります。
トレッドは、サイドウォールと違い地面に接する部分です。
走行中に砂や小石はもちろん、様々な異物がひび割れた部分に入り込む可能性があります。
サイドウォールと同様、ひび割れ自体はタイヤの強度に大きくは影響しませんが、ひび割れが拾う異物がカーカスを突き破れば、パンクやバーストを起こす原因になります。
ロードバイクのタイヤにひび割れ、どの程度?
ロードバイクのタイヤのひび割れについて、サイドウォールのひび割れは、タイヤの強度に大きな支障をきたすことはない述べました。
しかし、それが単なる表面のゴム層のひび割れか、裂けた状態なのかでは大きく異なります。
タイヤは走行中に釘やガラス片、金属片などの異物を踏んだり撥ね上げてしまうことがあります。
それがトレッド部分はもちろんですが、サイドウォールの部分でもカーカスの繊維層まで損傷するようなダメージをタイヤが受けた場合、タイヤの強度に大きく影響するので注意しましょう。
たとえサイドウォールの部分であっても、カーカスが破れていたりすると走行中にチューブがはみ出したり、裂け目から異物が侵入しパンクをする原因になります。
日頃のメンテナンスでタイヤをチェックする際は、それが単なるひび割れなのか、裂けているのかしっかりと確認するようにしてください。
チェックの仕方は、ひび割れ部分を少し広げてみて、繊維層の糸が出ているような状態は、ひび割れではなく裂けていると判断しましょう。
ひび割れたタイヤの修理やメンテってできるの?
一度ひび割れて劣化したタイヤのゴムは、薬剤などを塗布して元に戻すということはできません。
一般的にタイヤクリーナーやワックスを使用すればタイヤに良いイメージがあり、自転車にも使用できるような表記が出ていたりしますが、基本的に極厚のゴムを使用したクルマのタイヤ用です。
ロードバイクのような繊細なタイヤに使用すると、劣化を早める恐れがあるばかりか、トレッド面にワックスを塗るとグリップ力が低下し、転倒などの原因となるので注意しましょう。
それから、日頃のメンテナンスでは、タイヤの汚れを落とすのに、洗剤を使用することもおすすめできません。
洗剤で洗い流すとゴムに含まれる油分まで洗い流してしまい、劣化を早める原因になります。
汚れたときは、水拭きもしくは水洗いして、すぐに水分を拭き取るというのが基本です。
また、パンクなどでタイヤに穴が開いたり裂けたりした場合は、穴や裂け目が小さく軽微なら、自転車用のタイヤパッチを裏側から貼って塞ぐことができます。
それから、あまりおすすめできる方法ではありませんが、固まるとゴムのようになる接着剤をタイヤの表面から穴に充填して塞ぐという人も中にはいます。
ただし、タイヤが裂けている場合は早めに交換するのが、最も賢明な対処法です。
タイヤや他のパーツのメンテナンス方法ならこちらへ!⇒「プロが教える!ロードバイク初心者のためのメンテナンス方法」
まとめ、早めのタイヤ交換で、乗り心地もスピードもアップ!
タイヤは自転車の中で、最も消耗と劣化の激しいパーツです。
使っていなくても紫外線やオゾン、温度変化などによってゴムは劣化します。
乗る前に、そして乗った後に必ずコンディションをチェックするようにしてください。
ひび割れや亀裂がないか、異物が刺さっていないかはもちろん、トレッドの摩耗の状態をしっかりと確認しましょう。
特にロードバイクのタイヤは素材や作りが繊細なので、安全に走るためにもチェックは欠かせません。
劣化やパンクなどでダメージを受けたタイヤは修理や補修をするのも良いですが、安全に走るためには、できるだけ早めに交換することをおすすめします。
タイヤを交換することでペダリングが軽く滑らかになり、足への負担が減ることはもちろん、タイヤがしっかりと地面を捉えるので、同じケイデンスでスピードもアップします。