自転車のトレーニングの頻度はどのくらい?

自転車に乗っている人でタイムを縮めたい人やもっと長距離を走行できるようにトレーニングをする方もいると思います。しかし、毎日ハードなトレーニングをすればいいというものではなく効率良くトレーニングを重要です。忙しい中でどのくらいの頻度のトレーニングが良いのか解説します。

自転車のトレーニングで最適な頻度は?①

優れた競技者の多くは、毎週20時間以上のトレーニングを行っており、回復・食事・睡眠以外の時間はなかなかとれません。生活のほとんどをトレーニングに捧げており、それはライフワークといっても過言ではないでしょう。

私たちは忙しい日常生活を送りつつ、並行していかにしてトレーニングを実践していくかを考える必要がありますが、工夫次第で週8~12時間のトレーニング時間を確保することは可能です。

しかし、頻繁に出張があったり、高い役職についているために、さらに過密なスケジュールの中で生活している人もおり、その場合はトレーニングに割ける時間はせいぜい週に4~6時間です。
皆さんも家庭や仕事の事情により、数時間しかトレーニングを行えないケースもあるはずです。

では、クリテリウムや短いサーキットレースで一定の成績を残すには、限られた時間をどのように使えばいいのでしょうか?
大切なのは、自転車レースだけに特化したトレーニングを行うこと。つまり、ウェイトトレーニングやクロストレーニングはやらないということです。
時間が限られているのにトレーニング方法を間違えることは、決定的なダメージにつながります。1分たりともムダにせず、自分にとって最善の方法を選択することが重要なのです。
トレーニングの3要素である「頻度」「密度」「時間」を上手にやりくりして、週4~6時間のトレーニングでも最大の成果を得られる方法を教えします。

自転車のトレーニングで最適な頻度は?②

週5時間しか時間が取れない場合、どのくらいのペースで自転車に乗るべきでしょうか?毎日1時間ずつを5日間でしょうか?それとも2時間の日と3時間の日で週2日にするべきでしょうか?

研究によれば、有酸素運動能力に関しては週1~2回のトレーニングではメリットが少ないと言われています。有酸素運動能力は、トレーニングの頻度が増えるにつれて向上が認められるというわけです。

また別の研究では、週あたりのトレーニング時間を固定した場合、トレーニング頻度を週3回から週4回に増やしたところ、トレーニングによるvo2Maxの増加量が3倍近くになったという結果が出たそうです。トレーニングに割ける時間が限られているとき、この事実は重要な教訓となるでしょう。

さらに興味深いのは、週4回以上のトレーニングでは、有酸素運動能力の向上率は低下するということです。つまり、週4回から週5回に自転車に乗る回数を増やしたとして、確かにフィットネス上の向上はあるけれども、その向上率は週3回から週4回に増やしたときに比べて少ないのです。

また、フィットネスの基礎を積み上げている段階の場合は、そのスピードを上げるために週5~6日のトレーニングを行うべきという研究結果もあります。そこまでトレーニングの頻度を増やしても、そこそこの有酸素運動能力を獲得するには、10~12週間が必要です。

自転車のトレーニングで最適な頻度は?③

トレーニングの3要素のうち、時間が限られた自転車競技者にとって最も重要なのが「密度」です。
有酸素能力の90%を超え、乳酸が発生するレベルをはるかに上回るようなトレーニングでは、フィットネスレベルが大きく向上します。
このレベルのトレーニングの基本となるのは、有酸素能力の限界におけるインターバルやスプリント、耐乳酸能力を高めるレペティションです。距離が短く高速なクリテリウムや模擬レースも、高密度なトレーニングとなります。

このように高密度なトレーニングを高頻度で続けるのは、オーバートレーニングや燃え尽きにつながります。時間が少なくても、無酸素運動に費やす時間が多くならないよう注意する必要があります。

AT値4以上の心拍数の運動は、週に30分~60分もあれば十分です。走行距離の少ないサイクリストは、さらに少なくていいでしょう。
自転車に乗っている時間は多い方がいいのは確かですが、週4~6時間のレースを数週間続けるだけでも効果はあります。

このような短時間トレーニングの基礎的なフィットネスレベルが高ければ高いほど、それを長時間維持できる。

しかし、いつかは自分のレースに対するフィットネスが、他の競技者のレベルに及ばないことに気付く日が来るかもしれません。その時にはトレーニングを見直したり、より多くの時間を確保できるようになるまでシーズンオフとするのも一つの方法です。

自転車のトレーニングで最適な頻度は?④

忙しくてトレーニングになかなか時間が割けないとき、1回当たりどれくらいの自転車に乗ればいいでしょうか。
1時間ほどでもウォーミングアップや高密度トレーニング、クールダウンを行うには、十分ではありますが、持久力を高めるためには定期的に長距離を走ることも大切です。

基礎作りのためには、頻度は週1回でも、最低2時間乗ることです。これまで自分が走った最長レースと同じ時間だけ乗る日を設定するのもいいでしょう。

ある程度の持久力が付いたら、2週間に1度の長距離トレーニングでキープします。念頭に置きたいのは、ロードレースは持久力を競うスポーツだということ。
これはクリテリウムにしても同じで、基礎的な持久力がなければ無酸素状態でいくら速くても意味がないのです。

世界的に有名な自転車選手であるネルソン・ベイルズは、トレーニングを兼ねてロードレースやクリテリウムに参戦したことがあります。
ところが、彼がトップ集団に属していたのは最初の数キロだけ。すぐに付いていけなくなり、完走すらあやういほどだったそうです。

長距離を走ることで得られる有酸素運動能力が高まる効果は、高密度トレーニングに匹敵します。これは、遅筋が疲労した後に速筋が動員され、疲労しにくいという遅筋の特徴を少しずつ獲得するからかもしれません。
さらに、定期的な長距離走を行うことで、レースと同じくらい長時間、サドルの上にいることに慣れるという効果もあるのです。

自転車の高密度トレーニング方法を紹介

1時間でできる自転車のトレーニングメニューの一覧です。

●坂
坂の多いコースをさまざまな心拍数で。登りはシッティング。

●クルーズ(巡行)インターバル
6~12分間、2~3分のインターバルを入れるる3~5回。AT値-10~AT値+3。

●テンポ
ノンストップで20~40分間。AT値-10~AT値+3。

●インターバル
3~6分間走を5~7本、同じだけの回復時間を置いて。AT値+4~10になるまで。2~4%の登りで行うのもおすすめ。

●スプリント
12~15秒のスプリントを高ケイデンスを維持しつつ全力で。スプリントの間には3分の回復時間。3本を1セットとし、セット間の休憩は10分とり、2~3セット。

●レペティション(反復)
90秒~2分を3~6本。回復時間はその2.5倍とし、例えば2分のレペティションならそれぞれの間に5分間。AT値+11以上になるまで。4~6%の登りで行っても効果的。

●レース/模擬レース
上記の組み合わせ

●トレーニング頻度がなかなか確保できない人のスケジュール
月曜:オフ
火曜:インターバルやスプリント、レペティションを必要に応じて
水曜:オフ
木曜:クルーズインターバルあるいはテンポ
金曜:オフ
土曜:レース/模擬レース、坂
日曜:ロングライドあるいはテンポ

自転車トレーニングの頻度は適度が良い

「毎日こんなに自転車に乗っているのに成果が現れない!」。そう感じているなら、それはオーバートレーニングの兆候かもしれません。

回復期間中なのにも関わらず、高負荷のトレーニングを行ってしまうと、筋線維や身体機能が初期レベルよりも低下してしまいます。
それを繰り返すうちに機能はどんどん低下するため、トレーニングは逆効果となってしまうのです。この状態をオーバートレーニングと言います。

オーバートレーニングが続いて疲労が溜まると、場合によっては半年以上も体調が戻らないこともあります。トレーニングをやり過ぎてそのような状態に陥るくらいなら、やり過ぎない方が断然よいのです。

オーバートレーニングを防止するには、トレーニング日誌を付けることです。効率良くトレーニングを行えているかを確認するためにもおすすめです。

トレーニングの内容、強度、時間、体調、タイムなどを記録しておけば、「どのタイミングで調子が良くなったのか?」または「悪くなったのか?」「悪くなったとしたら何が原因なのか?」といったことを後から分析することができます。
やがて自分にとって理想的なトレーニング頻度を見つけられることでしょう。

自転車トレーニングは自分にあった量で!

自転車がもっと上達したいからという理由で、毎日ハードなトレーニングを行いたい方もいると思います。また、今回紹介したトレーニング内容も必ずしも全員が成果が出るというものではないです。
参考程度にトレーニングに組み込んで頂ければと思います。
体力は人によって異なりますので、無理をせずインターバルも大切で体調と相談しながら継続できるようなトレーニングマニュアルを組んで行うことが一番のおすすめです。