サスペンションとは、地面からの衝撃を吸収してくれる装置で、一昔前は高級というイメージがありました。
最近では、当たり前のようにサスペンション付きのmtbが売っています。
サスペンションは、障害物にタイヤがぶつかったときなどに、自転車への衝撃を和らいでくれるので、とても便利です。
その便利さを発揮させるためには、しっかりと調整することが必要です。
今回は、そんなサスペンションの調整についてご説明します。
mtbのサスペンション調整:サグ編
mtbのサスペンションを調整するには、まずサグを測定する必要があります。
サグとは1G´、つまり自転車そのものの重さと、乗り手の重みを加えたときに、どれくらいサスペンションが沈むのかを表した値のことです。
サスペンションはグリップ力を増やし、ポジションを変えないまま運転し続けることが出来るように、サポートしてくれます。
ですが、サグがなければ伸びないため、路面の状態によっては、上手く対応出来なくなるでしょう。
上手く対応出来なくなってしまうと、路面のへこみにタイヤが取られ、前側に重心が集中してしまいます。
そして、勢い余って、身体が投げ飛ばされてしまう可能性があります。
また、スプリングレートと呼ばれるバネの設定が硬くなるため、普段は後ろ側に重心が偏りやすくなります。
そのため、負担が前後でバランス良く分散されなくなるので、スムーズに走れません。
どれだけ高性能のパーツを使っていても、これでは意味がありません。
サグが取れていると乗り手の仕事が減り、自分に最適なスプリングレートも知ることが出来ます。
サスペンションの調整の基本がサグと言えるので、最初は、サグをきちんと設定しましょう。
mtbのサスペンション調整:サグ測定編①
mtbのサスペンション調整は、正確なサグを取ることが重要になります。
まずは、測定する準備を整えましょう。
フォークとユニットのコンプレッションは、一番弱いものに設定します。
そして、普段乗っているときの装備を取り付けたときの自転車の重さと、ヘルメットやプロテクターを装着した状態の乗り手の体重を足して下さい。
各種パーツの説明書・定規・計算をすぐ済ませたいなら計算機も用意しましょう。
測定用のOリングがなければ、タイラップやリピートタイを揃えて下さい。
出来れば、人手があると楽に作業を進められるので、手伝ってくれそうな人に声を掛けましょう。
測定方法は、説明書を見ていけば、詰まることはないはずです。
空気圧を指定の量にして、フォークとリアユニットのサイズ・ストローク量・サグの量を調べたら、測定していきます。
壁の近くにmtbを立たせ、mtbが地面と垂直になるようにしながら、跨がって下さい。
体重を壁に掛けすぎないように気を付けましょう。
跨がったら、立ったままで運転中の姿勢を取り、垂直方向に体重を掛けていきます。
前後のサスペンションが、落ち着く位置で姿勢を保ちましょう。
リンクの動きが乱れるので、ブレーキは使わないで下さい。
このとき、フロントとリアに取り付けてあるOリングやタイラップは、ダストワイパーの方へ移動させましょう。
メーカーによっては、サグの目盛が表記されているので、このタイプなら、ひと目で把握出来ます。
mtbのサスペンション調整:サグ測定編②
mtbのサスペンション調整で最初に行うことはサグの測定です。
リアユニットがコイルスプリングになっているものは、ほとんどの場合、測定用のOリングが付属していません。
そこで、取り付けボルトの芯から芯までの距離を測りましょう。
Oリングの移動と距離の測定が済んだら、バイクから降ります。
このとき、サスペンションが動かないように気を付けて下さい。
降りると沈んでいたサスペンションが元の位置に戻ります。
この時点でのOリングとダストワイパーの距離が、いわゆるサグです。
さて、気になるサグのパーセンテージですが、「ユニットサイズ」から「バイクに跨がった時のユニットの長さ」を引いて下さい。
出た数値がサグの値なので、それをストロークの長さで割ります。
1回だけでは誤差などを判断しにくくなるので、何回か計測して平均値を求めましょう。
また、ハンドルなどポジションが変わるパーツを新しいものと取り替えた場合や、乗る姿勢を変えた場合もサグを測り直す必要があります。
これは、前と後ろに掛かる負担のバランスも変化するためです。
mtbのサスペンション調整:コンプレッション編
mtbのサスペンション調整は、サグだけではありません。
コンプレッションも調整する必要があります。
コンプレッションとは、サスペンションが縮む速度を調節するだけではなく、衝撃をバネに伝えないように抑え込む役割も持っています。
ダウンヒルなどを走ると、ボトムアウトする確率が上がり、乗り手やバイクに掛かる負担が増してしまいます。
最悪の場合、転落事故に繋がって大怪我を負ったり、バイクが大破して使い物にならなくなるといった事態に陥ってしまうでしょう。
また、mtbは無駄なエネルギーを減らすためにアンチボビング作用を取り入れていたり、負荷を最もグリップ力が得られるタイミングで掛けられるように、自由にコントロールすることが出来ます。
調整の目的の大半は、これらの機能を正常に働かせるために行います。
コンプレッションは、スピードを出して効率良く走るために存在しています。
グレードの低いモデルには、搭載されていないことが多く、上位グレードになるほど、微調整がしやすいサスペンションが組み込まれています。
mtbの購入を考えているなら、サスペンションの青いダイヤルを確認してみましょう。
かなりの出費となりますが、長い目で見ればお得となることが多いので、思い切ってグレードの高いモデルを手に入れて下さい。
ロースピードコンプレッション
mtbのサスペンション調整のひとつに、ロースピードコンプレッションというものがあります。
その名の通り、ブレーキを掛けたり、コーナーを曲がる際のピッチングなど、速度を落とすときに発生する動きをコントロールする役割を担っています。
エントリーモデルでも、この調整は行えるため、ロースピードが乗り手の動きであると捉えても良いでしょう。
具体的に、どのような効果をもたらすのかというと、グリップを確保するために、乗り手はタイヤへと体重を掛けます。
しかし、コンプレッションが効いていなければ、負荷は全てサスペンションに抑え込まれ、タイヤに伝わりません。
そこで調整をするのです。
ダイヤルを締め込んでいくと、サスペンションの緩みを遅くすることが出来る上に、動きも硬くなります。
つまり、そのぶんだけ負荷を掛ける時間が増し、吸収されることなくエネルギーがタイヤに伝わるのです。
だからといって、コンプレッションを強くすると、今度は硬くなりすぎてしまい、ろくに動けません。
乗り手の操作に反応します。
ペダルを漕いだ時のボビングや、ブレーキを踏み込んだ時のノーズダイブなど、動きすぎると感じた場合には、ロースピードコンプレッションを調整して下さい。
ハイスピードコンプレッションとは
mtbのサスペンション調整の中に、ロースピードコンプレッションというものがあります。
それとは反対の動きをコントロールする、ハイスピードコンプレッションについても、お伝えします。
ハイスピードコンプレッションは、路面から伝わる衝撃を調整するものであり、ボトムアウトコントロールと似ていますが、実際は全くの別物です。
調整する際には、限界ぎりぎりのところまで設定することが多く、乗っていても変化を実感しにくいという特徴があります。
具体的な例を挙げると、着地したタイミングでボトムアウトやストロークをしすぎそうになった場合、締め込み調整を施します。
ボトムアウトコントロールだけでは、乗り手やバイクそのものの姿勢が変わってしまうことを防げません。
また、ハイとローでは、スピードを落とすために使われるオイルの通り道が異なります。
そのため、それぞれの設定に大きな差があると、切り替えたときに動きも大きく変化してしまいます。
釣り合いが取れるように調整することが重要です。
どうしても極端な差が出てしまう場合は、スプリングレートが合っていない可能性があります。
そのときは、もう一度、サグの算出からやり直して下さい。
mtbのサスペンションの調整方法はいろいろ
いかがでしたか?
一概にサスペンションの調整といっても、サグやコンプレッション調整など方法はいろいろあります。
また、ここでは紹介していませんが、オイルの粘度を変えることでも、サスペンション調整ができます。
興味のある方は、調べてみてはいかがでしょうか。