当たり前じゃないかと言われそうですが、自転車のパーツの中で足が触れる場所はペダルだけですよね。
まして、いつも土足で踏みつけているのですから、劣化したり、汚れたりするのは当然なんですよね。
ですが、ペダルのことメンテナンスしていますか?
忘れがちじゃないですか?
そこで今回は、ペダルの分解清掃とグリスアップについてお話していきましょう。
自転車のペダルの種類
ペダルは自転車で人の漕ぐ力が直接加わる唯一の場所ですから、重要なパーツであることは間違いありません。
ママチャリなどのシティサイクルには表面が平らで、裏表両面使えるフラットペダルが付いています。
履物にこだわらないですし、すぐにペダルから足を離すことができるので、ストップ&ゴーの多い場所や緊急時に対応できます。
一方、ロードバイクなどでは、ペダルと靴を固定する、ビンディングペダルが採用されます。
足とペダルを固定することで一体化させ、ペダルを漕ぐというよりも回すという感覚で力を伝えます。
専用のシューズが要りますし、緊急時に直ぐに外すことができないので、街中で使うことはあまりありません。
そのペダルですが、大きな負荷が掛かる場所であると同時に、経年劣化もしていきます。
回りが重くなったとか、ぎこちなくなったと感じたら、ペダルの中に入っているベアリングという部品が消耗している証拠です。
そうなったら、分解・清掃して、ベアリングをグリスアップしなければなりません。
自転車のペダルをグリスアップしよう!ペダルの外し方
グリスアップをするためには、まずはペダルを外さなくてはいけませんね。
まず、外す際に頭に入れておきたいのは、ネジを緩める方向です。
右足で踏むペダルは左に回し、左足で踏むペダルは右に回すとネジが緩みます。
これは、ペダルを踏む方向に力が掛かったときに、ネジが締まる構造になっているからです。
この左右逆なのが知らないと、結構戸惑うので覚えておいてください。
ペダルを外すのに使う工具ですが、普通のレンチも使用可能ですが、今後自転車を趣味にしていくと考えているなら、専用のペダルレンチを持っておきましょう。
通販サイトで1,000~1,500円で手に入ります。
大体の自転車のペダルは15mm径なので、15mmに対応している物を購入してください。
クランク周りには歯車などケガをしそうな部品もあるので、軍手をして作業することをおすすめします。
取り外し方ですが、まず、外したい方のクランクを前に持ってきます。
レンチを根元に掛けたら、回すというよりは、クランクアームと一緒に握りこむようにしてください。
クランクアームを小指以外の4本で支えて、レンチの根元を親指の下の部分で押し込むような感覚です。
自転車のペダルをグリスアップしよう!ペダルの分解
ペダルが外れたら、外側に樹脂でできたキャップが付いていると思いますので、マイナスのドライバーなどで、こねて外してください。
すると、中にナットやワッシャーが見えると思いますので外していきますが、中に引っ込んでしまっているとレンチが使えないので、柄の長いソケットレンチのようなものを使います。
全て外すと、ペダルの軸と周りに、小さな玉がたくさん付いたベアリングが見えると思います。
反対側から軸を抜いて小さな玉を取り出しますが、これ飾りじゃなく重要なパーツなので、失くさないように気を付けてください。
さて、ここまでですが、ペダルレンチやソケットレンチなどが無いと、できない可能性があります。
そのときは、先ほどもお話したように、今後自転車を極めようと思っている人は工具を購入しても良いと思います。
そうじゃない人は、最初からグリスアップも含めて自転車屋さんに頼んでしまう方が良いでしょう。
いよいよ自転車のペダルをグリスアップ!
さて、部品が外し終わったら、次は清掃とグリスアップです。
まず清掃ですが、自転車の部品は至るところにグリスが塗ってあるので、清掃には油脂除去用のディグリーザーを使いましょう。
ひと通り全て洗い終わったら、いよいよ今回のメインであるグリスを塗っていきます。
グリスはシマノ製がおすすめです。
また、ペダルのような小さい部品に塗るときは、チューブタイプが便利です。
まず、ベアリングの周りにグリスを塗布しますが、やや多めが良いと思います。
その上に、先ほどの小さな玉を1個ずつ並べていきますが、ピンセットが無いと上手くいかないかもしれません。
ここで、ペダルの軸を一度通して、手で回してみてください。
このときに、ゴリゴリ当たるようなら玉を何個か抜いてしまって構いませんので、スムーズに回るように調整してください。
軸にも、全体的にグリスを塗って本体に戻します。
あとは、外したときと逆の順番でワッシャーとナットを噛まし、キャップをして完了です。
このとき、キャップ周りにもグリスを塗りこんでおくと、水が入り込むのを防止できるのでおすすめです。
この際に他の部分もグリスアップしましょう
ペダルのように回転する部分にはベアリングがあって、やはりグリスアップするとスムーズに作動したり、異音が治まったりするものです。
まずペダル付近には、クランクとフレームを繋ぐパーツとしてBB(ボトムブラケット)があります。
ペダルをグリスアップしてもなお、クランクの動きに違和感があるときは、BBを疑ってみましょう。
BBとフレームを繋ぐ部分を、グリスアップしてみてください。
次に、ホイールの車軸部分=ハブです。
ここもベアリングを使って、車輪をスムーズに回転させる構造になっているので、グリスアップが重要な箇所です。
目安としては5,000㎞前後と言われているので、人によりますがスポーツ自転車なら1~2年、ママチャリなら3年に1回程度です。
また、自転車を押して歩いたときや、坂の下りなどでペダルを漕いでいないときにホイールからする音をラチェット音といいますが、これもグリスアップすることで小さくなります。
あとはヘッドパーツですが、ヘッドチューブの根元にあるベアリングをグリスアップしたいところです。
ブレーキワイヤーやフロントフォークを外すので、大掛かりなメンテナンスですが、大切な自転車のためですから、ぜひ行ってください。
グリスを塗ってはいけない場所
自転車用のグリスはネバネバしていて粘着質なので、流れづらいのがメリットです。
ですので、毎回開けることが困難なペダルやBBなどの密閉部分には、長持ちするという意味で適しています。
しかし、その反面、ゴミやほこりが付きやすいので、常に外気にさらされている部分へ塗るのは良くありません。
代表的なのはチェーンで、ゴミやほこりが付くと、グリスがヤスリのようになり、チェーンを削ってしまいます。
ですから、チェーンには粘度の低いサラサラしたオイルを差すわけですが、流れてしまいやすいので頻繁に差し直す必要があります。
また、グリスアップしている箇所にオイルを塗るとグリスが溶けだしてしまうので、チェーンにオイルを差すときは、クランク周辺やハブなどに付着しないように注意する必要があります。
あとはベアリングに塗ることを考えると、金属に適しているということなので、カーボン素材のパーツへの使用は控えましょう。
グリスは適切な場所へ適量使いましょう
今回は、ペダルを中心に各パーツへのグリスアップを確認してきました。
潤滑油という言葉があるように、特に回転部分においては、スムーズに回転させる上で非常に重要な物だということが分かりました。
しかし、たくさん塗れば良いというものでは無いので、適量を守って、はみ出したら拭き取るくらいのイメージで使用してください。