自転車のカタログに24インチ、26インチなどと記載されていますが、これはタイヤの大きさを表しています。
しかし、我々日本人にとっては、インチで表示されてもピンときませんよね。
また、スポーツ自転車は、インチ表記もあればミリ表記もあるので、ややこしいですね!
新車購入時や、タイヤを新品にするときなどは迷ってしまうと思いますので、今回はまとめてみました。
タイヤを新品にする場合はまずサイズを確認
さて、今回はタイヤを新品にするときに困らないように、タイヤのサイズについてお話していこうと思います。
自転車のタイヤは統一された規格が無かったので、インチ表示をする物もあれば、ミリ表示する物もありました。
例えば、ママチャリやMTBなどは今でもインチ表示ですが、これをミリ表示にすると1インチ=25.4ミリなので26インチは660.4ミリということになります。
ところで、この26インチや660.4ミリは、どこのサイズを差しているのかというと、タイヤの外径を表しています。
さらにタイヤのサイズには、幅=太さの記載もされています。
ママチャリなどは、あまり太さにバリエーションがないので、細かくスペックを見れば記載されていると思いますが、パッと見て分かる部分には載っていません。
しかし、スポーツ自転車のタイヤ幅は非常に重要で、選ぶ側の決め手のひとつの大きな要素ですから、大体は目に付くところに表記されています。
そして、この幅に関しても外径と同じくインチ・ミリ表記が入り混じり、さらにはA・B・Cと記号まで出てきます
この複雑さ、何とかならないものでしょうか。
しかも、上記で説明した26インチの自転車のタイヤ外径は660.4ミリですが、実際の外径は違います。
便宜上、26インチと呼んでいるだけです。
一体どういうことなのか、次項で説明しましょう。
タイヤのサイズにはインチ表記とミリ表記がある
当然のことですが、タイヤは車輪に、はまって初めてタイヤとしての体を成します。
そのため、車輪のタイヤをはめる部分をリムと言いますが、このリムがタイヤのサイズと密接に関わってきます。
そして、タイヤサイズの表記の複雑さは、このリムにはめる「ビード」という部分の形状の違いから発生しています。
イギリスとフランスで使われているWO(Wired On)と、アメリカのHE(Hocked Edge)の2種類の規格があり、リムとのはめ方が違うので互換性はありません。
また、同じWO規格であっても、イギリスはインチ表示、フランスはミリ表示を採用しています。
タイヤ幅についてはイギリスがインチ分数表示、アメリカがインチ小数点表示、フランスがミリ表示とさらに細分化されているため、複雑極まりないことになってしまうのです。
そこにフランスミリ表示では、リムのサイズを示すA・B・Cの添え字が付きます。
ですから、WOのイギリスは26(インチ)×1 1/2(幅)、フランスは700(ミリ)×23Cのような表記になります。
このとき、お互いを無理やりどちらかの規格に合わせようとすると、余計にややこしくなります。
26インチのタイヤも700のタイヤも実寸値は違いますが、便宜上そう呼ばれているのだと思ってください。
ですから、新品にするときには、ひとつの商品名として捉えてもらうと良いと思います。
アメリカ規格のHEに関しては、また後ほど触れたいと思います。
新品タイヤの規格統一に救世主現る!
改めて考えて見ても、まだ混乱してしまうような自転車のタイヤサイズ表記問題。
上記のように、ややこしい表記を国際的に統一しなければならないという機運は、当然ながら高まってきます。
そこで現在は「ETRTO」という統一基準が示されることとなり、タイヤの表面に従来のサイズの横に刻印されるようになりました。
ETRTOはミリで表され、前にタイヤの幅、後ろにビード径が表示されています。
従来の表示はタイヤの外径でしたが、外径は同じWOでも太さによって誤差が生じますし、アメリカ式のHEは同じサイズ表記の物でも外径自体がWOよりも小さいので、規格を合わせずらいのです。
ですが、ビード径はタイヤの幅に関係なく、同じサイズの物は全て一緒なので、互換性の確認がしやすいのです。
そのため、ETRTOの表記を見れば、タイヤの互換性がひと目で分かる仕組みとなりました。
現在販売されているWOの新品タイヤには、全て従来の表記とETRTOが併記されています。
自転車の種類によってインチとミリ表記がある
統一基準であるETRTOが定められたことにより、従来の表記を参考にしなくても、互換性の確認が取りやすくなりました。
しかし、旧来の表記も自転車の種類によって棲み分けがされているので、大まかな見当は付きます。
まず、イギリス式のインチ分数表記は、ママチャリなどのシティサイクルに主に用いられています。
フランスのミリ表記はロードバイクやクロスバイクに用いられますが、リムサイズの記号は現在、ほぼCサイズの使用のみで、Aサイズは皆無、Bサイズもごく一部に限られています。
アメリカ式のインチ小数点表記は、マウンテンバイクや子供用自転車に使用されています。
しかし、ママチャリを多く扱っているブリヂストンのカタログを見ると、タイヤサイズの表記は見事に3種類入り混じっており、同メーカーの同カテゴリーであっても統一されていない現状なので、やはり新品購入時にはETRTOが強い味方になると思います。
タイヤ径は1ミリも変えられない
さて、ここまではタイヤのサイズ表記についてお話してきましたが、これが新車やタイヤを新品に交換するときの参考になってもらえれば幸いです。
続いては、タイヤのサイズを変えるお話をしたいと思います。
タイヤの大きさはホイールの大きさによって、はめられるサイズが決まっていますので、タイヤ径を変更することは、ホイールを交換しない限り不可能です。
ホイールの交換もフレームと適合しない可能性があるので、原則、タイヤのサイズ交換は幅(太さ)だけになります。
従って、タイヤの大きさは購入するときにしっかりと自分に合う物を選ばないと、あとから後悔することになります。
太さに関しては、ざっくり言えば細い方がスピードが出しやすく、太い方が安定感が出て、乗り心地が良くなります。
スピードを出したいロードバイクは細いタイヤ、安定感が大切なMTBは太いタイヤというのが定説になっています。
しかし、現在はロードバイクに太いタイヤを履かせてオフロードも走れるシクロクロス車や、MTBに細いタイヤを履かせて街乗り仕様にしている物もあります。
また、リムの外・内径の幅によっても、適正なタイヤサイズが違ってきます。
ロードバイクのタイヤの潮流は23Cから、やや太めの25Cに移ってきているのですが、それに対応させるために各ホイールメーカーは、リムの内径を広げるワイドリム化を図っています。
僅か2ミリの違いで、新しいホイールを作るほど繊細ということなので、不安な人は自転車屋さんに確認してから交換した方が賢明です。
新品のタイヤもパンク修理しやすいことを意識する
ロードレースなどに本格参戦している人が、練習用のタイヤをレース前に履きつぶすのは良くあることです。
ただ、そのような用途でない限りは、新品購入時に耐久性も考慮したいところです。
自転車用のタイヤは、中にチューブが入っている「クリンチャー」、チューブがタイヤに縫い付けられている「チューブラー」、チューブが無い「チューブレス」の3種類が一般的です。
中でも、多くの自転車に使われているのはクリンチャーですが、脱着のしやすさ、パンク修理の容易さがメリットです。
チューブラーは、ギリギリまで空気圧を上げることができるので走行性能に優れている反面、1度パンクしてしまうと縫い部分をほどき、修理をして、また縫い直すという、かなり面倒な作業が必要なので、基本使い捨てになるのがデメリットでしょう。
そのことから、現在はプロのレーサ-仕様のタイヤと言って良いでしょう。
最近、MTBを中心に需要が高まっているのがチューブレスです。
MTBのように悪路を走る場合は、空気圧を限界まで下げないと速く走れません。
しかし、クリンチャーの場合、空気圧を下げるとリムと地面の間にチューブが挟まってしまう、リム打ちパンクが起きやすくなるので下げられません。
そこで、低い空気圧でもパンクが起こらない、チューブレスタイヤが使用されるようになりました。
以前は対応するホイールが少なかったり、空気抜けが激しかったりしたのですが、今では改善の方向にあり、MTB以外にも普及してきています。
タイヤは、わずか数ミリサイズが違うだけで用途も性能も違ってきますので、慎重に選びたい物ですね。
タイヤの規格統一はいつ?
自転車用タイヤのサイズ表記問題は、各国のお国柄がストレートに出てしまった弊害だと思いますが、タイヤがどのように変化し進化してきたのかを探る指標でもあります。
ETRTOができた現在でも、各メーカーが旧表記にこだわっているのは、それだけ定着していると自負している証拠です。
我々ユーザーにとっては、規格はひとつの方が助かりますが。