シマノのロードバイク用コンポ「sora」は、2016年にR3000番にリニューアルされました。
いくつかの注目点がある中で、stiレバーのワイヤーの取り回しが変更になった点は、派手さはないですが、見逃せないポイントです。
そこで今回は、新型soraの検証をしていきます。
soraのstiレバーが上級者仕様に…
「sora(ソラ)」はシマノのロードバイク用コンポでは、上から5番目のグレードです。
リア9速のコンポで、完成車では10万円以下のエントリーモデルに搭載されていることが多いです。
また、フラットバー用のブレーキレバーやシフターもあるので、クロスバイクに搭載されていることも少なくありません。
エントリーモデルではありますが、上位グレードの技術を多く踏襲しており、ロードバイクの性能を引き出すのには、全く問題のない優秀なコンポです。
9速になってから2017年で10年経過しましたが、その間にリニューアルをされ、着実にグレードアップされています。
ただ、stiレバーに関しては、上位モデルに近付けるがゆえに、エントリーモデルとしての「優しさ」が薄れてきている印象です。
リアであれば、シフトアップのボタンがブラケット上部に付いていた通称「親指シフト」。
また、ひと目で今何速に入っているかが分かる「オプティカルギアディスプレー」などは、好評であったと聞いています。
しかし、共に現行のR3000番では、廃止されています。
ワイヤーの取り回しが、ハンドル内蔵になったことは評価されていますが、エントリーグレードゆえの扱いやすさも、残してほしかったところです。
soraはツーリング用コンポ!stiのワイヤーが外装式だったわけ
soraが、今でもエントリーグレードの位置付けになっているのには、開発当時のコンセプトが大きく関係しています。
シマノのロードバイク用コンポは、「ロードレース用」「レース仕様ではないドロップハンドル用」「フラットバー用」の3種類でスタートしました。
この中でsoraは、ランドナーなどのツーリング車タイプに採用されたコンポでした。
そのため、レース用のコンポに比べれば、変速段数が少なめです。
また、ツーリングで究極のスピードが求められないことから、下ハンを握ることがあまりないという想定で、stiも親指シフトになっていました。
長い間ワイヤーがハンドル内蔵ではなかったのも、シビアなハンドリングを必要としない、ツーリングモデルの位置付けが関係していると聞いています。
そのため、レベルが低いからエントリーモデルというのは、個人的には間違った認識だと考えています。
元々想定されている用途のために、上位グレードとは仕様が違うと考えても良いでしょう。
ワイヤーの取り回し変更でsoraのフロントギアに革命が!
soraの開発経緯や歴史を簡単に振り返ってみましたが、ここからは現行のR3000番を詳しく確認してみます。
まず、何と言っても評価が高いのは、フロントディレイラーです。
これに関しては、上位のティアグラ・105を飛び越え、アルテグラ並みのスムーズさなのではないか、との声も上がっているほどです。
上位モデル同様に、アームが長くなったことで、変速に余計な負荷が掛からなくなったと言います。
また、反応が良くなっているので、stiレバーを動かすアクションが少なくて済みます。
さらに、ワイヤーの取り回しが、このR3000番から新たに採用されたものになっています。
soraよりも上のグレードのフロントディレイラーでは、シフトワイヤーをピンと固定ボルトの間に通しています。
しかし、R3000はピンの上からワイヤーを回し、下に引っ張っぱります。
ピンの上から金属のプレートを取り付け、ワイヤーを挟み込むようにして、ボルトで固定しています。
この方法によって、驚くほど変速性能が上がっています。
ネットに上がっている変速の実験動画を見ましたが、驚くほど静かで、スムーズにギアチェンジされていることが分かります。
これだけでもR3000を換装する価値がありますが、シマノ曰く、旧モデルのstiレバーとの互換性がないとのことなので、stiレバーも同時に交換することになります。
stiのワイヤーが触角ではなくなった
stiは、シフト・ブレーキ一体型レバーなので、ワイヤーも同じ位置から左右2本ずつ出てきます。
今までのsoraのワイヤーは、アウターワイヤーと呼ばれる樹脂製の太いチューブが、レバーの横から飛び出していました。
これが昆虫の触角に似ていることから、触角付きレバーなんて言われ方もしていました。
この取り回しが、R3000番から上位モデルと同じ、ハンドルに中通しができるようになりました。
これによって、アウターをバーテープで固定できるようになり、ハンドリングが軽くなります。
また、stiレバーのフィーリングが良くなるので、軽いタッチでブレーキングや変速が行えるようになりました。
見た目のごちゃつき感もなくなり、機能面だけでなく、高級感が出るハンドル周りになるのが良いですね。
その後、ひとつ下のグレードであるクラリスも、触角タイプではなくなりましたので、ほぼすべてのモデルがハンドル内蔵式となりました。
フロント変速が気になるならsoraを導入
soraのR3000番はstiレバーのワイヤーの取り回しの改善と、フロントディレイラーの機能アップということで、フロント変速のグレードアップが著しいです。
それに加えて、クランクが、これも上位モデル同様「4アームクランク」になりました。
これに関しては、チェーンリング側の剛性を強くして、支えるアーム側を1本抜いて、軽量化を図ったというものです。
見た目にも高級感があり、個人的な受け取り方ですが、上位モデルと遜色ない使用感があります。
(あくまでも見た目の話です)
stiレバー・フロントディレイラー・クランクセットと、フロントギアに特化したようなモデルチェンジになってます。
もちろん、それだけを意識したわけではないでしょうが、換装を考えたときには、やりやすい仕様になっているといえます。
ドロップハンドル化にsoraを
soraはフラットバー用のレバー類もあり、クロスバイクやミニベロのコンポとしても採用されています。
しかし、stiレバーのワイヤーがハンドル内蔵式になり、フロントディレイラーがレベルアップしたとなると、ドロップハンドル化の主力コンポとしても採用できそうです。
ハンドルの形状を変えるという一大イベントの中で、ハンドルの取り回しは重要なポイントです。
また、クロスバイクはフロント3速が多いですが、soraは3速用のアイテムが揃っていますので、3×9速のクロスにはもってこいです。
特に先述したように、新soraのR3000番台はフロントディレイラーが秀逸なので、変速のスムーズさには驚かれると思います。
ドロップハンドル化に伴う注意点は、現在のクランクがシマノ製以外だとすると、BB(ボトムブラケット)の交換も必要になります。
また、ブレーキがVブレーキだと、stiレバーでは操作できないので、ブレーキの交換も必要です。
Vブレーキの台座を、そのまま活かして取り付けるなら、カンチブレーキがstiレバーに対応しているのでおすすめです。
soraの活躍する場は多い
今回は、シマノのロードバイク用コンポ「sora」を取り上げてみました。
様々な改良点があり、着実にグレードアップしている印象でした。
stiレバーがどんどん上級者向けになっていくのは、個人的に少しさびしい気もしますが、改悪ではないので、ご安心ください。
貴重な9速コンポとして、ロードバイク以外にも活躍の場を広げていきそうです。