自転車の盗難は、あらゆる犯罪の中で最も多い「窃盗」の中でも、例年トップクラスの件数になってしまうほど多く発生しています。
特にロードバイクなどのスポーツサイクルでは、大半の場合がカギをかけていたにもかかわらず盗難されており、窃盗犯のターゲットにされ計画的に犯行が行われていることが分かります。
そういった現状から盗難防止対策は必須ですが、万が一の状況に備えることも必要であり、盗難保険への加入も考えたいところです。
そこで今回は自転車の盗難保険について、補償内容や具体的な保険商品もご紹介します。
盗難された自転車が手元に戻る確率は低い
自転車の盗難は喜ばしいことに徐々に減少傾向にありますが、それでも認知件数はまだ20万件前後あります。
そして、特に高額な機種も多いロードバイクなどは80%以上が施錠を行っていたにもかかわらず盗難されたというデータもあり、悲しいかな避けられない部分もある犯罪とも言えてしまいます。
そのため施錠のやり方や置き場所、最近ではアラームやGPSも組み合わせたものなど、盗難防止対策も必須の状況です。
しかし、上記のように避けられない部分もあるということは、万が一の盗難に備えることも考えなくてはなりません。
特にスポーツサイクルは転売やオークションなど「リセール」の価値が高いため、盗難されると自分の手元に戻ってくる可能性は極めて低いです。
また、車体はもちろんのことホイールやサドルなども高価なため個別に転売される可能性もあるため、盗難後に原形を留めない状態になっても何らおかしくありません。
このように、自転車を盗難されることは残念無念でなりませんが、これで自分のサイクルライフを終わりにするわけではないでしょうから、手元に戻ってこなければ新しく購入することを考えることになるはずです。
そのときに助けになるのが、自転車の盗難保険ということです。
自転車盗難保険の概要
一般的に自転車の保険というと、事故を起こし相手側にけがなどの損傷をさせてしまった場合の賠償保障や、自分がけがをした場合の入院、通院費の補償をしてくれる保険を総じて「自転車保険」と呼びます。
しかし、この自転車保険には盗難時の補償が付いていないことがほとんどのため、新たに盗難保険に加入する必要があります。
盗難保険は自転車が盗難されてしまった場合に、新しい自転車を購入する際の費用を補償してくれる保険です。
自転車メーカーや販売店が提供している保険が多いのですが、最近は一般的な保険会社も盗難の際の補償を備えた商品が出てきています。
盗難時に支払われる保険金は会社やプランによって違いがあり、購入金額の全額が補償されるものもあれば、購入金額の何割かが補償になるものもあります。
また、新車に限らず中古でも加入できる保険もありますし、パーツやサイクルコンピューターなどのアクセサリーが補償対象になる保険もあります。
そして、保険会社の盗難保険は車両保険とセットになっていることが多く、事故などで車体が故障、破損した場合にも補償を受けることができます。
自転車販売チェーン店の自転車盗難保険
それではここから、具体的な盗難保険をご紹介していきます。
【サイクルベースあさひ:サイクルメイト】
ママチャリからスポーツバイクまで自転車全般を幅広く扱っている自転車販売チェーン「サイクルベースあさひ」の保証サービスです。
盗難補償の他に賠償責任や自分の傷害補償が付帯しており、3年間は無料点検や修理時の10%割引などの特典も付いています。
盗難補償については購入から3年間に限られます。
30万円未満の自転車の場合は1年目が20%、2~3年目が40%の自己負担で新車を購入することができ、30万円以上の場合は年数にかかわらず50%の自己負担ということになります。
(電動アシスト付きは年数にかかわらずメーカー希望小売り価格の20%)
加入料は自転車の購入金額によって違いますので、店頭またはホームページで確認してください。
【Y’sロード:盗難補償】
スポーツサイクル専門チェーンのY’sロードの盗難補償です。
プランがA~Dまでの4種類あり、補償金額や年数、加入料が違ってきます。
例えばプランAの場合は、自転車購入金額の5%が掛け金となり、補償期間は1年、盗難補償は購入金額の50%となります。
スポーツサイクル専門店らしく、完成車だけでなくフレームからパーツを選択して組み立てた「バラ完」にも対応していますし、サイクルコンピューターなどの電子機器は対象外ですが、パーツも含めた総額で加入することもできます。
保険会社の自転車盗難保険
前項に引き続き自転車の盗難保険をご紹介します。
【au損保:すぽくる】
ロードバイクやMTBなどのスポーツサイクル専門で、盗難と破損を補償してくれる保険です。
保険料は購入時の金額によって変動しますが、パーツ、アクセサリー込みで30万円の場合は年間9,900円(2020年1月時点)になります。
この保険は自由度が高く、自転車を購入してから何年経過していても加入できますし、年数にかかわらず盗難補償は購入金額の全額が補償されます。
またパーツ、アクセサリー込みで加入できますし、中古品でも対象になります。
【ちゃりぽ:自転車盗難保険】
購入金額5,000円以上の自転車であればスポーツサイクルに限らず加入ができ、50万円までであれば後付けのパーツ込みで補償金額を設定することができます。
加入料は自転車購入金額によって違いますが、1年満期ですとおおむね購入金額の7%になりますので、平均的な設定と言えます。
自転車保険に加入していても補償が適用されない場合
ご紹介した自転車の盗難保険は一部ではありますが、補償内容が充実していますので、安心を買うという意味でも加入をおすすめできます。
ただし、自転車が盗難された際の状況によっては、補償の適用外になることがあります。
●カギをかけていなかった場合
1か所以上施錠されていた状況で盗難された場合を補償の対象としている保険が多いため、無施錠状態での盗難は対象外になる可能性が高いです。
●自転車放置禁止区域に駐輪していた自転車の盗難
違反を犯している自転車は補償対象にならないという意味でしょう。
●盗難届を出していない場合
保険会社が盗難や事故の状況を正確に把握することができませんので、警察に届け出がされていない場合は補償対象外になります。
●防犯登録がされていない自転車の盗難
自転車購入時に必要となる防犯登録がされていない自転車も対象外になることがあります.
防犯登録は補償対象となる自転車が保険加入者本人のものであるかどうかを判断する材料ですから、保険会社にとっては必ず必要なものです。
一般的な自転車保険も見直す
ここまで自転車の盗難保険についてお伝えしてきましたが、一般的な自転車保険についても確認しておきましょう。
冒頭でも少し触れましたが、自転車保険は事故などで相手方にけがなどをさせてしまった場合の個人賠償責任保険が主であり、自治体によっては加入を義務付けているところもあります。
その他に自分がけがをした際の傷害補償をしてくれる保険もありますし、自転車が動かくなったときに決まった距離内であれば運搬をしてくれるロードサービスや、相手方との示談交渉を代行してくれるサービスなどが付帯するものもあります。
ただし個人賠償責任や傷害補償は、自転車専門ではない火災保険や傷害保険にも付帯しているため、それらの保険に入つていれば賄える可能性があります。
また、火災保険などでは万が一自宅で保管している自転車が盗難にあった際に家財道具とみなされ、補償の対象になる可能性もあります。
その辺りは自分が加入されている保険の補償内容を確認する必要がありますが、いずれにせよ自転車事故により1億円近い賠償責任に問われた例もありますので、最低でも個人賠償責任には何らかの形で加入しておくのが賢明です。
自転車も財産であると考えれば保険料も高いとは感じないはず!
自転車の盗難は窃盗の中でも最も多く発生しており、特にスポーツバイクは施錠していても盗まれてしまうケースが大半です。
そのため防犯対策は必須ですが、盗難された後のことも考えねばならず、盗難保険への加入も視野に入れておきましょう。
特にロードバイクなどのスポーツサイクルは財産とも言えるようなものですから、安心を買う意味でも年間1~2万円前後の掛け金であるならば一考の価値はあるのではないでしょうか。