スポーツ自転車では車道を走るべき?危ない?

自転車は原則車道を走行するよう定められています。とはいえ、気持ち的なものがまだまだ追いついていないと言いますか、周知徹底されていないと言いますか。わかってはいるけど怖いから歩道を走るという方もいると思います。また、その時の立場によっても考え方が違いますよね。自分が車を運転していたら、歩行者だったら、自転車に乗る本人だったら。今回はそんなお話です。

自転車は車道を走行するもの

自転車は車道通行が原則です。これは自転車における道路交通法で定められていることです。ただし、条件によって歩道を通行できる場合もあります。まとめておきますと、
・自転車は「車両」と位置付けられていますので、歩道と車道の区別があることろでは車道を走ることが原則です。違反すると罰則として3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金となります。
・例外として、次の場合は歩道を走行することもできます。
(1)道路標識や道路標示で指定された場合
(2)運転者が13歳未満の子ども、70歳以上の高齢者、 身体の不自由な方の場合
(3)車道や交通の状況からみてもやむを得ない場合
最後の条件が非常に曖昧で難しい判断と言えます。個々の判断には開きがあり、ルールを知っている方でもこの条件によって周りの人との意識の差が出てしまうでしょう。
歴史的に見ても、もともとは車道を走行するべき→歩道を走行しましょう→原則は車道での走行です、という変化があったので、世代によっても最新のルールをなかなか認識できていない、という状態であるかもしれません。

自転車の車道走行は危ない、と感じる時①

道路は公共の場所であるので、譲り合いの気持ちやマナーが非常に大切になってきます。自転車側からすれば車に乗る人のマナー、車に乗る人からすれば自転車に乗る人のマナーが気になってしまうものです。
車の方のマナーとすれば、走行する自転車に向かってクラクションを鳴らしたり、わざととしか思えないような幅寄せをする人もいるようです。明らかに車の方が強者なのですから同じ車道を走行するものとして配慮が必要です。また、運転している車だけでなく、駐車禁止区域であるにも関わらず「少しの時間だから」などと駐車してしまう方もいるようです。これは自転車が走行するためだけでなく、大変迷惑なことです。路上に駐車する車のドアの開閉で事故を招いてしまうこともあります。駐車が許された区域でも周囲に配慮することを忘れないようにしましょう。

自転車の車道走行は危ない、と感じる時②

そして、自転車側のマナーです。違反行為にも繋がることですが、ヘッドフォンを装着し周囲の音が聞こえないほどの音量で音楽を聴きながら走行したりしていませんか。スマホなどを操作しながらの運転もいけません。友人と一緒でついついおしゃべりしながら並んで走る、これもだめです。また、車道の走行で逆走していたりしませんか。飲酒運転ももちろんだめです。ルールが徹底されていないと感じるのは飲酒運転についてです。「お酒を飲むから、車を置いて自転車で来た」これも違反なのです。罰則も重く、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。自転車も車両の一部なのです。
こういった自転車に乗る側の違反で事故になってしまったら、車に乗っている人にとっては本当に困ったことです。互いの立場になって、しっかりマナー・ルールを守りましょう。

自転車の歩道走行こそ危ない!

次に歩道での走行について考えてみましょう。自転車の危険性を考えれば、歩道の途切れたところから車が出てくる時に事故に遭ってしまう(車が横から出てくる出会い頭の事故)危険性がまず挙げられます。歩道走っている自転車は車からは認識しづらいのです。また、交差点に入った時、左折車に巻き込まれる可能性が高い。これも歩道から高速で車道に出てくる自転車を車が認識しづらいことから起きます。車側にしても、車道を走行する自転車が気になるところではありますが、歩行者のみの通行だと思っている歩道から高速で自転車が飛び出してくると、認識・判断・行動が遅れてしまいます。自分の身を守るためにも車道での走行を心掛けたほうがいいでしょう。また、歩道での走行から車道に出る時には最新の注意をはらいましょう。

自転車が責任を問われる事故①

自転車の事故はどんなものがあるのでしょうか。事故で自転車が責任を問われたものをいくつか挙げてみます。
まず、前方不注意で起きた事故。–自転車に乗っていた男性が、犬の散歩をしていた男性に衝突、散歩中の男性は頭の骨を折る重傷を負った、という事故。自転車を運転していた男性の前方不注視による事故であることから「重過失傷害」の容疑で現行犯逮捕され送検されてしまいました。
そしてこちらも前方不注意になるのでしょう。–スポーツ自転車に乗った男性は、前屈みになって歩道を運転していたため直前しか見えず、対面歩行中の女性に気付くのが遅れて衝突、女性が転倒し頭を打ち死亡した事故。自転車を運転していた男性は、重過失傷害容疑で現行犯逮捕され、女性が死亡したため「重過失致死罪」で送致されました。
なんとも痛ましい事故です。歩道には自転車より弱者の歩行者が通行しています。当たり前ですが車道より狭いので、自転車がそれなりのスピードで走行していたら、区分なくそこを歩行している人にとっては恐怖と危険が、すぐ近くまで迫っていることになるのです。ルールを守った上で、マナーが必要になってきます。心掛けましょう。

自転車が責任を問われる事故②

また、車のように免許制でないことからくる油断、マナーの悪さが引き起こす事故もあります。信号無視で死亡事故誘発。–国道交差点で、赤信号で横断してきた男性が乗る自転車を避けようとしたトラックが道路脇の建物に衝突し、運転者が死亡した交通事故。この交通事故で、赤信号を無視した自転車を運転していた男は「重過失致死罪」で取り調べを受け書類送致されました。裁判では実刑判決を受ける事にもなりました。
そして、あろうことか、飲酒運転での事故。–自転車通行可の歩道を飲酒して自転車を運転していた男性が、歩道を歩いていた小学生二人に衝突して負傷させてしまった交通事故。自転車は酒酔い状態であったことから「重過失傷害と道交法違反(酒酔い)」の疑いで現行犯逮捕されました。
自転車は「車両扱い」なのです。その乗り物は乗り方次第で凶器になってしまうことを自覚するべきですね。

まとめ、自転車で車道を安全に走行しよう

最後に、自転車で車道を走行する際の安全な走り方について具体的にお話ししておきたいと思います。
車道と言っても自転車が走行するのは白線の右側と考えましょう。白線のおよそ50センチ~1メートルほど右側を目安に走行すると良いのではないでしょうか。自分の左側に多少余裕がありますと、自動車が迫ってきた時に避けることが出来ます。また、白線の左側は路側帯となりますが、砂利やゴミが集まりやすいので悪路になりやすく走りにくいことが多いのです。パンクしてしまうリスクも高まります。白線の50センチ~1メートル右側をキープしておきましょう。
事故の危険性なども話しましたが、せっかくのサイクルライフ、楽しく自転車に乗りたいですよね。譲り合いの気持ちでマナーとルールを守って気持ちよく走りましょう。