こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
台湾メーカーと言えば、ジャイアントを思い浮かべる人も多いですが、最近話題なのがメリダ。
ジャイアントに次ぐ台湾No.2メーカーです。
ジャイアント同様コストパフォーマンスの良さが人気を呼んでいます。
「ジャイアントだとみんな乗ってるからなぁ」というのも、ひとつの理由でしょう。
今回は、そんなメリダのロードバイクの評判と実力をみていきましょう。
OEMでのし上がったロードバイク!メリダ!①
「なに?台湾メーカーは安いの?」
そうですね、メリダ(MERIDA)などコストパフォーマンスは良い傾向・評判であると思います。
安いよ、と断言してしまうと誤解を招くこともありますが、総じてコストパフォーマンスには、優れている車体が多いでしょう。
簡単にロードバイクメーカーの時代の流れとしましては、まずはヨーロッパから始まります。
クロモリ(鉄)の時代ですね。
今あるメーカーで、一番古いのはビアンキですね。
1800年代の創業、すごいですね。
しばらく、クロモリの時代です。
それから、1900年後半に、アメリカでマウンテンバイクが出てきます。
「山で走るために頑丈で、軽くて硬いやつが欲しい」
そんなわけで、アルミニウムを加工していきます。
『大径肉薄』直径を太くして薄くすることで、アルミニウムは頑丈で軽くて硬い、素晴らしい!となっていくわけです。
これを、そのままロードバイクにも使ってきて、1990年代からアルミニウムが活躍し始めます。
実は、アルミニウムと同時期にカーボンも走り始めるのですが、活躍するようになったのはアルミの後ですね。
そうこうしていると、気付いた頃には、台湾メーカーが現れていたのです。
OEMでのし上がったロードバイク!メリダ!②
「え、台湾メーカー、一体どこから現れた?!」
実は、台湾メーカーは1970年代からあります。
当初は、OEM生産のみでした。
OEMというのは、人件費の安い国の会社に設計図と作り方、技術指導などして、そこの工場で製品を造らせて仕入れるというやり方です。
このOEM、作る側も依頼する側もホクホクに見えるのですが、作る側がどんどんレベルアップしていきます。
気付くと同じくらいの技術力、いえ、それ以上の技術力を手に入れてくるわけです。
しかも、人件費は安いわけです。
ここからさらに、ブランド力・マーケティングなどの知識が加わると、もう立場逆転しちゃうわけです。
そんなわけで、昔からある中小のロードバイクブランドを押しのけるかのごとく、OEM専門から台湾2大メーカーとして伸びてきたのが、ジャイアントとメリダです。
この2つのメーカーが、どんどん強くなったのは、安い人件費という背景もありますが、考えが柔軟でした。
通常のメーカーでは、伝統などもあります。
台湾メーカーには、歴史も伝統もなく、ただ良い技術を手に入れて売れる良い自転車を作り、大きいメーカーになろうという向上心だけです。
様々なメーカーから技術を吸収して、着々と世界のロードバイク業界の中で『世界の自転車工場・台湾』という、新しい立ち位置を確立しました。
特に、カーボンのロードバイクの技術については、もはや世界中で台湾ほど安く、しかも安定した上質な製品を作れる場所はありません。
カーボンの技術は、専門の工場設備とノウハウ・技術の蓄積が必要です。
ですから、世界中のメーカーの製品をOEMで作ってきた台湾の工場が、一番巨大で強いものになっていったわけです。
MADE IN TAIWANは、良い製品であるというイメージも、今では定着しつつあります。
メリダのロードバイクの評判と実力①
「で、具体的にはどうなの? 何が凄くて評判なの?」
メリダの凄さは、『スクルトゥーラ(SCULTURA)』が分かりやすいでしょう。
スクルトゥーラは、軽量ロードバイクです。
その重量たるや4.56kg。
その少し前に、TREKが世界最軽量をうたって出した『Emonda SLR』が4.65kg。
TREKといえば、技術力の高いメーカーとして知られています。
もちろん、軽さだけで自転車を語ってはいけませんが、TREKを越えることをするっていうのは凄いことです。
しかも、凄いのが値段ですね。
2016年現在の価格にして、TREKの『Emonda SLR』は、フレームセット価格 約60万円に対して、『スクルトゥーラ 9000』は、フレームセット価格 約33万円。
これは凄いです。
ただ、私個人の正直な感想としては、マーケティングとして少々下手な価格設定じゃないかな、と思ってしまいます。
それだけの超軽量ロードバイクなら、40~50万円くらいでも十分に売れるでしょう。
安すぎる値段設定をすることで、『安物メーカー』の汚名を浴びてしまったメーカーがジャイアントです。
イメージというのは、一度付いてしまうと、どうしようも拭い去れません。
ジャイアントも苦労して、最近ちょっとずつ『安物メーカー』という評判から脱出しつつあります。
そう、もはや安過ぎて、まずいんじゃないかというレベルの価格です。
マクドナルドのハンバーガーが80円だった頃みたいです。
メリダのロードバイクの評判と実力②
同様に『スクルトゥーラ TEAM』、これはひとつ下のグレードですが、プロが使っているのはこちらのモデル。
UCI規定の6.8kgを想定したフレームですね。
こちらはフレームセット価格 269,000円(税抜)です。
もはや驚異的です。
完成車プライスは 83万円。
「え? 83万円って高いじゃん?」
付いてるパーツが凄いです。
レーゼロカーボン(約27万円)、RORTORクランク(4万円弱)+デュラエース(15万円弱)というアッセンブル。
ハンドル・シートポストも『FSA K-FORCE』とフルカーボンのもの(2つで約6万円)が入っていますし、タイヤも『コンチネンタルGP4000S』と高級タイヤが入っています。
アルミモデルのスクルトゥーラ 400も約14万円で105アッセンブル。
アルミと言えど105仕様で、税込にして15万円。
2016年モデルに関して言えば、もはや価格破壊と言ってもいいほどの、コストパフォーマンスをメリダは発揮しています。
メリダのロードバイクの評判と実力③
「どうしてそんなに安いのに、あんまりメリダに乗っている人がいないの?」
単純に、まだ日本で本格的に販売し始めてからの期間が短いんですね。
OEMメーカーとして、長いこと頑張って、その後も低価格帯のモデルに関しては、MERIDAブランドでもいくらかやっていたようです。
高価格帯の本格的な展開に関しては、本当にここ数年のことです。
仮に、良い商品を安く多く安定して作れても、ブランドイメージが全くないと、「得体のしれない安くてものが良い台湾メーカー」と思われてしまって、失敗する可能性がありますからね。
特に、高価格帯のロードバイクを売ろうと思ったら、ブランドイメージは大事です。
ロードバイクに関しては、ツール・ド・フランスなどのビッグレースへの参戦も2013年頃からですから、
「何だ?メリダって何だ?台湾?ジャイアントは知ってるけど、メリダって誰だ?!」
ってなりますよね。
そういうわけでして、まだ評判も分からず、みんな様子見といった状態でしょうか。
「おい、誰か買えよ、そして感想を教えてくれよ」
と言った具合でしょうか。
当然ですが、ツールも走っていますし、元がOEMメーカーですから、技術力は間違いないんです。
かの有名なSPECIALIZED(スペシャライズド)や、ちょっとマニア受けするヨーロッパ車・カレラなんかは、メリダ工場での生産と言われてた記憶があります。
新城幸也選手がメリダに!
でも、ロードバイクって値段と性能だけじゃないんです。
仮にですよ。
物凄くよく走って、安いロードバイクで「ふくだ」っていうメーカーが出てきたとします。
ただ、これが物凄くかっこ悪い文字で、大きくFU・Ku☆dA(ふくだ)って書いてるとします。
もう、誰も買いたくないですよね。
乗ってるのは、僕だけでしょう。
じゃあ、もう少しかっこいいデザインになったらどうかというと、それもやはり微妙なんです。
なにせロードバイクって、形自体は、さほど違いはないです。
何色で、どんな字体で、ロゴが書いてるかっていうくらいの違いなんです。
吉本隆明先生じゃないですが、共同幻想なんです。
みんなが良いと認めているというのが、とても大事なんです。
メリダがあと一歩日本で広まりそうで、あともう少しっていうのは、その辺りです。
共同幻想が育ちきっていないわけです。
しかし、今季は新城幸也選手がランプレ・メリダに入りました。
日本人選手で世界のロードレースで、第一線で戦っているのは、新城選手・別府選手の2人くらいです。
すごいんです。
新城選手がいるだけで、頑張れメリダ!
別府選手がいるだけで、頑張れトレック!
そういうもんです。
そりゃ、日本人選手が本場ヨーロッパのレースで活躍したら、僕ら日本人は嬉しいですよ。
感動しますよ。
そんなわけで、ぐぐっと日本国内で評判になり、メリダ人気も広まるかもしれません。
まとめ「OEM出身メーカーのロードバイクは強い」
メリダを見てきました。
どうだったでしょう。
欲しくなったでしょう。
その他のメーカーの評価についてまとめてあるものはこちらです⇒「【必見】人気のロードバイクメーカー12社をプロが徹底評価」
メリダの各モデルについて詳しく知りたい人は、こちらの記事もどうぞ⇒「MERIDA(メリダ)のロードバイク、各モデルのインプレ!」
今回は、数字が分かりやすいので、軽量バイク・スクルトゥーラで比較しましたが、エアロバイク・リアクトも非常に評価が高い車種です。
メリダにせよジャイアントにせよ、やはりOEM出身のメーカーは強いです。
今がちょうど、メリダとしては良いイメージを作りたい時期・頑張っている時期でしょうから、もしかすると今こそ、メリダをお得に買える時期かもしれませんね。