こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
bb30aってご存知ですか。
書き間違いでaが多いんじゃありません。
bb30aなんです。
キャノンデールの新しいbb規格ですね。
最初、2014年シナプスで登場した頃は大丈夫か?という声も少なくなかったですが、2016ラインナップで登場したCAAD12、NEW スーパーシックス・エボ・ハイモッドにも搭載されたことで、新規格として流通できそうな雰囲気を漂わせつつ、危険なニオイもまだ残しつつ。
キャノンデールらしいと言えばそうですが。
今回はその話をしてみます。
bb30aにはシマノのクランクは入る
ざっくり結論から話しますと、2016年現在はbb30aもシマノクランクが付けられるように、アダプタがFSAから出ています。
「bb?アダプタ?」
分からない人も大丈夫、ゆっくり話していきます。
ただ、文字数の都合上、「bbって何?」という説明は省略します。
さて、bb新規格。
bbの規格の話というのは、何だか複雑なイメージがありますが。簡単に言えば、シマノはクランクシャフトの軸の太さが24mmです。
それに対して、キャノンデールは高剛性・軽量を目指して30mmという太いクランクシャフトを出しました。
そのために現れた規格がbb30です。
要はクランクシャフトが太いっていうだけの話です。
「PF30」「bb386」「bb right」などいろいろ聞きますが、基本的にはbb30の改良版というイメージで結構です。
これらを総称してbb30系と呼びます。
それぞれ使える専用クランクが違います。
互換性のあるものもありますが、ないものもあります。
シマノのクランクについては、アダプターをかませれば使えるというものが多いですね。
アダプターをかませるぶん、重くなってしまいますが、やはりシマノコンポーネントはシマノ同士が変速性能などを含めて、最も相性が良いですから使う人が多いです。
カンパはbb30用のクランクをラインナップしていますね。
これに対してシマノクランク系は現在、PF86(メーカーカタログではシマノプレスフィットbbなどと書かれることが多いですが)が主流です。
例外として、TREK(トレック)だけbb90を採用しています。
こちらは天下の大コンポーネントメーカーシマノ先生に追随する規格ですので、当然、シマノのクランクはもちろん使えます。
ただし、bb30系のクランクは一切使えません。
細い穴に太い棒は挿せませんからね。
そう、難しそうに見えますが、基本的にはシマノ対bb30系という構図だけ理解していれば大丈夫です。
bb30aのメリットは?デメリットは?①
「シマノなどと、どうしてそんなケンカするの?」
僕もそう思います。
でも、キャノンデールとは、いつでも新しいものを世に提示し続けないと気が済まないメーカーなんです。
レフティやサイクルトレーラーを開発したのもキャノンデールです。
bb30aのメリットは、bb30のメリットを理解できれば分かると思います。
bb30のメリットはまず、大ざっぱに言えば大径肉薄の正義ですね。
太く薄く!
太いと薄いというのは逆のように思えるかもしれませんが、基本的に筒状の構造物は太くしてやると頑丈になり、そのぶん薄くできます。
昔のクロモリロードと、今のカーボンロードの形の違いはそういうことです。
それから、bbを軽くしたいならシールドベアリングを裸で、フレームに打ち込めばいいということですね。
そして、bbを有利にするポイントとしてフレームの幅の広さがあります。
これはbb30じゃなく、bb386やPF86の特徴です。
太さじゃなくてフレームの横幅を広げてやれば、ぺダリングの力をしっかり受け止めれるようになるだろうっていう考えですね。
上記3点を全て実現しているbb386が、今のところ最も前衛的なbb-クランクシステムだと言っても良いかもしれません。
bb386クランクは、bb30系のフレーム-bbに広い互換性を持っているということも、メリットのひとつです。
bb30aのメリットは?デメリットは?②
そういう中で、キャノンデールが打ち出してきたのがbb30a。
bb30より5mmだけフレームの横幅を広くして、73mmとしたのがbb30aですね。
正直、bb386が86mm幅で、今さら73mmってどうなの?
という疑問もありますが、これにも理由があります。
大径肉薄、フレームの横幅を広げるということは諸刃の剣なんですね。
いずれも異音がしやすい、フレームに負荷をかけるという問題があります。
剛性を上げて、ぺダリングパワーの伝達効率を上げる。
それは、つまりフレームが受ける力を増やすということでもあります。
bbの大径化の一番の問題は、ベアリングの大径化でした。
クランクシャフトを大径化することは、フレームにより高い精度を求めます。
しかし、世界有数の自転車ベアリングシステムメーカーのシマノは、ついていきませんでした。
これは、一般的に大径化のメリットとデメリットに関して、シマノはデメリットが大きいと考えたという風に言われます。
ただ、表向きの話であって、新規格への移り変わりのデメリットはコンポーネントメーカー・シマノにとって、ユーザーが付いてきてくれれば大きいビジネスチャンスでしたが、ついて来てくれなければ微妙な話だったということもあります。
実際、大径化したbb30系では、フレームとベアリングから鳴る異音の問題が切っても切れない問題となりました。
フレームの横幅を広げるという問題も、やはりフレームへかかる力が大きいという問題があります。
ただ、今のところ大きな問題とはなっていないようですが。
それでも、フレームメーカー側の立場としては、フレームの横幅を広げるということは、フレームの制作精度を上げなければいけないという重大な問題でもあります。
10m離れた的に向けて銃を撃つのと、30m離れた的に銃を撃つのでは、当然ながら30m離れた的に当てる方が難しいですよね。
距離が離れれば、ちょっとしたズレが大きいズレとなってしまいます。
技術的に可能かどうかは別として、コストはかかります。
不良品の数が増えたり、ロボットの制作速度を下げて、精度を優先させなければいけないといったことですね。
簡単に言えば、大径にして幅を広げればいいと言うなら、いくらでも大径化、幅の拡大というのはキリがありません。
メリットとデメリットの最適値を取るというのが、各メーカーの目的です。
bb30aで使えるクランクは?シマノは?
そういったバランスを考慮した上で、bb30の生みの親・キャノンデールが世に発表したのがbb30aです。
正直なところ、自転車関連の仕事をしている人間としては、そろそろPF86辺りで各メーカー落ち着いて欲しいところですが、前進し続けなければ勝利はないので、なかなかそうもいかないようです。
はて、そういうbb30a。
話の流れを聞けば、なるほど、すごい規格だなというメリット面は分かるかと思います。
しかし、デメリットとしては、新規格は使えるパーツが少ないという点です。
bb386クランクと専用bb30Aクランクの2種類しか、そのまま使えないのですね。
しかし、さすがにキャノンデールが有力メインラインナップに加えてきたとあって、現在ではシマノのクランクを使えるようにするアダプターが出ています。
3大コンポーネントメーカーでは、シマノ以外のカンパ、SRAMはすでにbb386用のクランクを出していたので、当然使えます。
これで3大メーカーのクランクは、全て使えることになりました。
そうはいっても、シマノを使う場合はアダプターが必要です。
いずれの規格でも共通していえるのですが、アダプターをかませるということは、本来の設計からずれた使い方になりますので、本来想定していたフルパワーはいくらか発揮できなくなります。
ただ、実用の中では誤差といえる範囲と考えれば、さほど気にしなくても良いかもしれません。
それでも、ベストはせめてbb386クランク、30ミリの太いクランクに対応しているフレームの場合、そちらを使った方が効率は良いというのが理論上の話です。
どうしてみんなシマノのクランクを?①
bb30aをキャノンデールが世に発表しましたが、それにしても、メリットのある30mmアクスルの太いクランクを採用しないシマノを、どうしてみんな使いたがるのでしょう?
まずコストパフォーマンスの良さです。
シマノのコンポーネントは他社メーカーと比べて、圧倒的に価格が低いです。
同じグレード、性能ならば、圧倒的にシマノが良い、と。
何よりもチェーンやワイヤーなどの消耗品のランニングコストが非常に良いのです。
カンパニョーロは公式には、シマノのデュラエースは自社の3番目のグレード・コーラスと同等だと言います。
(カンパはスーパーレコード、レコード、コーラスですからね)
しかし、そのコーラスでもシマノとトントンくらいの値段。
それでいて消耗品の価格は高いですし、「本当にデュラエース=コーラスなの?」という疑問の声もあります。
SRAMの最高峰RED22は、当然デュラエースよりも高価です。
消耗品についてはシマノと互換性を持っているので、その点ではカンパよりランニングコストとしては優れています。
実際には3大コンポメーカーの優劣は、ひと口には語れません。
性能と言っても、軽さであれば圧倒的にSRAMが有利です。
カンパのスーパーレコードはもはや最高級ではなく、超級グレードとさえ呼ばれます。
シマノのデュラエースは、かっちりしたシフトチェンジなど世界最高の呼び声も高いです。
どうしてみんなシマノのクランクを?②
bb30aなどが発売されても、総じてコストパフォーマンスはシマノが有利です。
シマノの変速機を使うのであれば、シマノのクランクを使うのが一番間違いないのです。
もちろん、クランク単体を見ても、シマノのコストパフォーマンスは優れています。
アルミの冷間鍛造という強みをシマノは持っていますからね。
カーボンは置いておくとしても、アルミに関してはシマノの強さは頭ひとつ出ています。
冷間鍛造の特徴は、部品を安く高精度で大量生産できます。
逆を言えば、コンポもフルカーボンが圧倒的に良いという時代になれば、シマノが不利になる可能性も決してゼロではありませんが、当面、その心配はなさそうです。
ですから、みんなシマノのクランクを使いたいのですね。
bb30a、実際乗ってみてどうなの?
シマノのクランクを褒めてきましたが「bb30aって実際に乗ってみると、やっぱりすごくいいの?」
正直僕には分かりません(笑)
というのも、bb30とbb30aを比較しやすいのは、CAAD10とCAAD12の2車種を乗り比べるということなのですが。
乗り味のコンセプトがいくらか変わっていますので、比較が難しいのです。
個人的にはCAAD10の方が好きでした。
とがっています。
ああ、キャノンデールのアルミだ、と感じられます。
一方のCAAD12は、非常に乗りやすくなっています。
これはメリットでもあるのですが、個人的にはキャノンデールのアルミに求めているのは、乗りやすさより鋭さですので、個人的にはCAAD10が好きでした。
ただし、好みの問題です。
初心者にどちらを勧めるかと聞かれれば、間違いなくCAAD12でしょう。
とにかく安定感があります。
ただ、この性能差はbbの差というより、フレームの差でしょうから、一概にbb30aってどうなの?
と聞かれると困ってしまいます。
でも、そのフレームの差は、bb30aだからこそ作れるフレームだと言われると、なるほどという気もします。
スーパーシックスに関しても、安定感が増して乗りやすくなっています。
やはりbbシェル幅を広げることは、乗り味の安定感の向上に貢献していると考えて良さそうです。
bb30の産みの親の答えが「bb30a」
bb386がすでに出ている中で、自社のラインナップのフレームを一式変えてまで採用したbb30a、やはり深い信念があってのことでしょう。
新規格は、その後の他メーカーの動向が非常に重要な要素になるので、まだ現段階での判断は難しいところもあります。
しかし、今はもうシマノクランクが使えるアダプターもありますし、キャノンデール好きなら、ぜひ試してみたいシステムじゃないでしょうか。
仮に他メーカーが付いてこなくても、上手くいく場合もあります。
実際、TREKのbb90は独自規格でも長く続いていますし、定評もありますからね。