こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
自転車のペダルが外れないので、助けて欲しいというお願いをされました。
でも、自転車の修理やトラブルのお願いで、一番困るのが「ネジが外れない」なんですよね。
今回は外れないペダル、ネジなんかのお話をしていこうと思います。
外れないペダルにはラスペネ!!①
一番最初に言っときます。
絶対にネジを逆回ししないでください。
特に、ペダルのネジは左右で逆になっています。
重々気を付けてください。
自転車のペダルが外れないという場合には、道具を準備します。
・柄の長いペダルレンチ
・プラスチックハンマー
・ラスペネ
この3つです。
「え?ラスペネって何?ハンマー?!壊しちゃうの?」
いえ、壊しませんよ。
壊したら、本末転倒ですからね。
ラスペネというのは、WAKO’S(ワコーズ)というメーカー、フルネームで言うと株式会社和光ケミカルという会社の製品です。
ネジなんかの間への浸透力が強く、金属の固着を緩めてくれる優れものです。
業務用とミニがありますが、結構便利な製品なので、業務用の定価で2,000円程のものを持っていると、何かと困った時に助かることがあります。
販売用の在庫として置いている自転車屋さんは少ないかもしれませんが、「少し時間が掛かっても良いので取り寄せて欲しい」と言ったら、だいたい取り寄せてくれると思います。
基本的には、自転車屋さんはワコーズを使うところが多いです。
自転車屋さんに限らず、自動車の整備工場でもワコーズを使うところが多いですね。
ワコーズは値段はちょっと高いのですが、品質の良い製品が多く、ワコーズを使っておけば、とりあえず問題ないとまで言われます。
個人的には、チェーンのルブリンカント(オイル)がオススメです。
スプレー式なので楽ですし、埃も付きにくいですし、持続性も良いです。
パーツクリーナーのスーパージャンボも良いです。
基本的に、どれも良いです。
ちょっと高いですけど。
外れないペダルにはラスペネ!!②
さて、それではペダルのネジにラスペネを吹きましょう。
業務用ラスペネは、一点に向かってドピュッと出ます。
ミニの方は、割とスプレーっぽく出ます。
この出方の違いがポイントです。
個人的には、業務用の方が使い勝手が良いです。
ラスペネが、中に浸透してくれるのを待ちます。
軽く、コンコン叩いたほうが浸透してくれると、昔からみんな言います。
本当かどうか分かりませんが、僕も軽くコンコンします。
あとは、柄の長いペダルレンチでエイッと回します。
だいたいは、これで解決です。
解決しない場合には諦めるか、助っ人を呼びましょう。
ペダルレンチがずれないように持ってもらい、ペダルレンチの柄を足で踏みます。
これで、ほぼ解決です。
これでも回らない場合、ペダルレンチの柄をプラスチックハンマーで叩きます。
硬いネジを外すときにはインパクト、衝撃が効果的です。
プラスチックハンマーで叩いて、脚で踏んで、またラスペネ吹いて。
これで駄目なら、諦めてください。
諦められないときは、柄をさらに長く延長するための筒を使います。
ちゃんとそういう筒が、工具として売られています。
まあ、専用のものじゃなくても、柄が長くなって強いトルクを掛けられるものなら、何でも大丈夫です。
専用のものは、パークツールなんて文字が入っているとウキウキできます。
自転車の外れない部品には無理をしない
ただ、一般の人はそういう無理はしないほうが良いと思います。
自転車屋さんにお願いするのが一番です。
僕も、基本的に無理はしません。
ラスペネで駄目で、これ以上は危険だと感じたら、自転車屋さんにお願いします。
自転車屋さんは、お金さえ払って、きちんとお願いすれば、自転車の無事をある程度保証してくれながら、結構無理な作業でもしてくれます。
専用工具と経験の力です。
具体的に、経験の力とは何なのかと言いますと。
壊れる前兆が分かるかどうかです。
壊した経験が多い自転車屋さんの方が、そういう意味では上手いです。
矛盾しているように聞こえるかもしれませんが。
壊れる可能性が高いときには、「壊すつもりで作業しても良いなら、お受けします」という感じで、言ってもらえる場合が多いです。
だいたいは、壊さず何とかしてくれます。
でも、時々、本当に壊れます(笑)
「やばい、これ以上力を掛けるとネジが飛ぶ」
という感覚は、どうしても経験でしか身に付けられません。
どうして外れない自転車の部品があるの?①
それにしても、どうして自転車のネジは、そんな風に固着してしまうことがあるんでしょうか?
実際には、自転車でも、それ以外のものでもネジの固着の問題はあります。
どんな製品のメカニックでも、ネジの固着は一番怖いです。
ネジの固着の原因は、いくつかあります。
・ネジにグリスが塗っていない
・オーバートルク
・早締めによる熱膨張
・雨などによる腐食
・定期的なメンテナンスをしていないため、腐食してしまっている
・元々の製品不良
だいたい、このあたりじゃないでしょうか。
組み付け段階でのミスか、経年劣化に対して、メンテナンスをしていないかです。
どうして外れない自転車の部品があるの?②
ホームセンターやスポーツ用品量販店など、自転車の専門知識がないところで買うと、組み付けのミスが、たまに起こります。
あとは、昔堅気の自転車メカニックは、やたらと強く締め付けることが多いです。
ママチャリ屋さんも、時々します。
今でこそ、自転車屋さんでも、ある程度専門的なところであれば、必ずトルクレンチは持っています。
しかし、ひと昔前は「自転車の整備くらいにトルクレンチまで必要ない」というところも、少なからずありました。
自転車に限らず、トルクレンチは高価ですので、ひと昔前は軽視するところもあったようです。
ですが、カーボンなどの軽量素材が増えて変わりましたね。
ネジは、締め付けが足りないと外れます。
ですから、みんな強く締め付けたいと思うのです。
実際、締め付けが弱いか強いかだと、大きな問題に直結するのは、弱くてネジが外れた場合です。
しかし、基本的には成人男性の力でグイグイ締め付けなくとも、軽くぎゅっと締める程度で、だいたいは規定トルクに十分届いている場合が多いです。
ただ、やはりイメージの力とは怖いもので、みんなグイグイ締めたくなるみたいです。
どうして外れない自転車の部品があるの?③
グリスを塗らないと、金属同士が化学反応を起こして、固着してしまいます。
グリスは摩擦を滑らかにするという効果もありますが、膜を作って金属同士の固着を防いでくれたり、空気との接触を減らし、サビを防いでくれます。
これは、きちんとしたメカニックであれば当然のことですが、やはりホームセンターのアルバイトのおにいさんだと、知らない人もいるようです。
あるいは、知っていても、「そんなに簡単に固着しないでしょ」と、タカをくくっている場合もあります。
一般の人が自分で買ったペダルを、グリスも塗らずに、そのまま力いっぱい締めてしまうという場合もあります。
あとは、知識を持たずにペダルを外そうとして、逆に回してどんどん締めてしまって、手に負えなくなるということも、少なからずあります。
本当に気を付けてください。
最近は、ほとんどないですが、ネジ山の方が元々駄目なのを、無理やりはめているということもあります。
安いものでも、ある程度の精度でネジを切ってくれているものが多いので、滅多にないですが。
ペダルひとつのせいで数万円
さて、ラスペネ先生が頑張ってくれて、上手くペダルが外せれば万々歳です。
しかし、どうにも外れないこともあります。
ボルトのかかりの方が負けてしまって、どうにもならなくなったり、ネジ山が一緒に飛んでしまったりすることもあります。
こうなると、終了です。
でも、自転車がまるごと駄目になるということではありません。
駄目になったのは、ペダルとクランクだけです。
クランクと言うと、ペダルが刺さっているほうの棒ですね。
ただ、このクランクが、地味に結構値段が高い部品なんです。
1万円以上することもあります。
自分で交換するのは難しいという人は、自転車屋さんにお願いして交換してもらうことになります。
そうなると工賃も掛かるので、1万円以上、ロードバイクのクランクの場合、もう少しお値段が掛かることもあります。
まとめ『外れないネジは無理しない』
ネジについては、本当に厄介な問題です。
結構、彼らは繊細です。
特に自転車の場合、六角のネジが多いですが、4mmや3mmといった、小さい頭のネジはちょっとした力の入れ加減でナメてしまいます。
ナメると、救出できない場合も多いです。
頭はナメやすい上に根元はネジ山が飛ぶことがあったり、折れたり、完全にくっついてしまうことがあったり。
本当に繊細です。
ネジ関係のトラブルは深追いせずに、早めに自転車屋さんにお願いするのがオススメです。