自転車のパーツで重要なものの一つにペダルがあります。私たちの身体と自転車が触れている部分でもありますので、乗っている自転車がどんな状態であるかを感じるにも大変重要です。そんなペダルから異音が聞こえてきたら。これは自転車からのSOSと感じていいでしょう。どこの部分が悲鳴をあげているのでしょう。
自転車のペダルから異音がしたことありますか?
自転車で走行中にペダルから異音を聞いたことがある人は多いと思います。
自転車の構造上、乗り手と自転車との接点はハンドル、サドル、ペダルの3ヶ所のみなので自転車の異常はこれら部分を通じて乗り手に伝わります。特に車体の端部に位置し、負荷もかかるペダルには異常が増幅して伝わることが多いです。自転車とは非常に多くの部品で構成されているので、個々の部品は正常でも組付けの状態によっては異音・振動を感じることがあり、原因を即座に特定することは難しいです。ペダル近辺に異音などの不具合を感じた時は、ペダル以外に以下の各部位も点検・確認をすることが必要です。
・ペダルとクランクのゆるみ
・BB(ボトムブラケット)とフレーム・クランク
・クランクとチェーンリングのゆるみ
・サドル部・ペダル近辺以外の不具合
・その他
これらの部位について順番に見ていきましょう。
自転車のペダルから異音、原因①~ペダルとクランク~
ペダル単体はスムーズに回るのに、乗車の際にカタ付きを感じてしまう場合はペダル軸がクランクにしっかりと締付けられているかの確認をしてみて下さい。
その方法を説明します。まずクランクをしっかり押さえ、ペダルを前後上下左右にゆすってみて下さい。軸ごとペダルにぐらつきがある場合はペダル軸がゆるんでいます。手でゆるみを感じなくとも、微妙なゆるみがあることも考えられるので、適正な推奨トルクで増締めして下さい。軸がしっかり取り付けられているのにペダルのみがぐらつく場合は今度はペダル内のゆるみが考えられます。右ペダルは自転車に向かって時計まわりに、左ペダルは反時計まわりに締付けて下さい。
ペダル取付けの際は、ネジ部の異物や汚れをしっかりと取り除き、固着やきしみの発生を防ぐためネジ山にグリスを薄く塗布し、30~35N・mのトルクで締付けて下さい。この部分のゆるみを放置した状態で使い続けるとアルミ製クランクの場合、ペダル取付穴のネジ部が変形し、増締めしてもきしみが収まらないなど修復不能となる場合があるのでしっかりとチェックしましょう。
自転車のペダルから異音、原因②~BBとフレーム・クランク~
次はボトムブラケット・フレーム・クランクの確認です。車体フレームをしっかり押さえ、クランクアームを自転車の左右方向へ押引きしてみて下さい。さらに左右のクランクアームを同時に押し下げたり、押し上げたりしてみて下さい。
これらの確認の際に、ガタつきやきしみ音を感じる場合はクランクとボトムブラケットの組付けがゆるんでいる可能性が考えられるので、ショップで依頼するか、自分でクランクの専用工具で締付けを行いましょう。
ここで注意があります。きしみが感じられるからといってスプレーオイルを安易に使用するのはよろしくありません。なぜなら、ペダルやBB内の回転部品には潤滑剤として粘り気のあるグリスが用いられており、きしみが生じた際に粘り気のないスプレーオイルなどを吹き付けるとそのグリスを溶解・流出させるので、一時的にきしみが収まっても回転部品の摩耗を速め、結果的に部品の寿命を縮めてしまうからです。
フレームとボトムブラケットの確認についても先ほどと同様に片側のクランクアームを押引きした際に反対側のクランクアームが連動してカタついた場合は、ボトムブラケットがゆるんでいると考えられますので、増締めを行って下さい。その際には加えてボトムブラケットの軸受部にも異常の有無も確認するといいでしょう。
自転車のペダルから異音、原因③~クランクとチェーンリングのゆるみ~
クランクアームとチェーンリングも異音の原因の一つの可能性があります。これらを組み付けるボルト類のゆるみによって周期的な異音・振動を発生させていることもあるので
また、チェーンリングの歪みによってもフロントディレーラーとチェーンリングもしくはチェーンが接触することで周期的なかすれ音が発生します。自分で調整もできますが、ショップで調整してもらってもいいでしょう。
自転車のペダルから異音、原因④~サドル・ペダル近辺以外~
ペダルからやや遠い部分の不具合もペダルからの異音として感じられることがあります。例えば、サドルとシートピラー、シートピラーとフレームの取付部にゆるみがある場合も、ペダリング時にきしみ音が生ずることがあります。立ちこぎ等サドルに触れない状態でのペダリング時に異音がなくなる場合は、上記取付部の確認をしてみましょう。
またペダル1回転につき、複数回の異音・振動がある場合は、車輪側の異常が原因だと思われます。ブレーキシューの接触がチェーンを介してペダル上で感じられるなど、ペダル近辺以外の異音等がペダル近辺で感じられることもあります。なぜなら今どきののフレームは共鳴し易い素材・形状な為、それがダイレクトにペダルにも伝わってくるのです。
自転車のペダルから異音、原因⑥~そのほか~
上記以外の部分の不具合でもペダルの異音が発生することもあります。例えば、折畳み自転車のジョイント部やマウンテンバイクのサスペンションの軸部等、締付ネジのゆるみも原因の一つです。また、ビンディングペダルの場合ならクリート取付ネジがゆるんでいたり、裾クリップや靴紐の先端がクランク・ペダルに接触しているなど、思わぬ原因で異常を感じることもあります。
上記の各項目に異常が見られない場合にはペダル自体の問題も当然ながら考えられます。ペダルの異常は1回転毎に1回、周期的に異音やカタ付きを感じることが多く、強く踏み込んだ際に発生しやすいです。加えて、片側のペダルにのみ感じられる場合が多いです。
原因はいろいろありますが、多くはグリスの消耗、軸受部の摩耗、軸受球の破損などが原因として多いですね。
手で回してみてスムーズさを感じられずゴリゴリしている感触が伝わってくるときや連続したきしみ音が生ずる場合はペダルのメンテナンスをしましょう。
空走中に出る異音
ペダリングしてないときに異音が出ることもあります。以下にまとめてみました。
・空走中に「シュッ」と擦れる音がする。
ホイール・タイヤの変形が原因として考えられます。ホイールの変形でブレーキシューが定期的にリムに接触して擦れた音がしたり、タイヤに膨らみができて、それがフレームに当たっている可能性があります。そのまま走行するには危険な状態なので、タイヤを交換するようにしてください。
・ブレーキをかけると大きな音がする
ブレーキシューの磨耗・消耗が考えられます。ブレーキシューがなくなると、メタルブレーキといわれる様な状態で制動力が極端に落ち、大変危険な状態です。シューは完全に無くなる前に早めに交換するようにしましょう。
・空走中に「バキバキ・ピキピキ」と何か割れた様な音がする
これは比較的危険な異音で、ハブ・フレームが痛んでいる状態が考えられます。フレームの破損はとても危ないので、速やかに点検をしましょう
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これらはあくまで一例です。安全に楽しく自転車に乗るために異変を感じたらきちんと自転車屋さんに点検・改善してもらうように心がけましょう。