ルイガノのツーリングバイクlgs ctはランドナー?

皆さんは、自転車の種類の中で「ランドナー」をご存知でしょうか?

一世を風靡した時代もあった旅用自転車ですが、今も名前は変わっていますが、コンセプトを受け継いでいる自転車があります。

カナダの自転車メーカー「ルイガノ」にも、「lgs ct」というランドナーに似たタイプの自転車があります。

このlgs ctが2017年モデルで思わず「どうした?」と言いたくなるような変化を遂げました。

そこで今回は、lgs ctを見ていきたいと思います。

ルイガノのlgs ctにはランドナーの面影がある

まず、ランドナーという自転車について簡単に説明します。

フランス発祥の自転車で、フランス語のランドネ(小旅行)に由来していると言われているだけあり、日本では2泊3日程度の旅行用自転車として位置付けられていました。

ホリゾンタルフレームにドロップハンドルと、外見はロードバイクとあまり変わりませんが、カンチブレーキを採用していたり、かなり太いタイヤを装着しており、独自の仕様が特徴です。

また、旅行用ということでキャリアやスタンドが標準装備されているのも、ロードバイクとは一線を画すところです。

日本では1980年初頭のサイクリングブームに乗りシェアを広げ、各自転車メーカーも積極的に販売するようになります。

しかし、隆盛は長く続かず、ツーリング用にはロードバイク、オフロード用にはMTBと用途が細分化されたこともあり、急激に衰退していきます。

さらには自家用車に自転車を積んで旅行に出掛けるなど、自転車で走る距離が縮んでしまったのも、衰退の要因のひとつです。

現在では、ランドナーという名前を残して販売しているメーカーはごくわずかとなり、日本ではアラヤ、丸石自転車などが完成車を販売している程度です。

ただ、今回ご紹介するルイガノのlgs ctなどもそうですが、コンセプトを残している車種はいくつか見られます。

中でも競技用としての利用が多いですが、シクロクロス車などは、ドロハンにカンチブレーキで太めのタイヤを履いており、ランドナーの名残りがあります。

ルイガノはどんなメーカー?

ルイガノのlgs ctはカタログ上では、ロードバイクとは別に「ツーリング」という括りで紹介されています。

「ルイガノ」というのは、カナダの大手スポーツ用品メーカーで、自転車部門が特に有名です。

このカナダの本体も自転車を作っていますが、日本で一般的にルイガノの自転車と言えば、日本代理店になっている「アキ・コーポレーション」が製造・販売しているものを差しています。

見分け方は、車体に「LOUIS GARNEAU」のロゴが入っているのがアキコーポレーションの自転車、「GARNEAU」とだけ入っているのが、カナダ本体の自転車です。

lgs ctは、アキ・コーポレーションが製造している日本のルイガノブランドの自転車になります。

ルイガノの自転車はカーボンフレームの取り扱いが無いので、完成車は20万円以下のものだけになります。

チタンを使用しているフレームが単体で販売されていますが、それのみが20万円を超える商品ということになります。

品揃えだけを見れば、クロスバイクやミニベロが多く、どちらかと言えば、街乗り車に力を入れているメーカーと言って良いでしょう。

ルイガノlgs ctの歴史

それではlgs ctのスペックをご紹介していきますが、2017年のスペックをご紹介するのに欠かせない、これまでの歴史を振り返ってみたいと思います。

確認できたところではlgs ctの販売は、2008年より始まっています。

2008年モデルはフレームがアルミ、カンチブレーキにコンポはシマノ・ソラのフルセットで、フロント3速リア9速の27段変速です。

タイヤは700×35Cで補助ブレーキも取り付けられており、まさにツーリング車そのもののスペックでした。

2009年には、フレームがクロモリとなり、現在まで継続されています。

その後、2014年にはメインコンポーネントをリア10速のティアグラに昇格させ、105のstiレバーを採用する贅沢なモデルチェンジとなります。

そして2016年、ティアグラがモデルチェンジをしたのを機に、stiレバーもティアグラとなりました。

ここまで9年間、フレームの素材変更とリア10速化を図りながらモデルを継続できているということは、ある程度の売り上げがあったと推測されます。

ところが2017年、ルイガノは勝負に出ます。

lgs ctがフルモデルチェンジに近い、大きな変身を遂げたのです。

lgs ctはランドナーの復活か?

さて、2017年、ルイガノlgs ctは新たな形で生まれ変わりました。

クロモリフレームにカンチブレーキ、700×35Cのタイヤという所までは従来通りです。

しかし、まずフロントキャリアと前後のタイヤ部分に、泥除けが標準装備されました。

正にランドナーとしての正当な後継者になった趣で、オールドファンを喜ばせることになりました。

そして、もうランドナーそのものではないかと思わせるのが、変速機の仕様変更です。

ブレーキ・シフト一体型レバーの使用を止め、ダウンチューブに装着したダブルレバーで行う方式を採用しました。

昔のランドナーはもちろん、シマノがデュアルコントロールレバーを開発するまでは、ロードバイクもほぼダウンチューブシフターでの変速でした。

したがって、今回のlgs ctのモデルチェンジは、ルイガノがランドナーの復活を目指したと推測されます。

ただ一点だけ解せない変更点があるのですが、それは次項で詳しくご紹介します。

なぜコンポがシマノからマイクロシフトに?

さて、ランドナーの復活を思わせるルイガノのlgs ctですが、2017年モデルよりコンポがシマノ製からmicroSHIFT(マイクロシフト)製に変更されています。

ロードバイク用のコンポと言えば、日本のシマノ、イタリアのカンパニョーロ、アメリカのSRAMが3大メーカーとして有名ですが、「第4の変速メーカー」などと呼ばれるのが、このマイクロシフトです。

世界一の自転車大国である台湾のメーカーで、設立は1999年と新しく、コンポのメーカーとしては相当マイナーな存在です。

私も正直、完成車に搭載されているのを見たのは、今回のlgs ctが初めてでした。

コスト面を考えると、新たにキャリアや泥除けが付いた上で価格が2016年モデルより8,000円下がったのを、どう解釈するかですね。

しかし、2017年モデルは、コンポの中では高価なstiレバーを採用していませんので、価格が下がるのは当然だとも言えます。

その上で、なぜマイクロシフトのコンポを採用したのかが判然としません。

なぜかと言うと、lgs ctに搭載されている10速用と、従来搭載されていたシマノ・ティアグラを比較すると、パーツ単体の価格だけなら、あまり変わらないからです。

むしろ、ティアグラの方が安いパーツまであるくらいです。

個人的にマイクロシフトのコンポを使用したことが無いですし、インプレもあまり見かけないため、性能については何とも言えないのですが、不安材料を残す変更になったことは否めません。

lgs ctとアラヤのランドナーを比較する

では、ルイガノのlgs ctが2017年モデルで本格的なランドナー車に近付いたということで、今でもランドナー車として販売しているアラヤ社の自転車と比較してみましょう。

【アラヤ:SWALLOW Randonneur】
参考価格:¥198,000

日本のランドナーと言えば、アラヤと言っても過言ではないほどのメーカーですが、日本で初めてMTBを販売したメーカーでもあります。

クロモリフレーム特有の洗練されたスタイリッシュな細身のフレームに、MTBの主流になりつつある650Bのホイールを採用して、ランドナーとしての機能を維持しています。

メインコンポはシマノ・ティアグラ、ダウンチューブシフターにデュラエースグレードを使用するなど、特にドライブトレインはシマノ中心で組み上げています。

また、その他のパーツも日本製にこだわっており、日東のハンドルやパナレーサーのタイヤが嬉しいところです。

lgs ctとの比較は、価格が約9万円ほど高いので一概には言えませんが、細部へのこだわりと言う点では、こちらに軍配が上がります。

ただ、クロモリフレームは長持ちしますので、価格が安いからと言って耐久性に問題がある訳ではないので、安価だからlgs ctを選ぶというのも悪い選択ではないと思います。

lgs ctはランドナーだった

今回はルイガノのlgs ctを見てきましたが、2017年モデルはランドナーと断言しても良いスペックになっています。

マイクロシフトのコンポの評判は気になるところですが、今後インプレを興味深く見ていきたいと思います。

またlgs ctが成功すれば、ランドナー復活の機運が高まるかもしれませんね。