ロードバイクでは、フロントフォークを交換する優先順位は低いと言わざる得ません。
しかし、アルミフレームの完成車の多くにカーボンフォークが採用されているように、もちろん、それなりの効果はあります。
また、フォークを交換するのであれば、合わせてヘッドパーツの整備も行いたいところです。
そこで今回は、フロントフォークの交換とハンドル周りのメンテナンスについてお話します。
ロードバイクのフロントフォークとは
ロードバイク(自転車)におけるフロントフォークは、ハンドルで舵取りを行えるように前輪と、ハンドルを繋ぐ役割があります。
厳密に言えば、直接ハンドルに繋がっているわけではなく、ハンドルを支持しているステムというパーツがフロントフォークの軸である、ステアリングコラムを固定する形で繋がっています。
また、詳細は後ほどお話しますが、ステアリングコラムに装着するベアリングが、ロードバイクのハンドル周りのメンテナンスの肝になります。
フロントフォークは単にフォークと呼ばれることが多く、ひとつの独立したパーツで交換用に単品で販売もされていますが、ロードバイクのフレームでは、ほとんどセットされた状態で販売されています。
ロードバイクにはあまり見られませんが、MTBなどは衝撃吸収の機能である、サスペンションがフォークに付いているのが一般的です。
それと差別化を図るために、ロードバイクなどのサスペンションが無いものをリジッド(固定した)フォークと呼ぶこともあります。
ロードバイクのフロントフォークを交換する意味
今回は、アルミ製のフロントフォークからカーボン製に交換するという前提で話を進めていきます。
ロードバイクにおいてカーボンを使用するということは、軽さと衝撃吸収性に集約されると思います。
単純な重量の軽さはもちろんのこと、走りや取り回しなど、性能面の軽さが大きく変わってきます。
また、衝撃吸収性に優れているので、乗り心地の良さと、疲労感の違いは歴然です。
しかし、完成車の価格を見れば一目瞭然ですが、カーボンはとにかく高価です。
フルカーボンの完成車は最低でも20万円はしますし、中には100万円を超える車種もあります。
そのため、フロントフォークも含めて部分、部分でパーツをカーボン製にするカスタマイズの方が一般的です。
フォークは前輪からの衝撃を受ける部分ですし、ハンドリング性能を左右しますから、ここをカーボン製にする効果は大きいと言えます。
また、アルミフォークから100~300gは軽量化できますので、軽さは結構実感できるはずです。
ロードバイクのフロントフォークを交換する~外し方~
まず、フロントフォークを交換するには、既存のものを外すところから始めなくてはいけません。
工具は、通常は六角レンチだけで大丈夫だと思います。
トラブルを避けるために、フロントブレーキを外します。
その後、クイックリリースを解除して前輪を外します。
ロードバイクは、ほぼアヘッド方式だと思いますので、ステムのアンカーボルトを緩めてトップキャップを外し、固定ボルトを緩めればハンドルが外れます。
あとはフォークを下に引き抜けば良いだけですが、このときにヘッドパーツが一緒に外れてしまったりするので、下球押し(下ワン)の根元を持って引き抜いてください。
特に、ボールベアリングの球は、小さく飛び散りやすいので注意してください。
固着してしまって外れない場合は、むき出しになっているコラムを、トップチューブを痛め付けない程度にトンカチで叩きだしてください。
それでも外れなければ、自転車屋さんにGO!です。
ロードバイクのフロントフォークを交換する~下準備~
さて、ロードバイクのフロントフォークを取り付けますが、新しいフォークはステアリングコラムが長いままなので、自分でカットする必要があります。
普通の金ノコで切れますが、真っ直ぐ切るためのソーガイドがあった方がベターです。
また、下ワンを新しいフォークに圧入しますが、古いフォークから外すときに専用の工具が必要ですし、圧入時にもパイプ状の工具が無いと圧入できません。
工具を全て揃えるとピンきりとは言え、それだけで8,000円程度掛かると思います。
そのため、工具が揃っている人は別ですが、下ワンの脱着とコラムのカットは、ショップに任せた方が断然安く済みます。
某有名サイクルチェーンのホームページで確認したところ、コラムカットに1,500円、下ワンの脱着に400円といったところですので、工具を買うより安いです。
持ち込み不可のショップもあるので、事前に確認してください。
それでも、交換はあくまで自力でやると言う方もいらっしゃると思います。
上記の工具を揃えるのがべストですが、最低でも金ノコと、コラムと径の合う長さ30cm~40cmの塩ビパイプを用意してください。
下ワンはマイナスドライバーで何とか外せるはずですし(ドライバーの刃先が欠けるかもしれませんが)、コラムは多少斜めに切れてしまっても、ヤスリで根気よく削れば真っ直ぐになります。
カーボンフォークの場合は必ず紙ヤスリを使用し、仕上げには繊維がほつれないように、切断面に瞬間接着剤を塗ってください。
あとは新しいフォークに下ワンを通して塩ビパイプを被せたら、上からゴム槌で思いっきり叩いて、根元まで圧入します。
ロードバイクのフロントフォークを交換する~取り付け~
さて、下ワンの圧入までできたらフロントフォークをヘッドチューブに差し込みます。
取り付けたら、外したのと逆の順番で、ヘッドパーツの小物を取り付けていきます。
このときにベアリングは、グリスアップをしてください。
グリスが切れていると、ハンドルがスムーズに左右に動かなくなってしまうので、必ず行ってください。
スペーサーを戻したら、ステムを仮止めします。
ここでロードバイクを安定させるために、前輪を付け直して、フォークに固定させます。
最後の仕上げですが、もし今まで使用していたフォークのコラムがアルミ製で、交換するフォークがカーボン製なら固定方式が違ってきます。
アルミ製の場合は、スターファングルナットという金属製のものを、コラム内にガンガン叩いて圧入することができますが、カーボンは構造上圧入することができません。
そのため、カーボン製の場合はプレッシャープラグ(アンカーナット)という物を使います。
ユーザー評価の高い物を、一品ご紹介しておきます。
【Mr.CONTROL(ミスターコントロール):TK-012SW-50L コラムプラグ】
参考価格:¥980
六角レンチでボルトを締めてあげるだけで、コラムに固定されますので、圧入の必要はありません。
アルミのフォークでも問題なく使用できるので、ナットを圧入したくない人は、この際に交換してしまっても良いと思います。
あとは、今まで使用していたトップキャップをはめ、がたつきが無くなる程度までアンカーボルトを締めます。
最後にステムを固定して、外していたブレーキを取り付ければ、フォーク交換は完了です。
ヘッドパーツのメンテナンス
ロードバイクのフロントフォークの交換について見てきましたが、せっかく新調しても定期的にメンテナンスしなければ、効果は長く続きません。
ハンドル周りのメンテナンスは、足回りに比べて忘れてしまいがちなんですが、ベアリングを使用している部分なので、非常に重要です。
メンテナンスはベアリングの清掃、グリスアップが主ですので、先ほどの交換手順に従って、ヘッドパーツの小物を外します。
これを脱脂剤などを使って清掃してから、組み付けるときにベアリングにグリスを塗って戻していきます。
恐らく、ステアリングコラムの根元の下ワンは相当汚れているはずなので、念入りに清掃して、新しいグリスを盛り付けてください。
グリスはシマノ製やパークツール製であれば、ほぼ間違いないと思います。
ロードバイクを大切に乗っている人は、1年に1回程度ヘッドパーツのメンテをしているようなので、やったことが無いという人は、これを機に行ってください。
もう圧入固定の時代じゃない!
今回は、フロントフォークの交換についてお話してきました。
素材を替えることも重要ですが、メンテナンスを考えた場合には、固定方法の変更が何より大切だと思います。
今回ご紹介したプレッシャープラグ(アンカーナット)を使用することで、ハンドルのがた付きや緩みが大幅に改善されたというインプレもありました。
ぜひ、この部分も含めて、交換を検討していただきたいと思います。