自転車に乗っていて、自動車のサイドミラーと、自転車のハンドルやカゴが接触してしまったことはありませんか?
逆に、自動車で横を走っていた自転車を追い抜こうとしたときに、接触してしまった経験はどうでしょうか?
いずれにしても、自動車と自転車の接触事故は頻繁に起きていることなので、事例を確認して対処法を検討しましょう。
自転車で自動車のミラーと接触した事例
まず、最初の事例をご紹介します。
ある人が、自転車で車道の一番左側を走っていました。
途中、駐車の列があったので、少し右に逸れるような形で駐車列を避けて通ろうとしました。
しかし、そのとき、自分の右側にいた、信号待ちの自動車のミラーに接触してしまいます。
自転車の人は「かすったかな?」程度の感覚だったらしく、その場を素通りしてしまったそうです。
その後、すぐにクラクションと大声で呼び止められ、少し先で止まったそうです。
同じ状況で少し前を自転車で走っていた友人は何事もなく、そこを通り抜けていたので、「もしかしたら車が少し左に動いたのかも」と、後に駆け付けた警察官に証言しています。
その車は、左にウインカーを出していたらしいので、左折待ちだったと思われます。
自動車の運転手の証言から、前方の信号は赤信号だったと推測されます。
以上が大まかな状況です。
この後、警察を呼び、現場検証などをしたのですが、双方の言い分も食い違っていました。
そのため、専門的な検証をするために警察所に出向き、様々な検証と調書が取られ、写真撮影なども行ったそうです。
そして、あとは民事不介入ですから、示談は当事者でということになったそうです。
残念ながら後日談がないので、どうなったかは不明なのですが、非常にオーソドックスな接触事故だと思い、最初の事例として取り上げました。
サイドミラーと接触した現場から逃げてはダメ!
上記の事例ですが、まずどちらに非があるかと考えると、後ろから突っ込んだ形ですから、自転車側ということになるでしょう。
仮に、友人が通り抜けた後に車が動いたという事実があったとしても、過失割合が増えることはあるかもしれませんが、それが故意の幅寄せでもない限り、違法行為とまでは断定できないのではないでしょうか。
一方で、自転車側も駐車車両を避けようとした行為は間違いではありません。
駐車している自動車は障害物と同じと見なされるので追い越しには当たりませんし、キープレフトの原則を外れていたわけでもありません。
では、何がまずかったのかと言えば、ミラーにかすった程度とはいえ、接触したと認識していながら、その場を立ち去ろうとしたことです。
相手側の心証を悪くしたのはもちろんのこと、もし、その場ではなく後から判明したとすれば、当て逃げとして判断され、刑事事件になっていたかもしれません。
しかも、この手の事故になると相手は動いていないと主張して、こちらは動いたと主張するように、互いに自己防衛をはかるものですから、ドライブレコーダーでも付いていない限り、水かけ論になります。
そこで心証を悪くするようなことがひとつでもあれば、後々不利な立場になることは避けられません。
ですから、逃げてはダメなのです。
トラックのサイドミラーが危ない!
さて、今度は特定のものではなく、いくつも同様の事例が報告されている件です。
それは、自転車で走行中に、トラックのサイドミラーに接触された事故です。
しかも当て逃げに近いような、トラック側が対処せずに通り過ぎていくケースが多いです。
トラックのパワーで軽い自転車に接触されたら、サイドミラーだとしても、危険なのは明白です。
原因としては、トラックの車幅からすると、左のサイドミラーは運転席から遠すぎて、感覚の外にあると言います。
そのため、視認できないというのが、トラック側の言い分のひとつではあるようです。
上下に2つミラーを付けて、自分から見て、特に低い位置を走っている2輪車に対しての視認性を高めようとしたりしているトラックもいます。
ただ、大きく横に張り出したサイドミラーなどは、接触の危険性が増す気がします。
大きな幹線道路などは、どうしてもトラックが多いですから、自転車としては歩道に上がるしかないのでしょうか?
もちろん、その場合は自転車通行可の標識があるかどうかを確認して、無ければ自転車を降り、押して歩くことになります。
トラックと自転車が接触してしまう訳とは
自転車側の意見を見ていると、視認性の悪さと同時に、トラックの自転車に対する排他的な振る舞いも多いと言わざる得ません。
「なんで自転車が車道を走ってるんだ!」的な考えが、いまだに横行しているということです。
一概には言えませんが、トラックドライバーは運転が仕事、いわゆるプロですね。
そのプロが、自転車が軽車両で原則車道を走らなければいけないことを知らなかったり、知っていながら邪険に扱っているとしたら、それは由々しきことだと思います。
サイドミラーが自転車に接触した事故でも、後ろから見ていた車のドライバーが、明らかにトラック側の幅寄せ行為だったことを証言している例もあります。
また、路線バスは停留所前では左に寄る必要がありますが、自転車を視認した場合はやり過ごしてからではなく、追い抜いてから左に寄るのがマニュアルだそうです。(すべてのバス会社がそうであるとは限りません)
やはり、速度が違いすぎる自転車と自動車の車道での共存は難しいのでしょうか。
ドライバーの皆様~自転車は車道を走るものですよ
自動車のサイドミラーとの接触事故にあった皆さんの体験談を見ていると、警察官に「危ないから今度からは歩道を走りなさい」と言われた人が多いようです。
確かに、道路交通法には「安全のためにやむを得ない場合」は、自転車が歩道に上がることを認める条文があります。
しかし、だからと言って、全面的に認めるような発言をしてしまっては、徹底できるわけがありません。
個人的な意見にはなりますが、まずは自転車も自動車も交通ルールを守る、そしてその上で、おかしな所を修正していくのが理想だと思います。
理想論だけで片付く問題ではないと思いますが、そもそも歩道での自転車と歩行者の事故が絶えないから自転車を車道に移した訳ですから、現状はそこで共存を図っていくしかないのだと思います。
接触事故で自転車側に大きな過失が科せられることもある
今度はミラーに接触したと言う話ではなく、人身事故になったケースです。
自転車が幅6mの道路の右側を、2台並走して走っていました。
そこで対向車線を走っていたトラックは、自転車を避けるために右にハンドルを切りましたが、すれ違うときに1台の自転車がふらつき接触、その後、数m引きずって停車しました。
自転車を運転していた中学生は足に重傷を負い、障害等級10級に当たるほどの後遺症が残ったそうです。
そのため、治療費や慰謝料などを含めて2,460万円の損害額は認められました。
しかし裁判所は、自転車側が右側通行の上に並走していた点に重大な過失があるとし、自転車側に60%の過失割合を申し付け、トラック側の損害賠償額は984万円に減額されています。
自転車と自動車の接触で双方が動いている状態での事故の場合、交通弱者救済の観点から自転車側の過失割合は低くなるのが普通です。
しかし、重大な交通違反があれば、その限りでは無いというのが、この事例からの教訓です。
自転車と自動車の共存
今回は、自転車と自動車の接触事故を見てきました。
双方に言い分があり、過失の割合も難しい厄介な事故であると再認識しました。
また、自転車の車道における車との共存についても少し考えてみましたが、これは簡単には解決しません。
まずは、お互いが認識を高めることから始めないといけないのかなと思います。