ロードバイクなどのスポーツ系の自転車はカゴやキャリアが付いていないため、荷物を持ち運ぶには車体にバッグを取り付けることが検討されます。
一般的なのはサドルやシートポストに取り付ける「サドルバッグ」ですが、走行中も含め頻繁に出し入れをするようなものを収納するには「フロントバッグ」が便利です。
そこで今回は自転車のフロントバッグについて、メリット、デメリット、取り付ける際の注意点をお伝えし、おすすめのバッグもご紹介します。
かごやキャリアの無い自転車で荷物を運ぶには?
かごやキャリアのない自転車で荷物を運ぶ場合は、バッグを自分の体に付けるか、車体に取り付けるかのどちらかが考えられます。
体に身に付ける場合はショルダータイプですとペダルを漕ぐのに邪魔になるため、リュックやバックパックを背負うのが一般的です。
短い距離ならバッグを背負うことはそこまで苦に感じることは無いですが、距離が長くなってきますと、体に直接バッグが付いていることが負担になってきますので、疲労感が違います。
また、特に夏場などは汗で背中がぐっしょり濡れますので不快感を感じますし、バッグに汗がしみ込んで中の荷物が濡れてしまう可能性もあります。
そこで考えられるのがバッグを車体に取り付けることで、取り付け場所によって専用のものが販売されています。
今回の主役であるフロントバッグはハンドルに取り付けるバッグのことで、「ハンドルバーバッグ」とも呼ばれます。
特徴やメリット、デメリットは後ほど詳しくお伝えするとして、フロントバッグを考える上では他の場所に取り付けるバッグとの比較も必要なため次項でまずご紹介します。
自転車に取り付けるバッグの種類
それではフロントバッグ以外の自転車に取り付けられるバッグからご紹介します。
《サドルバッグ》
サドルのレールやシートポストに固定するバッグで、スポーツサイクルでは最も一般的です。
予備のチューブと携帯工具用の小さなサイズから、一泊程度なら旅行にも対応できる10Lを超えるようなサイズまで様々な大きさがあります。
《フレームバッグ》
トップチューブやフロントフォークなど、文字通りフレームに取り付けるバッグです。
走行の邪魔になってしまうためあまり大きなサイズはありませんが、携帯食やタオル、スマホなど走行中にすぐに出したい物を収納するのに適しています。
《サイドバッグ・パニアバッグ》
後輪の横にぶら下がるように取り付けられるバッグで、取り付けにはキャリア(荷台)が必要になります。
左右で分離されているのがサイドバッグ、左右が繋がっているのがパニアバッグと呼ばれます。
走行中は一度自転車を降りなければ荷物の出し入れができませんので、携帯用というよりはより多くのバッグを積む必要がある長期の旅行用というイメージです。
自転車用フロントバッグのメリット
ここからはフロントバッグのメリット、デメリットをお伝えし、フロントバッグの使い勝手について考えていきます。
◎メリット
・荷物の出し入れがしやすい
・サドルバッグの補完的な役割として、荷物を分散できる
・自分の目の前にバッグがあるため、財布やカメラ、スマホなどの貴重品を入れておくのに安心感がある
・走行中に自転車から降りずに荷物を取り出せる
・形状によってはバッグの上に地図やスマホを置くことができる
何と言ってもバッグが常に目視できる位置にあるため、荷物の出し入れに関してはこれ以上ないアクセスの良さがあります。
また、自分の目が届かない場所にあるバッグですと万が一ファスナーを閉め忘れでもしたら、気づかずに走行中に荷物が飛び出てしまう可能性もあります。
しかし見えている状態のフロントバッグであればその可能性は低く、貴重品を入れておくのにも安心感があります。
また大型のサドルバッグですと上り坂や立ち漕ぎがきついので、ツーリングなどを楽しみたい方は適度なサイズにしておきたいところです。
その点ではフロントバッグを使用して荷物を分散させれば、サドルバッグの容量を増やさなくて済みますので、併用はおすすめです。
自転車用フロントバッグのデメリット
続いてはフロントバッグのデメリットをお伝えします。
▲デメリット
・ハンドル周りが重くなり、操作が不安定になる
・ハンドルを握るとバッグが手に当たって邪魔なことがある(特にドロップハンドルのロードバイク)
・ライトやサイクルコンピューターなどが取り付けにくくなる
・サドルバッグに比べると選択肢が少ない
自転車は車ほどハンドルを回転させるわけではありませんが、やはりバッグのようなある程度の質量の物が取り付けられると操作性が悪くなるのは否めません。
また最も大きいのはハンドル周りのスペースの問題で、フロントライトやサイクルコンピューターとの併用が難しくなります。
ただアダプターなどを取り付けて空間を上手く利用する方法もありますし、フロントバッグの中には最初から併用を見越して、ライトなどのホルダーを取り付けられるものもありますので、工夫次第では解消できる可能性があります。
さらにハンドルの水平部分が狭いドロップハンドルですと、幅が広いタイプのバッグは取り付けできない場合もありますので、事前に確認が必要です。
フロントバッグの選び方
ここでは、自転車に取り付けるフロントバッグの選び方をご説明します。
まずそもそもフロントバッグは制約が多く、取り付けられるかどうかを確認する必要があります。
ロードバイクのコントロールレバーによっては、フロントバッグを取り付ける部分でワイヤーが交差しますので取り付けられない可能性が高いです。
またハンドル中央に腕や肘を乗せておくDHバーなどとの併用は難しいですし、先ほどもお伝えしたようにドロップハンドルの水平部分よりも幅広のものは取り付けられませんので注意が必要です。
次にハンドルへの取り付け方法ですが、ベルトやマジックテープでハンドルに括りつけて固定する方法と、専用のアタッチメントをハンドルに取り付けてそこにバッグを固定する方法です。
ベルト式のほうが全体的に安価で、ハンドルの太さなどにも自由が利き、アタッチメントが無い分軽量化できますが、脱着に手間が掛かるのと、固定が緩んでくるとタイヤに接触する可能性が生じます。
一方アタッチメント式は脱着が簡単なため、自転車を降りるたびに荷物を携帯したいような場合に重宝しますし、バッグとハンドルが密着しないためワイヤーが圧迫されるような心配がありません。
しかし、どちらにせよ安全性やバッグ自体の機能面に差はないため、自分の使い勝手の良いほうを選べば問題ありません。
あとは、全ての自転車用バッグに大切な要素として、防水がしっかりしているかどうかです。
名のあるメーカーであれば高い水準で防水がされているバッグが多いですが、突然の雷雨などいざというときのためにも、製品のレビューなどは確認しておいたほうが良いでしょう。
おすすめの自転車用フロントバッグ
それでは最後に自転車用のフロントバッグをいくつかご紹介しますので、購入の際の参考にしてください。
【OSTRICH(オーストリッチ):スマートツインパック】
・参考価格:¥4,730(税込)
ロードバイクのハンドルにすっぽりと収まるサイズ感に、フタ部分も収納が可能なため、バッグ本体と荷物を分けることができる優れものです。
【mont-bell(モンベル):フロントバッグ】
参考価格:¥4,620(税込)
丸形のボストンバッグのようなデザインで、ストラップでハンドルとステムに3点留めするため、固定力に定評のあるフロントバッグです。
メイン収納の他に2つのサイドポケットがありますので、取り出しやすい物とそうでない物とを分散させることができます。
【Ortlieb(オルトリーブ):アルティメイト6クラッシック 7Lサイズ】
・参考価格:¥12,100(税込)
ドイツのバッグメーカーオルトリーブは、創業者が自転車旅行中に突然の豪雨に合い、カバンの中の荷物がびしょ濡れになったことが創業のきっかけということもあり、とにかく防水性の高いバッグが多いです。
下記の別売りアタッチメントを使用してハンドルに取り付けますが、鍵付きでアタッチメント自体もロックすることができるため防犯面からもおすすめです。
【ハンドルバー用 マウンティングセット キー付き】
・参考価格:¥3,630(税込)
貴重品を目の前に置いておける安心感を享受できるのはフロントバッグだけ!
自転車に取り付けるバッグのスタンダードはサドルバッグであり、予備のチューブに携帯用工具、小さくたためる雨具程度が入れば良いのであればフロントバッグの必要性は低いです。
まして、ハンドル周りに取り付けるスペースがなければ無理ですから制約は少し多いですが、貴重品を自分の目の前に収納しておくというのは想像以上の安心感があります。
また、あまり大きいサドルバッグは走行の支障になる可能性が高いですし、荷物の取り出しに一旦自転車を降りる必要がありますので、利便性を考えるフロントバッグとの併用を考えたいところです。