こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
日本のロードバイクメーカーと言えばアンカー。
そんなアンカーのロードバイクの評判と、実際の性能を考えていこうというのが、今回のテーマで御座います。
ざっくり言うと、日本メーカーであり、学生やトラック競技向けの車体を豊富に作り、ツールには出ていないものの国内のアマチュアでは結構速い人もアンカーに乗っていることも多い。
実際、アンカーってどうなの?
その辺りを書いていきましょう。
『日本メーカーだから』というアンカーの評判①
『日本のメーカーだから』というのが、アンカーの枕詞のようにさえなっています。
これには、いくつかのニュアンスがあります。
人によって、ニュアンスが違いますね。
順番に見ていきましょう。
・体格の小さい日本人でも乗りやすいモデルが多いというニュアンス
これは事実ですね。
現在アンカーは海外輸出をほとんどしていませんから、日本国内の消費者向けにフレームを開発していると考えて問題ないでしょう。
ですから、体格の小さい人でも乗りやすいモデルが多いという評判は事実です。
海外メーカーも、昨今は女性でも乗れる小さいサイズのロードバイクも出していますが、外国人は日本人に比べ手足が長い傾向にあります。
男性と女性を比較しても、日本人の場合、女性は足が長い傾向にあるようです。
昔ながらの日本人体型の人だと、どうしてもトップチューブが長すぎるという場合があります。
この点、アンカーは『小さい人向け』じゃなく、『日本人向け』のフレーム設計になっているモノが多くあります。
ただ、最近は海外メーカーもその辺に気付いたのか、サイズごとにジオメトリーを工夫するなどしているので、昔ほど『背が低い=アンカー』というのは、なくなりつつあります。
『日本メーカーだから』というアンカーの評判②
・ロードバイクはヨーロッパが本場の乗り物だよねというニュアンス
これは、「せっかくロードバイク買うのに、わざわざツールを走っていないメーカーの車体を買わなくても良いじゃん」ということですね。
先に明言しておきますと、『ツールを走っていない=良いバイクじゃない』というのは間違いです。
ツールを走っていても、イマイチな車体というのはあります。
ツールに参加した某ヨーロッパのチームは、某メーカーのセカンドグレードの車体しか提供してもらってないとか。
某メーカーは、Aのチームには最新のTTバイクを提供したけれど、Bのチームには旧モデルのTTバイクのままツールで走らせたとか。
某チームは、ツールでコンポがシマノでもカンパでもSRAMでもない、得体の知れないほにゃららシフトというメーカーを使っていたとか。
そういうことは、いくらでもあります。
車体がツールを走れるかどうかというのは評判・評価というより、どちらかというとお金やコネの問題です。
なので、ツールを走っていないからアンカーが良くないっていうことは、決してありえません。
でも、僕もせっかく自腹切って買うなら、かっちょいいプロ選手の使っているロードバイクが欲しいと思います。
この辺は、価値観の相違です。
実際の性能とは、あまり関係はありません。
『日本メーカーだから』というアンカーの評判③
・日本メーカーだから安いよねというニュアンス
この評判は全く関係ありません。
その理屈でいえば、サムスンよりソニーの方が安くないとおかしいです。
アンカーのフレームも他の海外メーカーと同じで、台湾とか中国とかで作っています。
ただし、今でも国内生産しているのが、クロモリのRNCシリーズです。
ネオコットという、独自の技術を持っています。
なので、『アンカー=ネオコットクロモリ』という人もいます。
ただ、ネオコットクロモリは、昔はレース向けの硬いモデルとロングライド向けの柔らかいモデルがありました。
今は、ひとつに統一されて、ちょっと柔らか寄りになっています。
やはり軽さと硬さが求められるレースには、クロモリは適していないという、時代の波には逆らえないようです。
確かに、クロモリのロードバイクをレース用に欲しいという人は珍しいです。
クロモリは、のんびり長く優雅にサイクリングを楽しむという用途で欲しい、という人が多いようです。
レース向けの硬いクロモリが欲しい人は、Panasonicのクロモリの方が人気があるようですね。
シマノと相性の良いロードバイク
アンカーは、明確にシマノとの相性を考えて作っています。
シマノの推奨フレーム設計の範囲内で、アンカーの味が出るように作ります。
コンポーネントをシマノで使おうと考えている人には、アンカーはオススメです。
アンカーのカーボンロードバイクでは、BB規格はシマノのプレスフィット86を使っています。
アルミのフレームでは、シマノのスレッド式(ネジが切ってあって工具でくるくる回してはめるやつ)のBBになります。
プレスフィットは、従来のスレッド式よりも軽量化とBB周りのフレーム幅を広げることによって、ぺダリング時の力をフレームがしっかり受け止めてくれ、前進するためのトルクのロスが少なくなります。
プレスフィットBBは、大きく分けてシマノのBB86とキャノンデール発祥のBB30系に分かれます。
この辺は、非常に厄介な話なのですが。
シマノのクランクを使う予定であれば、BB86のフレームが良いです。
BB30のフレームでも、アダプタをかませることでシマノのクランクは使えますが、アダプタをかませる=無駄なものを入れるということなので。
大きいデメリットとまで言いませんが、決して良いコトではないです。
また、BB30は音鳴りとの闘いでも評判です。
PF30辺りからは、かなり改善もされましたが。
もちろん、BB 30にもメリットはあります。
30mm径の太い軸のクランクを使えます。
軸が太いと剛性を上げながら軽量化可能です。
ROTORやFSAなどのメーカーから出ています。
しかし、素直にシマノで組む予定であれば、BB86用のフレームが良いでしょう。
何だか複雑なBBの話に脱線しましたが、アンカーのロードバイクは、フレーム設計の段階でシマノを使うことを前提としているので、相性は抜群ということです。
アンカーのロードバイクは部品が選べる
ちょっと裏側の話ですが。
アンカーのロードバイクは、完成車でもバラバラの状態で小売店にきます。
一般的に完成車は、7分組みなどの状態でくるメーカーが多いです。
ハンドルやBBは、取り付けられた状態できます。
なので、アンカーのロードバイクは、最初からホイールやハンドル幅、バーテープなどをある程度選べます。
これは嬉しいです。
7分組みだと、メーカー指定のハンドル、ホイールなどは原則として交換できないそうです。
工場で検品が終わって、梱包して箱詰めされたら、工場から出発し販売店に着くまでは、基本的に箱から出されることはないようです。
出し入れによる傷が付くのを防ぐためだそうです。
ちょっと聞くと、7分組みでお店にきたほうが良さそうな気もしますが、昔からの評判の良いメカニックさんの話によれば、バラバラでくるほうが間違いないと言います。
実際に、バラバラの状態から自分の手で組み付ける方が安心だということです。
メーカーの工場で、ライン作業のおばちゃんたちが組み付けた7分組みは、昔は結構ひどかったようです。
しかし、最近はメーカーも、ある程度きちんと組み付けるようになったとのことです。
もちろん、今でもバラバラにして確認すべきところは確認しないといけないそうですが。
7分組みのメリットは、メーカーとしては商品管理がしやすいことです。
円滑な出荷、在庫管理につながり、健全な経営状態の維持や製品のプライスダウン、開発コストへの投資に資金を回せるというメリットがあるようです。
そういった背景からか、今は注文から1週間程度で納車できるメーカーも増えましたが、バラバラのままでくるアンカーは、今でも3か月程度待たないといけないことも多いです。
(他にもいろいろと複雑な理由はあるのでしょうが)
実際には、購入する際には、どちらでもあまり関係ありません。
というのも、きちんとしたショップであれば、バラバラできても7分組できても、キチンと組み付けてくれます。
技術が信頼できないお店であれば、7分組でも、バラバラからお店で組むにせよ、どちらにせよ信頼できません。
どこのお店で購入するかって、やっぱり大事ですね。
ハンドルやホイールなどを選びたい人には、アンカーは良いです。
アンカーのロードバイクの走りの性格は
アンカーのロードバイクの走りの性格は『乗りやすい』という評判が多いです。
悪いクセがほとんどない、と。
実際、アンカーのロードバイクに乗ってみると納得します。
「ああ、確かに乗りやすいな」と。
変に硬くなく、ハンドリングも素直ですし。
でも、これは裏を返すと、高剛性のフレームが好きな人には物足りないということです。
脚力の強いプロの選手なんかは、高剛性のフレームを好む人も多いようです。
硬いということで評判なのは、スぺシャライズドのTarmacやキャノンデールのスーパーシックス。
ヨーロッパのトップグレードも、硬いと言われるモデルが多いです。
スーパーシックスは現行モデルをまだ乗れていないですが、まあ、前のスーパーシックスよりいくらか乗りやすくなったとはいえど、やはりスーパーシックス、硬いでしょう。
ちなみに、フレームの硬さについてですが。
僕は硬いフレームは嫌いです。
当然ながら、柔らかすぎるフレームは、それはそれで問題です。
どの程度の硬さが好きかは、完全に個人の好みです。
僕には、プロの選手のようにガシガシ踏み抜けるだけの脚力はないということも、理由のひとつでしょうし。
年間で乗るトータルの割合を考えても、レースで乗っている時間よりも、ロングライドを楽しむ時間の方が圧倒的に多いというのも、理由のひとつでしょう。
ヒルクライムレースで狙ったタイムが出なかったら、「チクショー!!ガチガチの硬くて軽いフレームにSRAM RED欲しー!!」などと、機材のせいにすることもありますが。
ヒルクライムは、硬くて軽い方が速いです。
(脚が踏み負けなければの話ですが)
アンカーのRMZは剛性オーダーができる
先ほどアンカーのロードバイクは全般的に乗りやすい方面、つまり、比較的柔らかい方面のフレームが多いということを書きましたが。
アンカーの最高級モデル RMZは、剛性までオーダーできます。
一番硬いレベル1から柔らかいレベル7まであります。
これは革新的です。
「トップモデルが欲しいけれど、プロがバリバリでレースで使うような硬いフレームは自分にはツラいから」という人もいるでしょう。
アンカーの RMZなら解決です。
さらに、個人的な好みですが、カーボンラグのフレームはカッコいいです。
グラファイトデザインMETEORにせよ、COLNAGOの C60にせよ。
ただ、そういった評判があっても世界販売台数大手のメーカー、ジャイアント・トレック・キャノンデール・スぺシャライズドあたりが、カーボンラグを採用してないことを考えると、実質的な性能はイマイチなのかもしれません。
でも、カーボンラグ、自転車乗りのハートを震わせる見た目ではありますよね。
RMZはフレーム単品 485,000円(税抜)と、海外メーカーのトップグレードに迫る値段ですが、何かと納得できる1台かもしれません。
まとめ『トータルして考えるとアンカーは優秀』
あれこれ、アンカーについて考えてみました。
個人的には、独特なRMZのカーボンラグフレームが以前から欲しいなと思いつつ、「でも、ツールに出てないしなぁ、予算がなぁ」などと、見た目の問題とお金の問題で二の足踏みつつなのですが。
アンカーは、トータルの性能面や値段面を考えると、やっぱり良い自転車だなと思います。
日本メーカーが良いと捉えるか、海外メーカーが良いと考えるか。
価値観の問題と言ってしまって問題ないと思います。