こんにちは、じてんしゃライターふくだです。
自転車に乗っていると、ギアの調子が悪くなってしまって困るっていうことがありますよね。
悪化すると、走っていると勝手に隣のギアに変速するようになったりしますね。
今回は、そういうギアの修理のお話です。
自分でできる修理?自転車のギア!
修理のお話のときには毎回最初に書いていますが、乗り物の修理は失敗すると事故につながります。
事故の際には、ご自身だけでなく、別の誰かを巻き込むこともあります。
自信がない場合には、修理は必ず専門の自転車屋さんにお願いしてください。
そうは言っても簡単な修理は、やはり自分でできるようになりたいものです。
特にギア。
使っていると段々とズレてきますよね。
自転車屋さんに持って行くと、1分もせずに簡単そうに直してくれることも多いです。
「あのくらい自分でできないかな?」
と思いますよね。
原因にもよりますが、ご自身でも簡単に安全にできる場合もあります。
今回は分かりやすいところで、リアディレイラーのワイヤー調整をみていきましょう。
自分でできる!ギアのワイヤー伸びの修理!
まず、自分でできる簡単なものは、リアディレイラーのワイヤーの調整です。
変速機などには問題はなく、単にワイヤーが伸びてしまっている場合に有効です。
工具は使いませんので、初心者の人でも挑戦できると思います。
あくまで簡易的な基準ですが、工具を使わない修理・調整は、一般の人でも大丈夫なものが多いです。
偶然、間違えて触ってしまったとしても、事故につながることは少ないように作っています。
六角レンチやドライバーなど、割と普通の人でも持っている工具でできる修理・調整というのが、意外と落とし穴です。
できそうに見えて難しいものも、いくつかあります。
特殊な自転車専用工具を使う修理は、きちんと勉強してからやらないと、危険な場合が多いです。
専用工具を使ってイジる場所は、一般の人が分解することは、一切考慮されていません。
工具無しでできるワイヤーの調整とは、要は張り量の調整です。
ワイヤーが変速機からニョロンと出ている根本部分の黒いやつを、手でつまんでクルクル回すだけでできます。
ギアの張り量調整、どっちに回すと張る?
手でクルクル回すと、ワイヤーについている銀色のキャップが、ディレイラーから出てきたり隠れたりすると思います。
左に回すと、キャップがどんどん出てきます。
右に回すと、キャップが隠れていきます。
「キャップが出てきたらワイヤーが伸びてるんだな?!ワイヤーを張るためには右回しでしょう?!」
と、思う人もいるかもしれませんが逆です。
ワイヤーのキャップが出てくる=アウターワイヤー(外側のワイヤー)が伸びています。
今回、張りたいのは、中の銀色のワイヤー、インナーワイヤーです。
アウターワイヤーというのは、いうなればインナーワイヤーの通り道です。
『アウターワイヤーが伸びる=道が長くなる=インナーワイヤーが引っ張られる』ということです。
言葉で書くと、少々分かりにくいかもしれませんが。
・左に回す=インナーワイヤーは張る
・右に回す=インナーワイヤーは緩む
と、だけ覚えておいても大丈夫です。
ギア修理で回す向き、どっちが右?左?
どうでしょう。
グルグルの場所と向きが、何となく分かりましたか?
自転車をイジるときの基本は、ちょっとずつイジるです。
一気にグルグル回してはいけません。
一気に回すと何が何だか、わけが分からなくなります。
行き過ぎているのか、足りてないのか、この後どっちに回せば良いか分からなくなってしまいます。
「ちょっとってどのくらい?」
1/4回転ずつとかでしょうか。
1回転は結構まわっています。
自転車屋さんは慣れているので、触った感じでこのくらいだとアタリを付けて、一気に回すこともありますが、慣れていない人はちょっとずつイジってください。
ワイヤーは、張ると変速機側に動きます。
緩むと外側です。
(一部のマウンテンバイクは逆のものもありますが)
「ところで左ってどっち?前から見て?後ろから見て?」
そういう疑問を持つ人もいますよね。
リアディレイラーの場合、後ろから見て右回しか左回しかになります。
リアディレイラー修理の具体的な順番
だいたいの法則が分かったら、実際にやってみましょう。
順番があります。
1.ギアをトップ、一番外側、重い方に入れます。
2.ペダルを回します。
この時点で、リアのギア周りからチッチッチッなど音がする場合は、ワイヤー以外に原因があることがあります。
自転車屋さんに持って行きましょう。
3.1段軽くします。
正常にシフトチェンジするなら、順にどんどん軽くしていきます。
問題なければ問題ないです。
4.軽くする方への動き、チェーンがホイール側に移動していく動きが遅い場合は、ワイヤーを張ります。
ちょっとずつ張っていくと、いずれ良いところに入ります。
5.張り過ぎてしまうと、重くする方への動き(アウターへの移動)が遅くなります。
その場合は、ワイヤーを緩めます。
ざっくりした説明ですが、そういう流れです。
ちょうど良い張り量になったら完了です。
初心者でもできる自転車の簡単な修理・調整
リアディレイラー以外のワイヤーも、基本的には工具無しで調整が可能です。
フロントのディレイラーは、ハンドルの周辺か、ダウンチューブのケーブルガイドのところにワイヤーアジャスタ、手で回せるグルグルがついています。
フロントは張ると外に動き、緩めると内側に動きます。
ブレーキの場合、ロードバイクであればブレーキキャリパーからワイヤーが出ている箇所。
クロスバイクなどのVブレーキであれば、ブレーキレバー側のワイヤーの付け根に調整グルグルがあります。
アジャストボルトとか呼びますが、覚えやすく調整グルグルと呼んでしまうと、分かりやすいと思います。
ブレーキの方も、基本原理は同じです。
アウターワイヤーが伸びて、インナーワイヤーを張ります。
ブレーキワイヤーは張れば、引きしろが小さく、つまりブレーキが早くかかるようになり、緩めればタッチが深くなります。
ただし、調整グルグルは、あくまで微調整用です。
どんどんワイヤーが伸びてくると、アウターワイヤーの伸縮の調整グルグルだけでは、どうにもならなくなります。
こうなると、インナーワイヤー自体を張り直すことになりますが、インナーワイヤーを張り直すには、六角レンチを使う必要があります。
工具の必要な作業は、安易にしない方が良いの法則が出てきます。
少し詳しくなればできる自転車の簡単な調整
それでも、調整グルグルの原理、つまり張ればどっちに動くかなどが完全に理解できていれば、何とかなるかもしれません。
ただ、ワイヤーがそれだけ伸びているということは、劣化もしています。
交換が必要かもしれません。
プロのメカニックとアマチュアのラインのひとつに、消耗品の度合いの判断ができるかどうかということもあります。
調整グルグルで調整しきったら、一度きちんとした自転車屋さんで調整してもらうのも良いでしょう。
ある程度、きちんとしたお店の場合、アフターサービスの無料点検の範囲内でしてくれるところも多いです。
それなりに詳しくないとできない自転車の調整
何となくディレイラーをいじって壊すポイントは、ディレイラーについているプラスドライバーで回せる『プラスネジ』です。
これを適当にいじると、ディレイラーがホイールに巻き込まれる可能性があります。
高速走行中にこれが起きると、大事故につながる可能性があります。
『プラスネジ』は一番最初、車体を組むときにいじるのと、ホイールを交換したときに、ほんの少しいじるかもしれないというだけです。
あとは、基本的にいじらないネジです。
普通に日々のメンテナンスの中でいじることは、まず有り得ません。
原理と構造を理解していれば、いじること自体は難しくないのですが、『プラスネジ』が原因で起きる可能性のある故障は、事故につながる可能性があるんです。
そう考えると『プラスネジ』はプラスじゃなくて、トルクス(六角の星型バージョンみたいなボルト)なんかの、一般の人や初心者の人は持っていることの少ない、専用の工具じゃないといじれないっていう風にしとけば良いようにも思います。
ですが、それこそ大昔からついているネジですし、プラスの方がいじれる人には都合が良いです。
昔は、自分の自転車のメンテナンスはひと通り、すべて自分でできるようにしておくという時代がありました。
そういう時代には、プラスのほうが良かったんでしょう。
ただ、今は頻繁に調整しなくてもあまりずれなくなったので、ユーザーが個人で調整する必要はほとんどなく、定期的に自転車屋さんで点検してもらうという時代になりつつあります。
もちろん、専用工具やトルクスなどの少し珍しい工具というのは、強いトルクをかけないといけない場所に使われるというのが本来のあり方ですから、ディレイラーの『プラスネジ』はプラスネジで良いということでもあるのですが。
まあ、ネジ関係、工具を使う場所は簡単そうに見えても、意味・原理が分からないところは触らないというのが鉄則でしょう。
これはプロのメカニックでも、徹底しています。
分からないところは、必ず触る前にマニュアルを探したり、メーカーに問い合わせて原理を理解してから触ります。
事故につながると、責任を負わねばなりませんからね。
まとめ「工具を使わないところは修理に挑戦してみるのも」
はて、ギアの修理の話でしたが、最終的にディレイラーのワイヤーの張り量調整の話ばかりになってしまいました。
実際には、ギアの不調はディレイラー以外に原因があることもあります。
チェーンの伸び、カセットスプロケットの摩耗、ホイールが単にまっすぐ入っていないだけなど。
また、ワイヤーの劣化で中で切れかかっている場合もあります。
優れたメカニックは少し触っただけで、それらいくつもある原因のうちから、最有力候補をいくつかピックアップして修理します。
目視や音、タッチの感触などで即座に判断します。
正確なのは当たり前で、そのうえ速いです。
優れたメカニックは、自転車の声が聞こえます。
やはりプロっていうのは、すごいです。