ジャイアントのロードバイクwindspeed 900ってジャイアント?!

ロードバイクを購入しようと思い、ジャイアントのwindspeed 900にたどり着きました。しかし、このモデル、なんだかワケありな事情がありそうですので、ちょっと詳しく調べてみました。今後、私のように、ロードバイク選びをする方々のために、少しでもご参考になればと思います。今回は、そんなジャイアントのwindspeed 900にスポットをあてたお話しです。

ロードバイクwindspeed 900ってジャイアント?

格安でなんとかロードバイクを手に入れられないだろうか…そう考えてwindspeed 900にたどり着いた方は少なくないでしょう。しかしジャイアントの公式ページを見てもカタログにはそんなバイクなど存在していません。偽物なのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。windspeed 900は中国市場向けに販売されているモデルなのです。日本向けには販売されていないため、日本でジャイアントの公式ページを見に行っても、カタログを隅から隅まで眺めても存在しないのは当然のことなんですね。
国によって購買層は異なりますし、ターゲット層の購買力も異なります。もちろん、何に価値を見出すかの文化だって違います。そのため、ジャイアントも販売ターゲットごとに適したものを開発して、その場所その場所ごとに違ったものを販売している、ということもあるわけです。windspeed 900はそういったモデルのひとつで、これが通信販売大手のサイトで見つかるのは、販売業者が独自にそれらを輸入して国内で販売しているからなのですね。

ジャイアントとジャイアントジャパンの違い

ジャイアントとは元々台湾のメーカーで、巨大機械工業という名の片田舎の自転車工場として1972年に創業しました。当時は基本的にOEM生産の専門メーカーで、規模も随分と小さかったのですが、シュウィンの下請けになったことから大躍進を遂げました。今や名前しか残っていないシュウィンですが、巨大機械工業がその下請けとなった当時は世界最大規模の自転車メーカーのひとつでした。この巨大自転車企業であるシュウィンの下請けとなり大躍進を遂げた巨大機械工業は、1981年についに自社ブランドであるGIANTを立ち上げます。これがジャイアントの始まりで、世界初の海外進出先はオランダでした。自社ブランドを立ち上げたからには、自転車レースの本場であるヨーロッパに進出してその名を広める目的もあったのでしょう。続いてアメリカ進出を果たし、第三の海外進出先として日本に販売会社を設立したのは1989年になってからのことです。中国への販売会社設立はさらに3年のちの1992年でした。
ジャイアント本体は生産工場として出発していますが、ジャイアントジャパンは販売会社として設置されています。あくまでも、ジャイアントで生産された自転車やロードバイクを販売するための会社というわけですね。次の項目では、ジャイアントのロードバイクwindspeed 900にスポットをあててみて行きます。

ロードバイクwindspeed 900のメリット・デメリット

ジャイアントのロードバイクWindspeed 900を手にすることのメリットは、なんと言ってもその安さでしょう。3万円少々でロードバイクを手にすることが出来るとは、にわかには信じ難いレベルの安さです。
評判を見ると少々辛辣なものが多く見つかります。それも無理からぬ事かもしれません。Windspeed 900はレーシングマシンと呼ぶのがかなり厳しいスペックとなっています。別物と言って良いでしょう。しかし構成自体は紛れもなくロードバイクであるため、このバイクに何を期待するかという点と、日本でいうところの「一般的なロードバイク」における定義が問題になっているのでしょう。日本国内で一般的にロードバイクと呼ばれるものは、フレームやパーツが殆ど素性の明らかで、性能も最低限を満たしており、ある程度の耐久性や快適性を満たしているもの、と言えるかもしれません。故に日本では「ロードバイク」と言えば暗にある程度の品質を満たしているもの、というレベルを求められる傾向があります。そういった基準から見ると、windspeed 900は基準をかなり下回っていると言えるでしょう。これをデメリットととるかどうかは、求めるものの基準によって違ってくるでしょう。

windspeed 900ロードバイクとしてどうなの?

前項で述べたように、日本で一般的に言われるロードバイクを基準として見たとき、ジャイアントのwindspeed 900はまともなロードバイクと呼ぶのに少々厳しいかも知れません。形だけはロードバイク、いわゆるルック車と呼ばれるものと同様と考えると良いでしょう。一般的なロードバイクを見たことがある、あるいは乗ったことがあるようなら、windspeed 900のスペックシートを見るだけでも不安になるかも知れません。ヘッド周りの華奢さや、フロントブレーキに制動力で劣るとされるシングルピボットブレーキを採用する点など。
その設計からも、決してロードレーサーと同じ血筋の思想を備えているとは言えないでしょう。40km/hを超えるような速度域でも安定してバイクをコントロールできるか、十分な制動力を発揮できるか、ペダリングやダンシング時のパワーをロス無く受け止めてくれるか、などという点から見ても、満足の行くポイントはひとつとして見当たらないでしょう。

windspeed 900ロードバイクを勧める?選ぶ?

とにかく価格の安いロードバイクが欲しい!という方は少なくありません。そんな方にこの超格安のロードバイクを勧めることが出来るでしょうか?これは難しい問題です。前項ではそのスペックに辛辣な評価を下しましたが、あくまでもレーシングマシンとして見たときジャイアントのwindspeed 900はとてもまともとは言えない、と言ったのであって、日常使いのちょっとスポーティな自転車と考えれば話は変わってきます。レーシングマシンをお求めの方にはとてもご紹介できるものではありませんが、ママチャリではなく少々スポーティな感じを味わいたいだけ、という方には注意点を添えてご紹介することは十分可能でしょう。
また、すっかりバラしてしまって新たにイチから組み上げるためのおもちゃ扱いにも良いかも知れません。メインのバイクにはかなり厳しいものの、ロードバイクの基本的な構造を理解するためであったり、魔改造して楽しむにはむしろオススメすら出来るかも知れません。経験者がセカンドバイクや実験に選ぶというのもアリかも知れませんね。

ジャイアントのお勧めモデル

ジャイアントには初心者にオススメ出来るロードバイクのモデルが目白押しです。展開するモデルも幅広く、windspeed 900ほどでは無いものの、コストパフォーマンスに優れたものも多いので、カタログを眺め回すだけでも気分は随分と浮ついてしまいます。
さて、お薦めモデルの定番といえばやはりDEFYシリーズとTCRシリーズを抜きに話を進めることは出来ません。DEFYもTCRもシリーズとしては様々なモデルが展開されており、どれがどれだかわからないかも知れません。概ね、後ろにつく数字が小さくなるほど、またシリーズ名の後ろに別名(COMPOSITEやADVANCED)がつくほどハイエンドモデルとなっていきます。すなわち無印の数字が大きい物ほどエントリーグレードということになります。初心者向けとしてはDEFY3やTCR2などの、レーシングマシンとしては最下級グレードでも十分におすすめできます。最下級とは言えれっきとしたレーシングマシンですから、速さを求めてペダルを踏んでも初心者には十分に応えてくれますし、ある程度の速度域に達してもコントロール性を大きく失うこともありません。

高いものにも安いものにもそれ相応の理由あり。

価格の話になると、どうしても避けられないのでくどくなりがちではありますが、価格にはその価格である理由があります。安いものには安いものなりの、高いものには高いものなりの。価格だけを見て、自分の価値観に当てはまらないものだからと言って邪険に扱うのは早計です。その価格が示す価値を観察する癖を忘れないようにしたいものですね。