自転車のクランクとは、ペダルがくっ付いている柄の部分のことをいいます。
左クランクは、チェーンリング(いわゆるスプロケット)とくっついているのでチェーンリングと合わせて、広義にクランクと呼ばれます。
左右のクランクは、フレームにはまっているBB(ボトムブラケット)に左右から接続して、回転トルクをチェーンからタイヤへ伝える役割があります。
今回は、クランクの外し方とコツや注意点をご紹介します。
自転車のクランク(BB)のサイズと種類
自転車のクランクを交換するなら、スプロケットのサイズ・枚数やPCD値など自分で選べます。
PCD値というのは、ダブル歯の場合は、インナーの直径であり、トリプル歯の場合は、センターとインナーの直径の値のことです。
PCD値が、ダブル歯の場合で、130mmのものをノーマルクランクと呼び、110mmのものをコンパクトクランクと呼びます。コンパクトクランクにすると、最小歯数を少なく、大きなスプロケットを取り付けられなくなります。
自転車のBB(ボトムブラケット)の交換なら、BBのシェル幅を68mmか70mmに選択すれば、サイズは良いでしょう。あとは種類です。
スクエアテーパー(四角軸)なら、カードリッジタイプや、ベアリングとシャフトを切り離せるタイプの二つがあります。
オクタリングなら、カードリッジタイプと基本的な形状は同じで、シャフトの軸の先端が八歯になっています。
ホローテックⅡなら、ベアリングがシャフトを覆い隠すタイプで、シマノの105以上のBBがすべてこのタイプになっています。
クランクやBBを自分で交換するなら、それぞれのパーツの外し方や付け方を身につけられるので、メンテナンススキルの上昇も見込めます。
自転車のBBとクランクの外し方と工具
自転車のBBや、クランクの外し方をBBの種類別に見ていきたいと思います。
スクエアテーパー(四角軸)なら、カップアンドコーンの化粧カップを外すのには、アーレンキーやペグスパナがあれば良いでしょう。
それでも、カップの形状によって、工具を選択するのがベストです。
BBのタイプが同じだったとしても、カップの形状が異なるので、自分のクランクに合わせて工具を選びましょう。
化粧カップを外してからは、「コッタレス抜き」という工具を使います。
それでクランクとBBを切り離したら、今度はBBをフレームから切り離します。
工具は、カップアンドコーンならフックレンチで、カートリッジタイプならカートリッジBBツールを使いましょう。
オクタリンクなら、外し方は上記とほとんど同じです。カートリッジタイプになるので、カートリッジBBツールを使います。
コッタレス抜きにしても、八歯用のコネクタがついているので問題ないでしょう。
ホローテックⅡなら、形状が上記の二つとは異なっているため、別の工具を使うことになります。
具体的には、クランク取り付け工具、ロックリング取り付け工具、その2つは必須です。
それら工具にしても種類は色々あって、値段、柄の長さ、レビューを参考にして購入するとよいでしょう。
自転車のクランク(bb)の外し方の手順
クランクやBBの外し方の前に、工具を少しだけ説明します。
「コッタレス抜き」という工具は、別名「クランク抜き」とも言われます。
コッタレス抜きは、通常のボックスレンチとは違って、BBの軸にはまり込む形状なので、クランクをがっちり固定して、BBを押し出していけます。
「BBツール」という工具は、まさにBBを外すためのツールで、BB内側にあるギザギザをひっかけるようにして回しながら外していけます。
それでは外していきましょう。
左クランクについているキャップを外すと、12mmのナットが出てきます。
コッタレス抜きの片側で、そのナットを取り外せます。
そのときは、正ネジ方向に回して緩めていきましょう。
次に、右のクランクのキャップを外してから、同じようにナットを外していきましょう。
クランクは、自転車の左側から外していきます。
コッタレス抜きをクランクにねじ込んで、軽く締めてから六角部分をモンキーレンチで、ゆっくりと締めていくとクランクが外れます。
右側のクランクは、チェーンホイールと一体化していますが、同様に取り外せます。
BBにしても、自転車の左側から外していきます。
BBツールを差し込んで、モンキーレンチで正ネジ方向に回して緩めていきます。
今度は右側ですが、逆ネジ方向に緩めることでBBを外せます。
クランク(bb)が取れたら最後に掃除をしよう
自転車は、クランクを外してからBBを外すのですが、BBが固着していた場合は、モンキーレンチを叩いて外します。
叩く方向は一方だけでなく、右回し左回しと交互に叩いていきましょう。
それでも緩まない場合は、CRC556を吹き付けて、30分以上待ってから外すことも考えます。
しかし、それだとBBのグリスが流れ出てしまうので、必ずBBのグリスアップをしてください。
それでもBBが動かないのであれば、BBツールを柄付きのものに変えて、ハンドルの柄を叩きます。それによって、より強い力で叩いていることになります。
それから、これをBBやクランクの外し方というと大げさかもしれませんが、大切なことなので紹介しておくと、フレームの内側を掃除しましょう。
BBを外してから掃除することで、固着を防ぐことにもなります。
BBが固着してしまうと、大変な作業となるので、固着を防げるというだけでもかなりオススメです。
そのとき、フレームの淵で手を切らないように、手袋をするかウエスを指でしっかりと包み込むようにして、怪我をしないよう注意しましょう。
自転車のクランクの外し方のコツ
自転車のペダルの外し方や、付け方で一番大切なことは、ネジの向きです。
左右でネジの向きが違うのです。
子ども用自転車でも、ママチャリでも、ロードバイクでも、すべての自転車ペダルは、左右でネジの向きが違っています。
右は右ネジであり、左は左ネジです。
右ネジは、右に回すと締まります。左ネジは、左に回すと締まります。
それさえ頭に叩き込んでおけば、ペダルを外すのに困ることはないでしょう。
あとは外し方のコツです。
外したい側のクランクを前に向ける、つまりペダルは前にします。
踏み込むときに、一番力を入れる位置にしておくと、ペダルが空転することがなくなって、外しやすくなります。
それから、レンチは回すのではなく、クランクアームとレンチを一緒に手にして、握るようにすると、楽に外すことができるでしょう。
少し体重をかけるようにしても良いです。
それでも、握りやすい位置に、いつもレンチがあるということはありませんが、色々と工夫してみてください。
このコツの原則は、クランクとできるだけ小さい角度でレンチを使うということです。
クランクを外すときの注意点
自転車ペダルを外すときは、怪我に注意しましょう。
それは、ペダルの外し方よりも大切なことだと言っても良いでしょう。
ペダルは一気に緩みます。がたんと突然大きく回るので、こぶしを、地面・ギヤ・クランク・自転車フレームなどにぶつけてしまうことが多々あります。
そういう場合は、ぶつかりそうなところに、ウエスなどでカバーしておくと良いでしょう。
あとは、工具は正しい向きで使いましょう。
スパナには向きがあります。力を入れる方向があるということです。
逆に使ってしまうと、ネジをなめてしまって、角がなくなってしまいます。
それはペダル外しに限ったことではなく、ペダルを取り付けるときも同様に注意してください。
そして、ペダルだけでなく、すべてのパーツで言えることですし、スパナという工具に限ったことでもなく、ペダルレンチなどすべての工具に言えることです。
ペダルは緩めてしまえば、工具を使わなくても外れるようになるので、あとは手で回してペダルを外してしまいましょう。
自転車のクランク まとめ
クランクはペダルの軸となる大切な部分です。
メンテナンスを怠ると、異音がしたりします。
しかも、メンテナンスしていないとクランク周りが固着して、なかなか取り外せない!なんてことにもなりかねません。
どうしてもクランクが取れない場合は、お店に持っていくのが一番でしょう。