自転車の空気抵抗を減らして速く走るコツ!

自転車に乗っていると、空気抵抗を感じますよね。
向かい風の場合は空気抵抗により、追い風の場合よりも走りづらいと思います。

自転車走行の際は、できるだけ空気抵抗を減らしたいですよね。

今回は、そんな自転車走行と空気抵抗についてお話しします。

自転車を速く進ませたいなら抵抗を減らそう

自転車を速く進ませたい場合、どのようなことをすれば良いのでしょうか。

日常生活で使うぶんならともかく、レースやイベントなどに参加することの多い人は、少しでも速度を上げる術を身に付けたいはずです。

しかし、具体的には何をすれば良いのかというのは分からないという人もいると思います。

とても単純ですが、この疑問に関する答えは、ペダルを漕がないのなら空気抵抗と転がり抵抗を減らし、漕ぐのならその2つの他に摩擦抵抗も減らして下さい。

非常にシンプルな回答ですが、自転車は脚を動かすか動かさないかという当たり前のことが原因で、あらゆる抵抗力が増減します。

自転車に乗り慣れてくると、意外とこの考えを忘れてしまいがちです。

ひと口に抵抗力といっても、種類は様々です。
ですが、どれも減らせるのなら減らした方が良いというのは共通しています。

自転車を使った競技の勝敗の付け方は「スピードが速いほうが勝つ」、ただそれだけです。
例え、1mmという微妙な差でも、相手より先にゴールしていれば勝てるのです。

そのためには車体を軽くして、抵抗力を限界まで減らすことで、出せる限りのスピードを出さなければなりません。

だから乗り手は、いろんな創意工夫を凝らすのです。

抵抗の中でもまず減らすべきは「空気抵抗」

自転車の抵抗力を減らすなら、当たり前ですが、減らしやすいところから減らしていきます。

あらゆる抵抗力の中で、大きな差が付かず機材や出費をあまり使わず、出来るだけ軽減させたい抵抗力は、全体の60%を占めるという「空気抵抗」と言えます。

その次が、タイヤの形が変わることで発生する抵抗力です。

改善策としては、空気抵抗を減らす機能が備わったウェアやヘルメットなどを購入したり、あまり抵抗を受けなくなる姿勢を維持することなどがあります。

特に姿勢は技術として役立ちますし、お金も掛かりません。

専用の装備に関しては2~3万円ほど掛かりますが、実はフレームなどを新しくするよりも、自転車用品を使った方が効果的であると言われています。

空気抵抗に強いフレームとシューズカバーの性能を比較した場合、カバーの方が抜群の効果を発揮したという実験結果も出ているようです。

もうひとつはタイヤです。
これは「ヒステリシスロス」とも呼ばれており、タイヤが元の形を保てなくなると、普段よりもエネルギーを消耗しやすくなるのです。

チェーンなどによって引き起こされる、摩擦抵抗よりも小さい力ではありますが、なるべく両方とも減らしたいところです。

空気抵抗などの、自転車の抵抗の種類と割合

自転車の抵抗力は大きく分けると3つに分類されます。

①チェーンやギアなどが引き起こす「機材抵抗」
②タイヤと地面が擦れることで起こる「路面抵抗」
③走っている最中に乗り手と自転車が受ける「空気抵抗」

これらを上手にコントロールすることで、スピードを出しやすくするのです。

①機材抵抗
基本的に、スピードを上げれば上げるほど消耗する量が増えていきます。
ですが他の2つよりも、抵抗力そのものは小さいことが特徴です。

増える原因は、チェーンなどが擦れやすくなるといったものが考えられます。

②路面抵抗

路面抵抗も同じで、スピードが出るほど抵抗力も増えます。
少しでも軽減するために、最近は25cのタイヤを使うことも多くなってきたと言われています。

③空気抵抗

3つの中でも、最も大きい抵抗力を受けます。
そのため、レースなどでは限界まで空気抵抗を減らそうと、乗り手は努力を重ねています。

なお集団で走ったときは、先頭よりもその後ろを走る人の方が抵抗を受けないということが判明しています。
スピードによっても変わりますが、大体40%ほど少なくなります。

空気抵抗を抑えるための装備を整えたり、受けにくくなる姿勢を身に付けるなど、それぞれが工夫を凝らすことで、空気抵抗を削減しています。

自転車の空気抵抗を減らしたいなら、2人で走ろう

自転車に乗っていると、前から強い空気抵抗を受けることになります。
このとき、カルマン渦と呼ばれるものが発生するため、後ろに引っ張られるような感覚を乗り手は覚えます。

カルマン渦とは物体が前へ進んでいくと、後ろに交互に生み出される渦のことを表しています。
風でなびく旗や、魚の尾びれの動きをイメージして下さい。

もしも2人が縦に並んで走っていた場合、前を行く人は普通に風を正面から受けますが、後ろについている人は前の人が壁となるので、直接風を受けることがありません。

つまり、そのぶんだけ空気抵抗が減るのです。

そして同時に、2番目以降に続く人は、前にいる人の背中の空気を押すことになるため、結果的に前を進む人も走りやすくなります。

このため自転車は、1人ではなく最低でも2人で走った方が、スムーズに走れるというわけなのです。

横並びでは意味がなく、他の通行人の迷惑にしかならないので気を付けて下さい。
数人が自転車に乗る場合は、列車の車両のように、縦に1列になるようにしましょう。

2人の距離による空気抵抗の違い

空気抵抗を減らすには、自転車が2台、縦に並んで走ることをおすすめします。

ただし、ここで重要になるのは、お互いの「距離」です。
近いときと遠いときでは、空気抵抗の量が変わってきます。

ホイール1つ分ほど離れていると、後ろを走る人は、まだそれほど強い空気抵抗を受けません。
しかし2つ分以上離れてしまうと、ややカルマン渦に巻き込まれる確率が高くなります。

それでも先頭ほど大きな影響は出ませんが、抵抗を受けていると感じ取ることが出来るでしょう。
これ以上の距離を空けるとカルマン渦に飲み込まれてしまい、安定した空気の中を進めなくなります。

それならいっそのこと、1人で走った方がスムーズに進むことが出来ます。
効率良く進んでいくなら、なるべく密着するようについていき、距離を空けるなら最高でもホイール1つ半くらいの間隔が良いかと思われます。

これは何人で走っていても同じことなので、10人を超える人数だったとしても、縦に1列に並んで走るようにしましょう。

そうすれば抵抗力を減らせますし、他の人の迷惑にもなりません。

乗り方の工夫で空気抵抗を減らそう

自転車は乗り方を工夫することで、空気抵抗が減らせます。

まずは専用のウェアとヘルメットを着けた状態で、ブラケットポジションを取ります。

すると「353W」のエネルギーを消耗することが分かりました。
これを基準値と定めます。

さて、その上でドロップポジションを取ってみましょう。
これはいわゆる「下ハン」と呼ばれる姿勢で、身体を低くするぶん、抵抗力も減ります。

その結果、ブラケットポジションよりもおよそ12%ほど軽減されました。

ここから両腕を内側に縮め、上半身をさらに沈めていきます。
このポジションはタイムを競うレースや、トライアスロンなどで使用されることが多いです。

こちらは約25%の減少率となりました。

休憩などに使われるアップバーポジションは、上半身を起き上がらせているわりに、エネルギーの消費量は意外と差が付きません。

恐らく、腕を内側に入れていることが、大きな影響を与えているのかと思われます。

つまりこのことから、空気抵抗には上半身だけではなく、腕の位置も重要視しなくてはならないことが分かります。

身体を低くして、肘を絞り込むことが、走りやすくするためのコツと言えるでしょう。

空気抵抗を減らす工夫はいろいろ

今回は、自転車と空気抵抗についてお話しさせていただきました。

ご紹介させていただいたように、2人で走ったり、ポジションを工夫して走ったりすることで、空気抵抗を減らすことができます。

しかし、空気抵抗を減らす工夫は、これだけではありません。
服装をTシャツ短パンからサイクルジャージにするだけでも、空気抵抗量は変わりますので、試してみてはいかがでしょうか。