クリートの取付には最適な位置があり、間違った位置に取り付けると、性能を上手く発揮できません。
しかし、初めて取り付ける人は、前寄りに付けるのか?後ろ寄りに付けるのか?など、手探り状態の人も多いのではないでしょうか?
今回は、クリートの取付位置や取付方法についてご紹介していきます!
クリートってどんな役割を果たしているの?
サイクリングシューズとはペダリングに特化している専用靴であり、脚力から発生したエネルギーをペダルに伝えやすくしてくれます。
特にレースやイベントなどで用いられるものは靴底がとても硬く、種類によっては滑り止めすらも付いていないため、地上を歩くことに対しては、向いていないと言えるでしょう。
また、走りやすさを上げるために、サイクリングシューズには「クリート」と呼ばれる金具を、前や後ろなどの位置を決めて、靴底に取り付けることがあります。
これがあれば、ペダルとシューズを留めておくことができるので、足がペダルからずり落ちることはなくなります。
その中でトークリップに使われるタイプは、ペダルに引っ掛けられるように溝が刻まれており、ペダルを踏み込みやすくしてくれる、良いサポーターとなってくれます。
ただし、ストラップにも引っ掛かってしまうため、トークリップから外すためには、多少の時間が掛かります。
一方、ビンディングペダルに使うタイプはクランクを上に蹴りやすく、引き足のエネルギーも有効活用することができます。
クリートの前後位置の目安①
シューズの底にクリートを取り付けると、ペダリングの性能をぐんと向上させることができます。
しかし靴底といっても、ちゃんとした場所が決まっているわけではないため、どの辺りに設置すれば良いのか困ってしまう人も多いかと思われます。
目安の位置は親指がつま先、小指がかかとに寄るようにしてください。
その2つを基準としながら、しっくりくるように前後をずらしていけば、最適な場所が見つかります。
骨の位置は左右で異なることも珍しくなく、左右の骨の位置をはっきりさせておけば、より力の伝達などがしやすくなるでしょう。
骨の位置の測り方を具体的に説明すると、足の親指の側面を手の爪で、つま先からかかとに向かって軽く引っ掻くようにしてみましょう。
すると、骨と骨の境目で動きが止まります。
小指も同じように調べてみましょう。
両方の位置が分かったら、ペンでマークを付けておくと確認が楽になります。
ペダル軸は、この2ヶ所の中間地点に配置させましょう。
ここから前や後ろに変えてみて、自分に馴染みやすいクリートの位置を探っていきましょう。
クリートの前後位置の目安②
クリートの前後の位置を決めるには、まず「テープ」と「線のようなもの」を用意してください。
後者は曖昧な表現ですが、結束バンドでも、切ったコードでも、とにかく細長くて真っ直ぐになるものなら何でも構いません。
足にペンで印を付けたところの上に線状のものを貼り付けて、シューズを履いてください。
そして、指でシューズを上からなぞり、印を付けたところを特定できたら、シューズにも印を付けます。
ペンのインクが気になるようなら、テープを貼ってください。
これを親指と小指の両方で行います。
続いて、シューズの印を基準として、クリートに付けた印を使い、位置を明確にします。
馴染むポイントには個人差があります。
つま先に近ければふくらはぎに、かかとに近いと土踏まずに掛かる負担が増えるので、その辺りも考慮して位置を決定してください。
ただし、これはあくまでも仮で、確定させるのは実際に走って、ペダリングの効率やトルクなどの様子をチェックしてからにしましょう。
決めた後は、印からどれくらい離れているのかをメモしておけば、新しいシューズを購入したときに役立ちます。
クリートの前後位置がわかったら取り付けてみよう
クリートの前後の位置が判明したら、いよいよ取り付け作業に取り掛かります。
今回はシマノから販売されている「SPD-SL」を例としてお伝えしたいと思います。
用意するものは「4mmのアーレンキー」です。
もし手元になくて購入するのであれば、レザインの「RAP 14TOOLS」がおすすめです。
サイズがコンパクトで、厚みや重量もそれほどないため、外出時にもかさばることなく、気軽に持っていくことができます。
では、作業手順をご説明します。
まずはシューズを裏返して、空いている穴にクリートを合わせ、出っ張っているところがぴったりと噛み合うようにしましょう。
上手く合わさったら、ネジを締めます。
この段階では、クリートが軽く動くくらいに締めておけば問題ありません。
続いて、本格的にクリートの位置を決めていきます。
四方に動かせるので、ペンとテープを用いて印を付けながら、自分の足と馴染む位置を探してください。
これで大丈夫だと感じる位置に来たら、ネジを限界まで締め付けます。
ネジの締め付けが甘いと、走っている途中で外れてきてしまうので、全力を込めても回転しなくなるまで思い切り締めてやりましょう。
クリートを取り付ける際に、最も重要なこと
クリートにとって重要なポイントは、前後の位置だけではありません。
最後のネジを限界まで締め付けることも大事です。
きつく締めすぎると、いざという時に外れないのではないかと不安に思うかもしれませんが、こうしなければ走っている最中にネジが緩み、取れてしまう可能性があります。
それだけではなく、クリートが動いてペダルから離れず、バランスを崩して転んでしまうこともあるのです。
ペダルを漕ぐ際にはクリートにも力が加わるため、多少の衝撃ではビクともしないくらいが最適と言えるでしょう。
ペダルから足を外すときは、かかとを外側に向かって捻れば、簡単に外れます。
なかなか外すことができない場合は、ネジがしっかりと締まっていないか、ペダルがそのように設定されているかのどちらかになります。
外すときは最初に左足を外し、必要なら右足も外してください。
ただし片足しか外さない場合は、必ず外した方の足を地面につけて、体重を掛けるようにしましょう。
ペダルに付いている方では支えきれず、そのまま倒れてしまいます。
そして普段は事故防止のためにも、緩んでいないかどうかを、こまめに確認してください。
シマノのクリートは3種類ある!その違いは?
シマノからはロードバイク専用のクリートが「SM-SH10」「SM-SH11」「SM-SH12」の3種類が存在します。
今回は、それぞれの違いを見ていきたいと思います。
区別するためのポイントは「色」と先端の「太さ」ですが、太さに関してはじっくり見ても判別できないかもしれないため、ほぼ色のみで見分けることになるでしょう。
初心者には「SH11」がおすすめです。
最初はこれを試して、遊びが馴染まないと感じたら「SH12」を使ってみましょう。
SH12の方は、やや遊びの範囲が狭くなっています。
基本的にSH11はクリートの真ん中を、SH12は前側を軸として回転する仕組みになっています。
遊びは不要という人には「SH10」が最適です。
SH10は、ロードバイクに乗り慣れている人が使用するためのもので、乗ったときの姿勢やクリートの位置などがしっかりと定まっていなければ、足を痛める可能性があります。
クリートの塗装が剥げてきて、黒い下地が見えてきたら、新品と取り替えるタイミングです。
また、取り付けるためのボルトはこまめにチェックして、緩んでいたら締め付けてください。
なお、サイクリングシューズやクリートは、歩くことには不向きです。
もしも徒歩がメインになる場合は、専用カバーを被せましょう。
最適な位置に取り付けて、より快適に乗ろう!
今回は、クリートの取付位置や取付方法についてご紹介しましたが、役に立つはありましたか?
クリートは、普段は見えない地味なパーツですが、乗り心地にとても大きく関わってくる重要なものです。
しっかりと、最適な位置に取り付けて、より快適に乗りましょう!